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長年の推しと担当クラブのエースが同じ日に青から赤へと電撃移籍した話

今年も待望のプレミアリーグ開幕でした。しかーし!
直前の8月7日になって、え?っていう。

…びっくりしたわー。

いまチェルシーは大変な時期なのに、この状況でアンタって人は…と愕然とすること暫し。いやあの、あたしこないだのRakuten Cup、埼スタのバルサ戦行ったんですけど。しかも分不相応な7万円のチケット買ってバクスタ最前列でフル装備でブルーズ応援したんですけど!

新ユニだって買ったのに。

幻の一着になってしまった…。そればかりか、まだイングランドから届いてないグッズもあるっていうね…。

でも、めっちゃ楽しかったのです。実にエキサイティングだった。炎天下、浦和美園駅からてくてく歩いて。グッズ売場の長い列に並んで。

ピッチ内アップに出てきたときの「きゃー! 目の前にいる! おんなじ空気吸ってる!」的なミーハー感。

ロンドを終えてキックの感触を確かめる人が目の前すぎる。

キックオフ前にスパイクの紐を結びなおすとき、あたしの席の延長線上にいたのは絶対わざとだと思う(病的妄想)。

ランパードが監督になって、アザールが抜けて、プリシッチが初先発でどんな感じかなーという試合。守備は結構手堅い感じにブロック作ってました。
グリーズマンとのカーリーヘア・マッチアップあり、クサビを潰しに出て豪快に入れ替わられたやらかしあり(風物詩的な)。前半だけの出場だったから、後半はデ・ヨングの素晴らしさを堪能してました。って、相手チームやないかーい。

あとJリーグと違ってサポーターの応援とかチャントがないから、選手たちの声とかボール蹴る音がメリメリ聞こえてテンション上がりました。試合自体も見せ場が多く盛り上がり、それはもう、極上のエンターテイメントでしたよ。

試合後に場内一周。最前列、全身チェルシーでフラッグまで掲げてたあたしは彼の視界に入った、はず。周囲は節操なくチェルシーだろうがバルサだろうが有名選手の名前を呼んでたけど、こんだけブルーズな出で立ちでバルサの選手に媚を売ることはしないのが操というものであります。

そんな純粋なサッカー観戦、マッチレポ用のメモを取る必要もなく、ただ強度の高いプレーやゲームの駆け引きを堪能して、シンプルに楽しかったのです。どう見てもただのファンです。個サポです。ありがとうございました。

って感じで、開幕を楽しみに待つじゃないですか。チェルシーの試合日程をカレンダーにインプットして。あと数日!ってときにまさかの移籍、しかもアーセナルかよー!

衝撃を懸命に消化しつつ、アーセナルの試合日程をカレンダーにインプットしなおす作業。

そして奇しくもその日、仕事のほうでも、大きな移籍がありました。

コメント取りに呼び出され、必死でクラブハウスまで車を飛ばし。インタビューと動画メッセージを録って。

昨季J2で12得点して大分トリニータのJ1昇格に貢献し、今季はJ1前半戦の好調を牽引したエースストライカーがシーズン途中にブッコ抜かれたわけなので、これは大きい。しかも神戸戦の3日前という状況で。

とにかくともかくといった感じで、ファン・サポーターのために届けたクラブ公式コンテンツがこれ。動画と記事、どちらも有料です。月額324円。

近畿大卒業後、JFL佐川印刷からスタートしてJ3鹿児島ユナイテッド、J2大分トリニータと個人昇格を続けてきたストライカーが、ついにチームで昇格して国内最高峰のステージへと到達した2019年。J1開幕戦で2得点を挙げて「昇格組がアジア王者・鹿島を下した!」と大騒ぎに。しかも所属したすべてのカテゴリーで開幕ゴール達成、どれも左足シュート。そんな新記録まで打ち立てた“持ってる男”です。彼が歩んできた「藤本憲明ストーリー」はとどまるところを知らない。今季J1でダントツに最低予算のチームから一転、ダントツに最高予算のチームへ。年俸ダダ上がり。もちろん大分にも多額の移籍金と違約金を残して。さらに移籍3日後の古巣戦にメンバー入りし、短時間ながら途中出場するという、トピック満載の展開。試合前からのトリサポの大ブーイングは試合後には温かい拍手と惜別の涙、「頑張ってこいよー」「しあわせになれよー」の声援に変わり、それはなんだかとても美しい光景だったのでした。本人もこんな感じ。

今季8得点のエースが引き抜かれたのはチームにとって大きな痛手であるとともに、クラブにとっても損失は大きく、またエンターテイナーの彼がいなくなることはオフィシャルの番記者にとっても痛い事態。

だけど個人的にはこういう、自分のサッカーだけで渡り歩いていく外国人助っ人みたいな仕事人は大好きです。なぜならわたし自身もそうやって自分の文章で食ってきた根無し草だから。藤本選手より少し前にFC岐阜に移籍した馬場賢治選手もそうですが、つねに自分の輝ける場所を求めて放浪するタイプ。

一方で、トリニータがJ3に降格してもその責任を負うように、他からのオファーを蹴って、ずっと大分にい続けてくれた選手もいます。それも強靭なプロ意識だと思います。年俸を下げてまで大分に残っただけでなく、過酷なJ3を戦い、チームを1年でJ2に復帰させて、さらにJ1にまで押し上げる働きを遂げた人たちですから。なかなか出来ることではないですよね。

ひとつところに根を下ろすのも、敢えて下ろさずにいるのも。いずれの道を選ぶにしても、背負うものは大きく、人生はしんどい。しんどいけれど、やりきった先にはきっと、登ってきたところを高みから見渡せるような美しさがある。

開幕のニューカッスル戦に早速ベンチ入りして、敵地で1−0勝利の好スタート。出なかったけど。

いつも取材しているJリーグの選手たちと違って存在が遠過ぎて、リハビリ中もSNSに上げるのはブラジル人らしい明るい笑顔ばかりだし、ポルトガル語や英語では細やかなニュアンスや心の機微も汲み取れないのだけど、まあいろいろ見てはきたよね。

…って振り返ってるあいだに、スナイデル現役引退のニュースが飛び込んできたよ。今年もビッグなプレーヤーが次々と。シャビ。フォルラン。ロッベン。トーレスなんて来週、サガン鳥栖で引退ですよサガン鳥栖で。

ダビド・ルイスも32歳。チェルシーの一員としてRakuten Cupで来日してくれて、間近でプレーを見れてよかった。三木谷さんには感謝しかありません。…まあ、トリニータのエースを引き抜いたのも三木谷さんなんですけど。そしてどちらも青いチームから赤いチームへの電撃移籍。人生、どんなタイミングで何があるかわからないもんです。

埼スタに行く前までは「うれしすぎてRakuten Cup後の日々はあたしにとっては余生になるんじゃなかろうか…」と心配していたのですが、そんな余韻に浸る間もなく、予想外のかたちで新シーズン開幕。激動の日々はまだまだ続きそうです。


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