メタバース!NFT!Nike社による買収も(資金調達まとめ 12月号)

こんにちは!
わたしたちW venturesが注目するエンタメ、スポーツの分野における資金調達ニュースをお届けしていきます。

今回はメタバース、NFT、ブロックチェーン分析、ファンタジースポーツ、SNSの資金調達を取り上げています。わたしたちも投資しているNFTやメタバースなどこれらのテーマの動向については、引き続き注視していきます。

それでは、紹介していきましょう!

資金調達ニュース(12月)

■アメリカを代表するeスポーツチームの「100 Thieves」がシリーズCで$60Mを調達

*Source:https://www.valorant4jp.com/2021/12/100-thieves60006846.html

100 Thieves」はカリフォルニア州ロサンゼルスを拠点に活動する、著名eスポーツチームである。
同社はeスポーツチーム、メディア、アパレルの3つのコンテンツを中心に事業を展開している。従来のeスポーツチームと異なり、収益がチームのみでないことが特徴的である。
2018年以前はアパレルのイメージが強かったが、近年はLeague of Legends、VALORANTなど既存のチーム拡大に加えて、複数の膨大なフォロワーを抱える著名ストリーマー * と契約するなど、コンテンツ制作に注力している。
トヨタが展開する高級自動車ブランド「レクサス」とのパートナーシップ、米国の人気ラッパーLil Nas Xとのコラボ、ゲーミングデバイスHigroundの買収など、様々な取り組みを発表している。
今回の資金調達により企業価値は$460Mに到達している。調達した資金は、中核事業であるアパレル事業の拡大や新規事業の立ち上げに使われる。

* ストリーマーとは、ゲーム実況を配信して収益を上げている人を指します。

■ソーシャルVRプラットフォームの「Rec Room」がシリーズDで$145Mを調達

*Source:https://techcrunch.com/2021/12/20/rec-room-raises-145m-at-a-3-5b-valuation-for-its-user-generated-immersive-gaming-platform/

「Rec Room」はソーシャルVRプラットフォームを運営する、所謂メタバース領域の企業である。
バーチャル空間上で他のユーザーとコミュニケーションを取ったり、一緒に簡単なゲームで遊ぶことができる。また、みんなで音楽やダンスを楽しむクラブや、友達と誕生日パーティーをするプライベートルームなど、コロナ禍で不足している「誰かと触れ合う、一緒の空間を共有する」体験を提供している。加えて、自分や他のユーザーがRec Roomで遊ぶためのゲームをノーコードで制作でき、プログラミングは必要ない
リリースから5年が経過したものの、未だに根強い人気を誇っている。ユーザー数は年々増加し続けており、現在は3700万人に達した。成長の要因として、クリエイターエコノミーの側面も挙げられる。自分や他のユーザーが作ったゲームやアイテムを、ゲーム内通貨で売り買いできる仕組みになっている。また、2021年3月にはゲーム内通貨をUSドルへ換金できる機能も実装している。(Rec Room Plusメンバーに限定かつ年齢や取引額の制限はあるものの、コンテンツ制作から販売、収益獲得というサイクルが成り立っている。)
今回のラウンドは、Coatueが主導し、既存投資家のSequoia Capital、Index Venturesなども参加した。調達した資金を用いて、開発とユーザーの獲得を加速させていく。

■個人投資家向けソーシャルメディアプラットフォーム「Stocktwits」がシリーズBで$30Mを調達

*Source:https://www.bloomberg.com/news/articles/2021-12-16/social-media-platform-stocktwits-nabs-210-million-valuation

Stocktwits」は、個人投資家が株や暗号資産などの金融商品について意見を共有することができるTwitterのようなサービスを展開する企業である。
2021年にはユーザーが50%増の600万人に達し、月間アクティブユーザーは100万人いる。
月額$7.9のPlusプランを購入することで、広告なし、アドバンストサーチ(自分だけでなく他メンバーの過去の全てのメッセージが検索可)が利用できる。
今回のラウンドにはAlameda Research Ventures、ffVC、Foundry Group、Social Leverage、Times Bridge、TrueVenturesが参加した。同社の評価額は$210Mとされている。
調達した資金は、インド市場への展開や暗号資産取引への参入に使われる。広告収益モデルから脱却すべく、米国の取引所FTXと提携して暗号資産の取引機能を実装する。その後は、株式取引も実装していく。

■コミュニケーションツールの一元管理サービス「Mio」がシリーズAで$8.7Mを調達

*Source:https://m.io/

「Mio」はSlack、Microsoft Teams、Webex Teamsなど様々なコミュニケーションツールのAPIを統合して一元管理できるサービスを提供している。
使用しているアプリに関係なく世界中の人がコミュニケーションできる世界を作ることを、ミッションに掲げている。
コロナ禍によってリモートワークが増えたことで、多くのコミュニケーションツールを使うシーンも増えたため、この様な一元管理が必要とされている。
今回のラウンドはZoomとCisco Investmentsが主導しており、その他にもKhosla Ventures、Y Combinatorなど著名なVCも参加している。
調達した資金を用いて、Google Chat、Meta's Workplace、Symphonyなど新たなツールの統合にも対応していく。

■ゲーミングNFTのマーケットプレイス「Starly」がシリーズAで$6.12Mを調達

*Source:https://blockonomi.com/starly-guide/

Starly」は、ゲームトークンの公開販売をサポートするために構築されたプラットフォームであり、注目が集まっているNFTコレクターマーケットに対応している。
また、ユーザーがゲーミングNFTをスムーズに購入、販売、取引できる独自のマーケットプレイスも備えている。
今回の調達ではDapper Labs、Animoca Brands、LD Capital、Double Peak、Axia8、Youbi Capital、KuCoin Labs、Shima.capital、SkyVision Capital、MaratKichikovなどが参加している。
ユーザーが3000万人以上のF3や1億5,000万人以上のAsk.fmといったソーシャルネットワークを設立した、経験豊富なチームによって運営されている。昨年末時点でDiscordには8,000人以上の参加者がおり、1,000人以上が常時オンラインになっている。
2022年1月25日には、音楽NFTのWeb3アプリケーションであるMelosStudioと共同でデヴィットボウイのNFTコレクションの販売も発表した。

■投資家・金融機関向けブロックチェーン分析の「Nansen」がシリーズBで$75M調達

*Source:https://www.nansen.ai/

Nansen」は、投資家や金融機関向けにプロジェクトの発掘、デューデリジェンス、取引において、より多くの情報に基づいた意思決定を行えるよう、質の高いマーケットインテリジェンスを提供する企業である。
オンチェーンデータと1億以上のブロックチェーンウォレットの活動に関する独自のデータベースを組み合わせることで実用的な洞察を、投資家や金融機関にリアルタイムで提供している。
今回の調達はAndreessen Horowitzが主導し、Accel、Amplify Partners、Folius Ventures、GICL1 Digital、Old Fashion Research、SCB 10X、Skyfall Ventures、Tiger Global Managementなどが参加している。
Nansenは現在70人以上の従業員がおり、今後6ヶ月でその数を倍増させる予定である。

M&A/IPOニュース(12月)

■「Nike」がバーチャルスニーカーのNFTブランド「RTFKT」を買収(金額非公表)

*Source:http://www.nike.com

買い手である「Nike」は、スニーカーやスポーツウェアなどスポーツ関連商品を扱うアメリカに本社を置く企業である。
昨年11月にはオンラインゲームプラットフォームRobloxとの提携を発表し、バーチャルワールドNIKELANDを設置するなど、メタバース事業に参入している。
競合企業であるスポーツ用品メーカーAdidasも、昨年12月にメタバース事業への参入を発表する * など、続々と大手ブランドがメタバースを意識した展開を始めている。

* アディダスオリジナルスは、2021年12月17日にブランド初となるNFTの限定コレクションInto the Metaverseをリリース。

*Source:https://rtfkt.com/

売り手の「RTFKT」は、バーチャルのスニーカーやアバターなどのNFTを手掛けるスタートアップである。
同社のNFTは著名人とのコラボ作品が多く、ゲーム、VRスペース、メタバースなどで活用できる点が特徴である。
創業当初に、eスポーツの強豪チームが国際大会で使用したことで注目を集めた。その後、10代のデジタルアーティストFEWOCiOUSと共作した約3.5億円のスニーカーは、発売開始から6分ほどで完売するなど、メタバース・ファッションブランドとして話題になった。2021年5月には、グリー傘下のGFRなどから資金調達を行っていた。
今回の買収により、同社のNFTアバターClone Xの価格は急上昇し、NIKEの公式発表から1時間のうちに、マーケットプレイスOpenSeaでの取引額は$20M(約22.7億円)相当にまで達した。

■米国のチケットマーケットプレイス「Vivid Seats」がファンタジースポーツアプリ「Betcha」を$65Mで買収

*Source:http://www.vividseats.com

買い手の「Vivid Seats」は、アメリカ国内で3番目に大きなチケット販売会社である。
オンラインで、スポーツ、ミュージックなどエンターテインメントのチケットを販売、再販する事業を手掛けている。ESPN、Rolling Stone、Los Angeles Clippersなど業界大手ブランドの公式チケットパートナーも務めている。2001年に創業し、2021年10月にSPAC(Horizon Acquisition Corp)を通じて評価額$1.9Bで株式公開を果たした。

*Source:https://www.betcha.one

売り手である「Betch」は、ファンタジースポーツアプリを運営する米国企業である。
カジュアルユーザーとコアユーザーの双方が楽しめるファンタジースポーツアプリの開発を目指しており、直感的で使いやすいUI/UX、ソーシャル機能(友人や家族との共同プレイなど)、ゲーミフィケーション機能の3つに注力している。
今回の買収を通じて、買い手のVivid Seatsはチケットマーケットプレイスの既存顧客にファンタジースポーツを提供していく。また、ファンタジースポーツに関心のある潜在層も呼び込むことで、チケットの販売、再販の拡大を狙っている。


いかがだったでしょうか?

今後も、定期的に国内外の資金調達ニュースをお届けしていきます。

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