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(1)患者の気持ち、歯医者の気持ち /歯科医師・野地一成の「維持論」

「メンテナンスが大事なのは分かってる! でもなかなか手付かずで…」と放っているうちに、悪化した時にはもう取り返しのつかないことになっていた…、なんていう経験、ありませんか?

自分が持っている道具や備品、自分の体の健康状態、会社や組織の経営状態、人との人間関係、などなど。ちょっとの手間を面倒がったりコストを惜しんだりして、日頃の手入れや心がけを怠っていたことで、後でとんでもない状態になってしまったということ、経営や人生の中で何度も経験してしまいますよね。

「維持管理」の意識がしっかりしている人ほど、仕事ができる!

経営もトラブルが最悪の状況を迎えないように日頃から最新の注意を払い、最高のパフォーマンスができるように日々の健康管理に注意し、靴はピカピカ、スーツはパリッ、身なりはピシッと整っていて、仕事で使う道具や備品の整備もしっかりできている。そんな人は「維持管理」の意識が高いのです。

今回、そんな「維持管理」の大切さや意識の持ち方を、人体の「歯」の観点から述べていただくことになりました。

人間の体は全体的に維持管理が大事ですが、特に大事なのに特に軽視されてしまいがちなのが、歯です。年齢と共に抜け落ちていき、放っておくと虫歯になって失ってしまうのが分かっている。それなのに、歯磨きが面倒、歯医者に行くのがおっくう、甘いものをやめるのがイヤ、などと考えてついつい軽んじてしまう部分ではないでしょうか。

というわけで、今回は「維持論」というテーマで、こちらの先生に執筆をお願いすることにしました。

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 ▼野地 一成 (のじ いちなり)

野地デンタルクリニック院長。歯学博士。東京都出身。2007年に地元の神田小川町にて野地デンタルクリニックを開業。2010年より母校の日本大学松戸歯学部薬理学教室兼任講師。臨床歯周病学会、スタディグループ救歯会、臨床歯科を語る会所属。発表論文も多数。

野地デンタルクリニック

・公式ブログ「のじでんのひとりごと

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日本にはコンビニの数より多いと言われる歯医者さんには、「何が何でもすぐに元に戻す」ことが最上位の先生もいれば、「とにかくインプラントを入れてがっちりと噛み合わせを作る」ことが最上位の先生もいたりと、その理念や考え方も千差万別です。

そんな中、「自分の歯で作られる噛み合わせを生涯にわたり維持すること」をとても大事にしている野地デンタルクリニックの野地院長はまさに、「維持」に大切なことは何なのかというテーマを語って頂くのに最適な先生だと思い、ご執筆をお願いしました。

『ビジネス発想源 Special』の「各界発想源」にて2012年11月に連載され大好評を頂いた『歯科医師・野地一成の「維持論」』全6回を、noteに再掲載することになりました。ご自身の歯の維持管理、身体の健康管理はもちろん、会社の設備や工具のメンテナンス、社員やお客様との長いお付き合い、良質な経営の維持など、お仕事にも活用できる多くのヒントが見つかると思います。ぜひご利用下さいませ。

※連載当時の、読者の皆さんの質問に野地一成先生がお答えする「Q&A」も掲載致しました!

※連載当時に同時掲載し好評を頂いた、『ビジネス発想源』筆者・弘中勝による便乗連載企画『弘中勝の「勝手に維持論」』も収録!

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●歯科医師・野地一成の「維持論」

    〜長く正しく付き合えば、長く愉しく幸せに。〜(全6回)

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【第1回】 患者の気持ち、歯医者の気持ち

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はじめまして。

歯科医師の野地一成と申します。

東京都千代田区のオフィス街・神田小川町にある、「野地デンタルクリニック」の院長を務めています。


「歯を残す生涯のかかりつけ医を目指す」。

これは、私たち野地デンタルクリニックのモットーです。

一生涯で、できるだけ歯を残す、という方針を取っています。


そのコンセプトを語る際に、当院がよく用いている言葉が、

 「常緑」

という言葉です。

常緑樹とは、落葉樹とは違い、一年中葉を落とさずに緑の葉を保っている樹木のことです。

私たちもその「常緑」という言葉のように、生涯にわたるお口の健康を保ち、できる限り自分の歯と長く付き合ってほしいと願っています。

そんな信念で毎日治療にあたっている私、野地一成の独善と偏見に満ちた「健康」への提言を交えながら、「常緑」を実現していく、メンテナンスの大切さについてお伝えしていこうと思います。


ビジネスマンの皆さんにとっても、長く付き合っていかなければならない存在のものが周囲に多くあるのではないでしょうか。

商品群、備品類、仕事場、取引先や同僚、地域の皆さん、ご夫婦やご家族…。

長く幸せに付き合っていくべきものは、ビジネスにも人生にも多々あると思います。

この「維持論」が、その長く幸せなお付き合いのヒントになれば幸いです。


まずは、皆さんの歯に対する意識について問いかけたいと思います。

それでは質問です。


【Q1】

「虫歯になったら、できるだけ早く虫歯を取って詰めてもらうことが理想的だ!」

……皆さんの考えは「はい」ですか、「いいえ」ですか?


さて、歯科医院で治療を受ける時には、誰だって

「できるだけ、抜歯しないでほしい」

と思いますよね。

 

ホープレス(治療効果が全く認められない瀕死の状態)、または親知らずなどの時以外は、できれば歯は抜かないでほしいと思うものです。

それには、「歯を失いたくない」という想いがあるはずです。


しかし、それは本当に誠実で純粋な想いでしょうか?

歯科医院に虫歯を治療しに行った時のことをイメージしてみて下さい。

 

「実はこの虫歯、以前忙しかった頃に、別の歯医者で治療を途中で中断している歯なんだよね……」

「甘いものがやめられないし、歯磨きも面倒だし……」

「頑張って治療しても、どうせ後でダメになるんでしょ……」

などと、医師には言いにくい考えも少しはありませんか?

「歯を失いたくない」と思いながらも、それに反する気持ちも少なからずある、という人が案外多くいらっしゃるのです。

これでは「歯を失くないたくない」という気持ちが、「誠実で純粋な想い」とは言えません。


では逆に、医療従事者側にも同じように、「歯を失わせたくない」という気持ちが「誠実で純粋な想い」ではなかったとしたら?

「CTを買って借金があるし、月々の返済もこれだけあるから、さっさと歯を抜いて、インプラントを勧めてしまおう」

「医療法人で定められているノルマを達成するために、保険の詰め物はできるだけ早く、多くの本数の歯に対してやっておこう」

「この治療方法をもっとできるようになりたいから、この治療法を優先的に勧めよう」

「大学の研究テーマがこの治療方法だから、適応症だけ集めてそのケースだけきれいに治療しておこう」

…とても怖くてひどい話ですが、全て、私が実際に耳にしたケースです。

要するに、患者さんも歯医者さんも「歯を失いたくない」「歯を失わせたくない」という「誠実で純粋な想い」とは別のところで治療に向かっている場合が多いように思います。


ところで、先ほどの質問、「虫歯になったら、できるだけ早く虫歯を取って詰めてもらうことが理想的だ!」に、「はい」と答えた方。

治療を急ぐこと自体には問題はありませんが、考え方にやや不安を感じます。


虫歯になったらまず気付いてほしいのは、…

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