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宝塚記念2022 全頭考察・予想のポイント

どうも、バリしゃんです。


さあ、やってきました宝塚記念!!!



宝塚記念は個人的に最も相性の良いGⅠレースであり、最も好きなGⅠと言っても過言ではございません!


21年 宝塚記念
1着 ◎クロノジェネシス
2着 ▲ユニコーンライオン(7人気)


20年 宝塚記念
1着 ◎クロノジェネシス(2人気)
3着 ☆モズベッロ(12人気)

今回はそんな宝塚記念における個人的な予想のポイントと全頭考察を執筆していこうと思います。最後までとは言いませんので、予想のポイントと自分の気になっている馬の考察だけでも読んで頂けると嬉しいです!


✅予想のポイント

宝塚記念の予想のポイントは…

・日本の主流条件とは異なる適性が要求される

とにかくこの一点に尽きる。

阪神内回り・非根幹距離・梅雨時でタフな馬場になりやすいという3つの要素が合わさり、速い馬場×長い直線で末脚を伸ばす事が主流とされる日本競馬(この条件で日本ダービー・ジャパンCなどのビックレースが行われている)の中では異質な条件で行われる事が宝塚記念最大の特徴。

それを象徴するデータが非サンデーサイレンス系の躍進

宝塚記念過去5年の1~3着馬とその父&父系

上記の通り、宝塚記念過去4年で馬券になった12頭中8頭が父が非サンデーサイレンス系の馬だった。前述した日本ダービーやジャパンCといった日本の主流適性が求められるレースでは、このサンデーサイレンスの血を持たないというのは大きなマイナス要素になる訳だが、そんなレースとは相反する能力が求められる宝塚記念ではサンデーサイレンスの血を持たない事がアドバンテージになる。

ちなみに過去5年で日本の主流条件の頂点に君臨するディープイパクト産駒で馬券になったのは昨年のレイパパレただ1頭。過去10年で見ても【1-2-5-25/33】で勝ち馬は僅か1頭で連対率も9.1%と他のGⅠと比較してもその数字の低調ぶりは明らかだ。

ディープインパクト産駒の主要G1成績(過去10年)

非サンデーサイレンス系の活躍、ディープインパクト産駒の不振。この2点が如何に宝塚記念というレースが日本の中距離GⅠにおいて特殊な適性・能力を求められるレースであるかがわかる。

このデータを以て『非サンデーサイレンス系を狙え!』とかそんな事が言いたいのでは無く、日本の主流条件とは相反する能力が求められるレースであるという点が血統からも証明されており、それだけ宝塚記念というレースは、他の中距離GⅠとは異質な能力・適性が求められるという事を頭に入れて予想を進めていく必要があるという事。

昨年、そして今年は京都競馬場改修工事の影響で例年とは異なる開幕2週目の良好な馬場でレースが行われるという点は頭に入れる必要(=内前有利馬場)があるが、今年もブレる事無く過去に非根幹距離や道悪馬場などの日本主流条件とは相反する舞台で結果を出している馬、あるいはそういった条件への適性の高さを感じさせる馬キャラを狙っていきたい。

そしてもう一つのポイントとして大阪杯組の取捨選択についても触れておく。大阪杯は阪神芝2000m、宝塚記念は阪神芝2200m。どちらのレースも内回りコースが使用される為、たった200m距離が違うだけというのがこの2レース。しかし、その"たった200m"の違いで求められる適性が大きく異なってくる。それをデータを用いて紹介していく。

大阪杯勝ち馬のその年の宝塚記念での成績(過去10年)

上記は大阪杯の勝ち馬とその年の宝塚記念での成績(過去10年)を表にした物。ご覧の通り、勝ち馬はおろか連対馬すらも一頭も出ていない。17年に惨敗(個人的には天皇賞春勝ち→宝塚記念は死のローテ※詳細はタイトルホルダーの考察部分で)したキタサンブラックに関しては前年の宝塚記念で先行馬にはかなり厳しい展開に唯一抗っての3着に好走してはいたものの、後にGⅠを7勝するいわば適性や馬キャラの範疇を超えた"別次元の馬"。それを除けばすべての馬が大阪杯から大幅にパフォーマンスを落としている。

スタート後すぐに急坂が待ち構えている為ペースが上がりにくい阪神2000mに対し、スタート後下り坂&初角までの距離が長く先行争い激化→消耗戦という形がデフォルトの阪神2200mとでは求められる適性・能力が大きく異なる事がこの数字の要因だろう。

事実、大阪杯では6着に敗れていたサトノクラウンや、今思えば2着とて馬の能力を思えば取りこぼしの部類に入るクロノジェネシスが、大阪杯で先着を許した馬を逆転し宝塚記念を勝利している。

今年の大阪杯も典型的な阪神2000mらしい決着で、1,2着馬は共にディープインパクト×米国型という血統構成で、3着アリーヴォ、4着ヒシイグアスも母父米国血統。一昨年の勝ち馬レイパパレ、そして3年前の勝ち馬ラッキーライラックもサンデー系×米国型。コントレイルと共通するいわば究極の日本の主流血統と言える配合の馬が好成績を残す=真逆の適性が求められる宝塚記念ではパフォーマンスを落とすと考えるのは当然だろう。今年も大阪杯を適性・馬キャラ合致で好走した馬は軒並み軽視の予定。反対に大阪杯では適性や馬キャラのズレで力を発揮できなかった馬の巻き返しに注意を払っておきたい所。


✅宝塚記念 全頭考察

評価基準
A=絶対本命じゃ!
B=枠・馬場・オッズ次第では本命もあるなー
C=んー、押さえてもいいかな
D=来れるもんなら来てみなさい!!
(あくまで枠順・オッズを見る前の評価となります)


・アイアンバローズ 石橋脩

評価D

オルフェーヴル産駒らしい気性難のキャラで折り合いに不安があったり馬群での競馬を嫌うという特徴を持つ。

【3走前】のステイヤーズSでは超が付くスローペースだった事もあり、途中からハナを奪い得意の揉まれない形を作りだし2着に好走。【前走】の天皇賞春ではコーナーロスを抑える事のできる絶好の最内枠を引き当てたが、カラ馬(落馬したシルヴァーソニック)がラチ沿いを走っていた為に外に持ち出さざるを得ないという不運な形で5着。とはいえ、最内枠の妙を活かす事のできない競馬になったものの力負けの感は否めない敗戦だった印象。

そもそもこれまで重賞級で結果を出して来たのは超低レベル戦のステイヤーズSと、勝ち馬ディープボンドには完敗だった阪神大賞典というレベルの低い長距離戦線のみで能力の証明に乏しい事に加え、前述した馬群での競馬を嫌う馬キャラを思えば多頭数戦に追走が忙しくなる距離短縮ローテで挑むという臨戦もマイナスだろう。


・アフリカンゴールド 国分恭介

評価C

3歳時には菊花賞の穴候補として注目され、翌年には重賞で1人気に支持された程の馬だったがその後は長らく不振を極めていた。4走前の中日新聞杯でその不振を脱却した訳だが、以前から変わらないのが前向きな気性を活かしスムーズに先行できた際は相当渋太い馬キャラであるという点。4角2番手以内時は【2.3.0.2/7】で馬券外に敗れた2戦を見ても【3走前】の日経新春杯は初角までの距離が長くタフな競馬になりやすい中京芝2200mらしい差し決着に巻き込まれての物で、【前走】の大阪杯にしても8枠から強引に先行しジャックドール・レイパパレに絡みに行く形だった事を思えば大健闘の0.6秒差7着と言っていい内容。

父ステイゴールドは宝塚記念の様な反主流条件向きの産駒を多く輩出する種牡馬で、この馬自身【2走前】に同舞台で行われた京都記念を制覇。昨年に続いて開幕2週目の良好な馬場(=内前先行馬向き)で行われるという点もこの馬にとっては追い風で、ここも一定の警戒は必要だろう。ただ、今回もパンサラッサ・タイトルホルダーという強力な逃げ・先行馬がいる点がネック。逃げ切った京都記念もスローを利しての逃げで決してテンの速い馬では無いだけに、前述した2頭よりも内の枠に入ると得意のスムーズ先行の形が叶わないという可能性も。


・アリーヴォ 武豊

評価D

全5勝を小倉競馬場で挙げている様に小回り向きの持続型のキャラで、米国のスピード型を詰め込んだ母型の血統からも道悪よりは速い馬場で持ち前の持続力を活かす形が理想だろう。

それを思えば【5走前】の柳川特別(不良馬場)や【2走前】の小倉大賞典(稍重)での勝利はそれなりの評価を与える必要があるだろう。【3走前】の壇ノ浦特別では、開幕週の小倉らしい内前有利の時計の出やすい馬場を利したロスの無い立ち回りで好走した2,3,4着馬を外からねじ伏せる着差以上の強い競馬を披露。前述した速い馬場の小回り戦で持続力を活かす形で好パフォーマンスを見せた。

そしてこれまでの走りと前述した馬キャラから内回りの阪神2000m×良馬場という条件はベストに近いとして一定の警戒感を持ちつつ迎えた【前走】の大阪杯で3着に好走と、小回り×良馬場の高速持続戦の様な形になればGⅠでもチャンスがあるという事を証明して見せた。しかし、予想のポイントで触れた通り大阪杯で好走=相反する能力が求められる宝塚記念ではパフォーマンスを落とすというのが毎年のパターン。このアリーヴォは如何にもタフさが求められる条件ではパフォーマンスを下げるキャラに映るだけに、穴人気するであろう点を踏まえても今回は軽視。


・ウインマリリン 松岡正海

評価D

スクリーンヒーロー産駒らしい前向きな気性と立ち回りの巧さを武器に、内々をロス無く先行する形を好むキャラ。

【5走前】の日経賞や、◎を打った【3走前】のオールカマーでは中山+内枠という持ち味を最大限に発揮できる条件で、得意のラチ沿いをロス無く立ち回る形で完勝。【2走前】のエリザベス女王杯は、戦前から陣営が泣きコメントを連発(手塚厩舎の泣きコメントは厳しい結果になる事が多いとツイート)していた様に、【8走前】の秋華賞と同じく状態が相当悪かった事が敗因。ノーカウントとしていいだろう。

しかし、状態さえ戻っていれば能力は通用級と見ていた【前走】の大阪杯も勝負所で早々に手応えを失い最下位。スクリーンヒーロー産駒は良くも悪くも気持ちで走る馬が多く、一度軌道に乗ると立て続けに好走・連勝を続ける(ex.モーリス、ゴールドアクターなど)が、反対に一度調子を崩すとそれが長引くというケースも非常に多い。今のウインマリリンはまさにその不振期に突入している印象。同じスクリーンヒーロー産駒のクリノガウディーは一度ダートを使う事で復調を示したが、ウインマリリンも復調するには長めの休養を入れたり、今まで使った事の無い様な条件で競馬をさせるなどの荒治療が必要か….


・エフフォーリア 横山武史

評価C

エフフォーリアをどうするか。

今年の宝塚記念最大の焦点はこれだろう。この馬の前走の敗因については様々な憶測が飛び交っている。

・初の関西輸送
・エピファネイア産駒 早熟説
・1週前追いがイマイチだった=不調
・ゲートに頭をぶつけて脳震盪気味だった
・両隣が牝馬だったのでうんたらかんたら

大阪杯の全頭考察記事で"初の関西輸送、本質的には広いコース向き、2キロの斤量増と断然人気という事を踏まえれば、買いか?と聞かれれば確かに疑問符が付くタイミングと言える"とは記したものの、あそこまで負けるとはというのが正直な所。

レースを見返した自分としては、父エフフォーリア×母父ハーツクライは共に距離延長向きの種牡馬でペースアップを嫌う傾向にあり、これまで緩い流れの経験しかなかったエフフォーリアにとっては初とも言える速い流れに距離短縮ローテで挑んだ事で追走面で"苦"を感じた事が敗因と見ている。

その仮定に則って考えれば、前走からの距離延長ローテは素直にプラスと捉えるべきだろう。天皇賞秋の様に広いコースや緩い流れを淡々と自分のペースで走る形を好むキャラにあって、引き続きの内回りコース、そしてパンサラッサが暴力的なラップで飛ばす可能性が高い点はマイナス材料なだけに本命や相手本線まで評価を押し上げるかが微妙な所ではあるが、少なくとも前走比では巻き返しが見られると個人的には見ている。あとは買えるオッズになるのかどうか、その点に尽きる。

(煮え切らない評価で申し訳ないです。ここ何年間のGⅠで今回のエフフォーリアの取捨選択が一番難しいと思います。)


・オーソリティ C.ルメール

評価D

父オルフェーヴルに母父シンボリクリスエス。この血統の字面だけなら、日本の主流とはズレたタフが要求される宝塚記念への適性はそれなりには感じるが、この馬は日本一の名繁殖と言ってもいい祖母シーザリオの影響を色濃く受けており、これまで日本の主流条件で結果を残し続けて来たという経緯の持ち主。

【3走前】のジャパンCでコントレイル、シャフリヤールというディープインパクト×米国型のダービー馬(=日本の主流条件向き)2頭に割って入る形で2着に好走するなど、これまで東京コースでは【3.2.0.0/5】と無類の強さを誇っている事が主流条件向きの馬である事の何よりの証明だろう。3着に好走した【前走】のドバイシーマクラシックに関してもこれまで日本馬が幾度となく好成績を残していた日本の主流条件に適した馬が走りやすいレースで前年のダービー馬であるシャフリヤールが勝利するのも納得といった所。

東京を中心とした主流条件で結果を残して来たという経緯を踏まえても、上記した2レースとは相反する反主流適性が問われる宝塚記念ではパフォーマンスを下げる可能性が高いと見る。事実、シーザリオ産駒のサートゥルナーリアはこのレースで1人気を裏切り4着に敗れている。そもそも、東京以外の競馬場での走りが余りにも情けない物ばかりで、ジャパンCの2着でさえ3着のシャフリヤールは初角で不利を受けていたし、それ以下の馬たちはお世辞にもGⅠ級とは言えない馬ばかり。東京・海外実績×ルメール騎乗といった要素で過剰人気が予想されるここは全く触手が伸びない。


・キングオブコージ 横山典弘

評価B

父ロードカナロアという血統から短い距離を使われていたが、母父ガリレオが前面に出ているのか距離を伸ばしてタフな条件で結果を出してきた馬

【前走】の大阪杯は阪神2000mらしい立ち回り戦の中、外枠から終始後方追走で4角大外回しでは当然ノーチャンス。いわゆる"適性・馬キャラズレの凡走"と捉えるべき一戦だ。冬場のタフな馬場で行われた【2走前】のAJCCを差し切っている様に、"欧州"の主流血統である母父ガリレオの影響を色濃く受けている馬で、大阪杯でパフォーマンスを落としたという観点からも反主流的な能力の問われる宝塚記念とは相性の良いタイプ。事実、重賞2勝はいずれも非根幹距離での物。タイトルホルダー・パンサラッサ・アフリカンゴールドの3頭がやり合っての消耗戦→差し決着になれば、ゴール前強襲の可能性も。穴候補の一頭。


・ギベオン 西村淳也

評価D

近2走はいずれも中京2000mの開幕週という先行馬有利の馬場を利しての好走。そもそもディープインパクト×米国型という血統構成からもわかる通りのスピードを活かしての先行キャラ。何度も話している通り、この手のキャラとは相反する能力を求められるのが宝塚記念というレース。厳しいでしょう。


・グロリアムンディ 福永祐一

評価D

ダート転向後、破竹の4連勝で一気にOP入り。【3走前】の雅Sでは、スズカパンサーを小崎が制御できず1周目のスタンド前で大きく手綱を引かされポジションを下げざるを得ない痛恨の不利(手綱を取ったC.デムーロがイラついてレース中に首を傾げていた)を跳ね除けて、後に同舞台の中京ダ1800mを1.50.0秒の好時計で走破するハヤブサナンデクンを完封。ダートでは初めての重賞挑戦となった【前走】のアンタレスSではハイペースを前受して勝ちに動く負荷の大きい競馬を強いられながら、オメガパフュームと0.1秒差の2着という負けて強しの競馬を披露。ダート界での出世、GⅠ獲りはほぼ約束されたと言っても過言ではないだろう。今後のダート界を牽引していく存在だ。

(芝を走るなら宝塚記念の様なタフな条件がベターで適性自体はそれなりに秘めていそうな印象。ただ、事実として芝では1勝クラスすらも勝てなかった馬。厳しいでしょう。)


・ステイフーリッシュ 坂井瑠星

評価C

持ち前のバテない渋太さを活かす事の出来る条件では安定駆けの続くキャラで、晩年のステイゴールド産駒らしく間隔開けローテを好むという特徴を持つ馬。国内では3歳時に制した京都新聞杯以来勝ち星を挙げる事が出来ていないが、ダービー以降は自身の持ち味を活かす事の出来ない直線の長い東京・中京競馬場には一度(昨年の目黒記念)しか出走しておらず、自身の持ち味を生かす事のできる舞台で勝ち切れずとも安定した結果を残し続けて来た。

そういった馬キャラを思えば、日本の主流条件とはズレたタフ戦への適性が求められる宝塚記念というレースはまさにお誂え向きと言っていいだろう。ここ2戦で3000mを超えるレースを使われているだけに、追走の面で少々手こずる可能性も考えられるが、例年の宝塚記念とは異なり開催2週目という先行馬向きの馬場で行われる点も好都合。これまで国内のGⅠで一度、それもホープフルSでしか馬券になった事の無い馬なだけに地力面で強調材料に欠けるという点は見逃す事はできないが、この宝塚記念が国内GⅠでステイフーリッシュに最も適したレースである事は間違いないだろう。意外にも今回が宝塚記念初出走。あっと驚く激走があっても。


・タイトルホルダー 横山和生

評価C

父ドゥラメンテ譲りの前向き過ぎる気性をコントロールする逃げ、母系から来る欧州的な体力を活かす事の出来る長距離戦、この2つが合わさった際に脅威的なパフォーマンスを発揮する馬。前向きな気性を逃げやハイペースでコントロールし母系譲りの体力・タフさで後続の脚を削ぎ落す。これこそがこの馬の好走パターン。

◎を打った【4走前】の菊花賞は前走のセントライト記念で馬群で揉まれる×直線進路無しの二重苦を味わった直後の逃げる競馬。馬自身は我慢を強いられた前走比で相当"楽"に感じたはずで、各馬との体力差も相まっての圧勝劇だったと見ている。続く【3走前】の有馬記念は痛恨の大外枠からポジションを取りにいった前半のロス、そしてタイトな流れを刻んだパンサラッサを捕まえに行く負荷の大きい競馬だった事を思えば大健闘の5着。

その有馬記念と同舞台で行われた【2走前】の日経賞が勝ったとはいえややパフォーマンス的に物足りなかったのは、得意の逃げる形に持ち込んだとはいえペースが緩かった分持ち味の体力や消耗戦向きの体力やタフさを活かせないレースだった事が要因だろう。あのレースでのパフォーマンスの低さこそがこの馬の本質。【前走】の天皇賞春は菊花賞を彷彿とさせる持ち味を生かす完璧な逃げで圧勝。前述した通り、前向きな気性を逃げやハイペースでコントロールし母系譲りの体力で後続の脚を削ぎ落すこれこそがタイトルホルダーという馬の好走パターンと言える。

反主流的なタフさや消耗戦への適性が問われる宝塚記念はまさにお誂え向き。適性という面で考えれば、出走馬の中でも1,2を争うレベルの物を持ち併せていると言っても過言ではない。自身が今回逃げられないとしても、パンサラッサ&逃げ宣言(≒積極策を示唆)のアフリカンゴールドがいる今回は、日経賞の様なスローペースになる事はまずないだろう。自身の馬キャラを活かす事の出来る土台は揃っていると言っていい。

今回へ向けての不安材料は1つ。それは天皇賞春で激走を見せた直後の競馬になるという点。下記は00年以降の天皇賞春勝ち馬の宝塚記念における成績。

天皇賞春勝ち馬のその年の宝塚記念での成績(00年以降)

かつては王道だった天皇賞春→宝塚記念というローテーション。しかし、その天皇賞春の勝ち馬に目を向けると、07年のメイショウサムソンを最後に勝ち馬はおろか、人気以上に好走した馬すら一頭もいない。

この要因に関しては、間隔開けローテが主流の現代競馬において、3200mのGⅠを目一杯走った直後の距離短縮ローテは相当過酷であるという点にあると見ている。有馬記念において前走ジャパンC勝ち馬が06年のディープインパクトを最後に勝利できていない(06年以降【0.1.1.4】)というのも似た様な事例として挙げられる。この点が臨戦過程を重視する自分としては少々気になる所。それでも宝塚記念は、タイトルホルダーの馬キャラを活かすには絶好とも言えるレース。軽く扱う事ができない。


・デアリングタクト 松山弘平

評価B

広いコースや外枠、距離延長ローテなどを利して淡々とレースを運ぶ形を好む馬が多いエピファネイア産駒。

それを思えば【前走】のヴィクトリアマイルは長期休養明けで高速馬場のマイル戦に挑むというこの馬にとっては厳し過ぎる臨戦過程。不向きな内枠だったという点を踏まえても凡走は止む無しだろう。

一転して距離延長ローテ、そしてタフな消耗戦に替わるという臨戦過程は前走比では明確にプラスと言っていいだろう。本質的に時計や上りの掛かる競馬向きであるというのは、極悪馬場の桜花賞や稍重という事もあり上がりを要した秋華賞の内容からも明らか。"無敗の牝馬三冠"という称号が独り歩きしてやや過剰に評価されている感のある馬ではあるが、適性・臨戦過程という観点で見れば前走からは前進必至と言っていいだろう。枠は当然ゴチャ付かない外枠がベター。


・ディープボンド 和田竜二

評価B

キズナ産駒らしいパワー型で道悪や上りの掛かる消耗戦でバテない強みを活かす形を好むキャラ。自身のバテない強みと加速に時間のかかるズブさを相殺する事の出来る長距離戦で抜群の安定感を誇るのも納得と言った所。

【3走前】の有馬記念は内枠からポジションを主張し持ち前のバテない強みを活かし2着に粘り込んだ。【2走前】の阪神大賞典は時計の速い馬場のスローペースというこの馬が最も好まない状況下での競馬となったが力でねじ伏せる着差以上の競馬を披露。レベルの低い長距離戦線では一枚上の能力の持ち主である事を改めて証明した。【前走】の天皇賞春は大外枠という事もあり、ほとんどの時間外々を回り続けるろロスがあった事に加え、前年の天皇賞春2着時に比べて緩い流れになった事で勝負所で自身の弱点であるズブさを露呈し勝ち馬タイトルホルダーに一瞬にして付き離される形に。それでも持ち前のバテない強みを活かしラスト1Fで脚の上がったテーオーロイヤルを差して2着を確保した。完璧なラップメイクで逃げ切った勝ち馬には完敗だったが、より上がりや時計の掛かる状況であればあの着差はも少し詰まっていただろう。

今回はパンサラッサ×タイトルホルダー×逃げ宣言のアフリカンゴールドが出走し、舞台は反主流的なタフが要求される阪神2200m。同舞台で行われた昨年のエリザベス女王杯でワンツー決着を決めたキズナ産駒の典型とも言えるバテないタフさが強みのこの馬にとっては文句なしの舞台設定。パンサラッサが暴力的なラップで飛ばし消耗戦に持ち込むであろう恩恵を最も受けられそうなのはこの馬だろう。

初GⅠ制覇があるなら今回と言いたい所だが、不安材料が1つ。それは阪神2200mという舞台自体は大歓迎だが、そこに天皇賞春からの距離短縮ローテで挑むという点。追走面と勝負所でのズブさが弱点であるこの馬にとって距離短縮ローテは不向きで、事実これまで距離短縮ローテでは一度も馬券になっておらず、新馬→未勝利の2戦を除けば馬券になったレースは全て距離延長ローテ時(海外を除く)。先週までの良好な馬場に距離短縮で挑むとなると差し遅れやスピード不足の懸念が出てくる。一転して道悪や雨の影響で時計は上がりの掛かる馬場になり、不向きな距離短縮ローテやズブさといった自身の弱点を相殺できる様な状況になれば評価を大きく上げる必要がある。


・パンサラッサ 吉田豊

評価C

欧州の名種牡馬である母父モンジューの影響を色濃く受けており、消耗戦に持ち込み後続に脚を使わせる逃げで覚醒した馬。

【2走前】の中山記念や【4走前】の福島記念の様に、普通の馬であれば"暴走"と言ってもいい程のペースで逃げて後続に脚を使わせる形がベスト。反対に高速馬場や緩いペースになると、持ち味をまるで活かせずという形に終わるだろう。

今回もここ数戦同様、迷わず自分の競馬に徹する形になるはずで、舞台は反主流的な消耗戦むきのタフさが求められる阪神芝2200m。欧州の名種牡馬モンジューの影響を受け消耗戦に持ち込む事で結果を出して来たパンサラッサにとっては理想的な舞台と言えるだろう。例年とは異なり昨年同様開幕週2週目の良好な馬場(≒先行馬向き)で行われる点も好材料。2200mという福島記念、中山記念、ドバイターフよりも微妙に長い距離が鍵にはなってくるが、単なる逃げ馬として軽く扱う事はできない。

そしてこのパンサラッサを語る上で必ず触れなければいけないのが、パンサラッサは差し馬を連れてくるという点。この馬が現在のスタイルを確立した【5走前】のオクトーバーS以降のレースのこの馬を除く1~3着馬は全て4角5番手以下の差し~追い込み馬。先行馬を暴力的なラップで潰し、消耗戦向きの差し馬を連れてくる。これがパンサラッサが出走したレースの狙い目になってくるのではないかと見ている。


・ヒシイグアス D.レーン

評価D

ハーツクライ×米国型という血統らしい主流条件向きのスピード型。唯一の大敗が福島×道悪馬場という、反主流的な条件が問われた【10走前】のラジオNIKKEI賞である事がその証明。母父にスピートと前向きさを与える米国型のBernsteinが入った事で、距離延長などの自分のペースで運ぶ形を好むハーツクライ産駒だが速いペースでも流れに乗って競馬が出来る馬だ

何度もこの考察記事で話している通り、【前走】の大阪杯はディープ×米国型という主流条件向きのスピード型が1,2着で、母父米国血統が上位を独占したレース。流れに乗って粘り込んだ上位2頭に比べれば、差しての競馬だった分大幅に評価を下げる必要はない気もするが、前述した通り唯一の大敗が反主流条件の道悪の福島での競馬だった点からも、この舞台で前走から更にパフォーマンスを上げる可能性は低いと見る。主流条件であれば十分GⅠに手が届くレベルの馬なだけに、天皇賞秋等で条件が揃えば狙いたい一頭。


・ポタジェ 吉田隼人

評価D

宝塚記念の予想ポイントでも話した通り、日本の主流とはズレた消耗戦向きのタフさが求められる宝塚記念とは相反する主流条件向きのスピードが求められる大阪杯で結果を出した馬は、宝塚記念では当然パフォーマンスを落とすというのが個人的な見解。そんな大阪杯を制したのがこのポタジェ。ディープインパクト産駒らしく非常にまとまった馬でどの舞台でも堅実に走る事の出来る安定感が売りで大きく崩れるイメージは湧かないが、条件合致の前走のパフォーマンスが評価されて人気が上がる今回はやはり軽視せざるを得ない。


・マイネルファンロン M.デムーロ

評価C

【6走前】の新潟記念、【2走前】のAJCCはいずれも外差しの届く馬場を利しての大激走。【前走】の天皇賞春は3200mへの大幅距離延長で道中掛かりながらの追走に。それでもゴールまで渋太く脚を使って6着と大きく崩れなかった点はそれなりに評価していいだろう。

血統や戦歴から反主流的な消耗戦向きのタフさが求められる阪神芝2200mへの適性は高いはずで、前走掛かりながらの追走で力を出し切れなかった事を思えば距離短縮もプラス材料。先週までの良好な馬場が続く様ならさすがに厳しい印象だが、馬場が渋るなどして外の差しが十分届く様な馬場になる様なら一昨年のモズベッロの様なあっと驚く激走があっても不思議ない一頭。


・メロディーレーン 団野大成

評価D

小っちゃくて可愛い!頑張れ!

(父オルフェーヴル×欧州色満載の母系(タイトルホルダーの半姉)や戦歴から阪神芝2200mという反主流的な消耗戦無為のタフさが求められる舞台への適性は相当高いという事だけは言っておきます)

✅評価まとめ

A評価 無し

B評価 キングオブコージ
    デアリングタクト
    ディープボンド

C評価 アフリカンゴールド
    エフフォーリア
    ステイフーリッシュ
    タイトルホルダー
    パンサラッサ
    マイネルファンロン

D評価 アイアンバローズ
    アリーヴォ
    ウインマリリン
    オーソリティ
    ギベオン
    グリリアムンディ
    ヒシイグアス
    ポタジェ
    メロディーレーン


ここから枠・馬場・オッズ等を加味した予想を組み立てていきます。最終結論に関してはいつも通り、noteの方で公開しますので気になる方はぜひそちらもご覧になって頂ければと思います!

くそ長い記事に最後までお付き合い頂きありがとうございました!











今年も当てたい….

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