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洋上風力ラウンド2の結果から見えてきた入札ルール変更の問題点

2024年4月24日に開催された審議会資料を見て、黙っていられなくなりました。2022年7月に指摘した通り洋上風力の公募の選考事務局の技術的デューデリジェンス能力(目利き能力)がないことが立証されたからです。

一部の事業者からの陳情を受けて自民党再エネ議連がしかけた入札ルール変更の結果、迅速性(早期運転開始)という新しい評価項目が追加されました。

その結果、洋上風力ラウンド2の入札では、4海域すべてにおいて最も早い運転開始時期を掲げたグループが落札しました。運転開始時期を早めるには、入札前までに詳細な検討が済んでいること以外にありえません。入札前までに詳細な検討ができている事業者が選ばれたのでしょうか。

4月24日に開催された「総合資源エネルギー調査会省エネルギー・新エネルギー分科会再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会洋上風力促進ワーキンググループ 交通政策審議会港湾分科会環境部会洋上風力促進小委員会 合同会議(第24回)」の資料が公開され、各海域の落札者の検討状況がわかる資料が出てきました。

これらの資料を元に、「洋上風力ラウンド2の結果から見えてきた入札ルール変更の問題点」について解説します。

最大の問題点:実現性のない迅速性

この審議会の資料3-1から資料3-4までが各海域の落札者の検討状況の説明資料です。これらの資料を見ると、迅速性に実現性のない海域が4海域のうち3海域もあることが発覚しました。

その運転開始時期が達成できそうかどうかを見るうえでのチェックポイントは、以下の3点です。

  1. 体制図

  2. 基地港湾

  3. スケジュール

迅速性に実現性があるかどうかを、どのように評価したのか、海域ごとに解説します。

1.秋田県八峰町及び能代市沖(以下、八峰沖)

審議会資料の資料3-1を見ると、運転開始時期は「2029年6月」とあります。八峰沖のグループが、これを達成するために必要な検討をしているかどうかチェックしてみましょう。

資料2ページに体制図があります。体制図のチェックポイントは、「具体的な社名が書き込まれているか」です。特にEPC(設計・調達・建設)の社名が書かれているかが重要です。それは、EPCによって設計ノウハウや建設機材が大きく異なるためです。

八峰沖の資料には、「清水建設」と明記されています。このことから、このグループは、基礎の据付に清水建設のSEP船BLUE WINDを確保していると考えられます。

清水建設のサブコンの箱は「国外マリンコントラクター」なっていて、社名がありません。しかし、ここは未定ではなさそうです。未定であれば「国外マリン」すら書けないはずで、交渉中で名前を出せないということでしょう。

以上から、八峰沖は、具体的な体制の検討が進んでいると読めます。

次に、4ページに飛んで、基地港湾を見てみましょう。

基地港湾は、基礎用に「秋田港・船川港」、風車用に「室蘭港」と分散しています。これは、なぜでしょうか。

八峰沖から最寄りの基地港湾は能代港です。しかし、ラウンド1の三種沖のグループがほぼ同時期に占有しています。八峰沖のグループは、三種沖のグループとの調整余地がないと判断して、入札前に最寄りの能代港を諦めたのでしょう。

最近の資料で、三種沖の地盤が当初想定よりも軟弱と判明し、地盤調査が追加されたとあります。八峰沖のグループが熟慮の末に、最寄りの能代港を諦めて三港分散という手に出たことがわかります。この審議会の録画でも、この点について審議会の委員から質問があり、事業者が「苦渋の決断だった」と回答しています。

基地港湾を三港に分散する場合、以下の課題があります。

  • 秋田港:ラウンド1由利本荘沖、ラウンド2潟上沖と利用時期が重なるため、そことの調整が必要になります。

  • 船川港:国交省の指定する基地港湾ではないため、大きな地耐力を必要とする作業はできません。秋田港に置ききれない部材の置き場としての利用なのでしょうか。

  • 室蘭港:八峰沖まで300kmも離れているため、風車の輸送に時間がかかり、工程の組み方が難しくなります。

上記の課題にどう対応するのかは、この資料からは読み解けませんが、その代わりにスケジュールがどこまで深く検討されているのかを見てみましょう。

日本海の洋上風力では、洋上工事のスケジュールが越冬しないことが必須条件です。冬の日本海はしけて船を出せないからです。北海道、東北、北陸地方の日本海側では、冬の間に洋上工事のスケジュールが組まれていたら、完全に絵に描いた餅です。

八峰沖の資料の4ページのスケジュールを見ると、基礎施⼯、海底ケーブル施⼯、⾵⾞施⼯ともに、海がしける前に終わらせる工程になっており、2028年までに建てきる計画です。これならば、運転開始時期までのバッファが十分にあります。

以上から、八峰沖は運転開始時期を達成する可能性は三港分散の取り廻しにかかっていると考えられます。

2)秋田県男鹿市、潟上市及び秋田市沖(以下、潟上沖)

審議会資料の資料3-2を見ると、運転開始時期は「2028年6月」とあります。潟上沖のグループは、この目標を達成できそうなのか見てみましょう。

資料3ページの体制図を見ると、すべての箱に社名が入っています。肝心のEPCは、基礎が「鹿島建設」、風車が「五洋建設」となっています。基礎と風車の建設が別の会社になっているのは、この審議会の録画を視聴する限り、鹿島建設のSEP船で基礎を据え付けながら、続けて風車を五洋建設のSEP船で据え付けることで、工期を短縮するためのようです。詳しくは、スケジュールで後述しますが、かなり難易度が高いです。

資料2ページに戻ると、基地港湾は、秋田港となっています。これは、ラウンド1由利本荘沖、ラウンド2八峰沖に同じです。基地港湾の使用時期は、2025年1⽉~2028年2⽉となっており、なんとラウンド1由利本荘沖の2027年12月(?)~2030年末よりも前倒しされています。

2027年はラウンド2八峰沖と、2027年末から2028年2月はラウンド1由利本荘沖と、秋田港のやりくりが難しそうですが、このあたりは関係者間で調整ができているのでしょうか。

資料4ページのスケジュールを見ると、ラウンド2の結果が出る前から、詳細設計、ウィンドファーム認証に着手しており、早々に設計を終えて調達に入る計画になっています。

潟上沖も、八峰沖と同様に日本海側にあり、冬の洋上工事はできません。基礎据付、海底ケーブル敷設、⾵⾞据付は当然ながら、試運転まで越冬しない計画になっています。

八峰沖と同様に十分にバッファのある計画に見えますが、問題は「基礎と風車を同一年内に据え付ける計画になっていること」です。前述の通り、審議会の委員からこの計画への質問があり、事業者は「基礎の据え付けは鹿島建設の、風車の据え付けを五洋建設のSEP船を使うことで工期短縮を図る」と回答していました。

出典:Pixabay

しかし、同一年内に「基礎の据え付け→ケーブルの引き込み→風車の据え付け」という一連の工程を詰め込むには、基礎据え付け用SEP船、ケーブル敷設船、風車据え付け用SEP船の3船を同一年内に互いに邪魔にならないように取り廻す計画を立てなくてなりません。

これで、基礎の据え付けが遅れたら、その後の工程も遅れるということです。もしかすると、風車の据付が越冬するリスクも残るかもしれません。もちろん洋上工事の越冬はできません。翌年に持ち越しになります。

さらに、基礎と風車を同一年内に据え付けるには、基礎と風車の部材をほぼ同時期に運び込み、風車タワーをプレアッセンブリ(事前組み立て)する必要があります。ラウンド1由利本荘沖、ラウンド2八峰沖とも時期が重なる中、基礎と風車の部材を同時期に秋田港に搬入し、基礎を積み出しながら、風車タワーを事前組み立てするような取り廻しは無理でしょう。

洋上風力発電ができるまで
出典:国土交通省

そのスケジュールを実現するには、八峰沖のグループのように、潟上沖のグループも資材置き場となる補完港を確保する必要があります。資料2ページを見る限り、「その他の港」として「船川港」の記述があります。これが補完港の意味だとすると、ラウンド2八峰沖のグループと完全にかぶります。船川港は、2海域分の資材置き場になるほど大きな港ではありません。

八峰沖・潟上沖双方のグループが連携して互いの輸送・建設計画を調整しないと、八峰沖・潟上沖の二海域が共倒れになるリスクがあります。また、このスケジュールは、鹿島建設、五洋建設と合意できているのでしょうか。

以上から、潟上沖は運転開始時期を達成するのは難しく、半年遅れがよいところではないかと考えられます。このグループの迅速性(運転開始時期)の実現性・妥当性は高くありません。

3)新潟県村上市及び胎内市沖(以下、村上胎内沖)

審議会資料の資料3-3を見ると、運転開始時期は「2029年6月」とあります。では、村上胎内沖グループが、この目標を達成するのに必要な検討ができているかチェックしてみましょう。

資料3ページの体制図を見てみましょう。なんと風車メーカー以外に社名が入っている箱がありません。前述の通り、設計ノウハウや建設機材などがEPC(ゼネコン)により大きく異なります。EPCの会社が決まらないと建設検討はできません。つまり、EPCの社名がない=建設の検討はしていないということです。

次に、資料2ページに戻って基地港湾を見てみると、「新潟港」となっています。ラウンド1での利用予定がなく、新たに基地港湾指定された酒田港の整備が間に合えば、ラウンド3でも利用予定がないかもしれません。この基地港湾は制約が少ないと言えます。

次に、資料4ページのスケジュールを見てみましょう。村上胎内沖も、日本海側にあるため、冬の日本海の制約を考慮しなくてはいけません。ところが、基礎据付⼯事も⾵⾞設置⼯事も越冬しています。このグループは、対象海域の波浪情報を調べているのでしょうか?

事業者であれば、ナウファスで過去10年分以上の最寄りの観測点の波浪情報をダウンロードしてExcelで稼働可能日数を試算するでしょう。ナウファスを知らなくても、新潟沖の波浪情報なら、ググれば簡単に見つかります。

下記のリンク先に月別稼働可能日数の計算結果を示した通り、12~2月の稼働可能日数はSEP船で4~5割程度、起重機船になると1割程度になります。

起重機船の稼働日数を想定したのは、このグループだけがGEの出力18MW風車を採用しているためです。18MW機になると、SEP船はBLUE WIND級でなければ、基礎の工事に対応できるかわかりません。

BLUE WIND級のSEP船を手配できるEPC(ゼネコン)と契約できなければ、基礎工事が起重機船になる可能性もあります。それでも、このグループは、日本海で冬の洋上工事を想定しているのです。

これこそが、まさしくEPC(ゼネコン)を決めていないがゆえに建設検討ができていない証拠です。今後、ゼネコンが決まってしばらくして、ゼネコンから「越冬工事は無理です」と言われて、スケジュールを修正することになるでしょう。越冬を想定している基礎、風車それぞれの建設が、半年ずつ遅れるでしょう。

設計の観点では、日本では基礎の設計に果たすゼネコンの役割が大きいです。体制図でゼネコン不明なのに、適合性確認・ウインドファーム認証を2026年半ばに終わらせる根拠も不明です。

村上胎内沖は、2029年6月運転開始の可能性はかなり低いでしょう。このグループの迅速性(運転開始時期)の実現性・妥当性は高くありません。

4)長崎県西海市江島沖(以下、西海江島沖)

審議会資料の資料3-4を見てみましょう。運転開始時期は「2029年8月」とあります。では、西海江島沖グループが、この目標を達成できそうかチェックしてみましょう。

まず、資料8ページの体制図を見てみましょう。村上胎内沖グループと同じく、風車メーカー以外の外注先すべて社名なしです。繰り返しになりますが、EPCによって設計ノウハウや建設機材・作業船などが大きく異なります。つまり、EPCの社名がない=建設の検討はしていないということです。

次に、資料9ページで基地港湾を見てみましょう。基地港湾は「北九州港」で、利⽤期間は2027年10⽉〜2030年9⽉となっています。この期間の前に響灘の港湾案件に使われますが、ラウンド1、ラウンド3ともに利用予定がないので、制約はほぼないと言えます。

同じく資料9ページのスケジュールを見てみましょう。西海江島沖も日本海側にありますが、このあたりは冬でもさほど海がしけないので、越冬工事は可能です。

ところが、同じく資料9ページに驚きのコメントがあります。腰を抜かすレベルなので、そのまま引用します。

先⾏案件からの知⾒に基づきモノパイル式基礎を採⽤しております。ジャケット式基礎と⽐べ製造・洋上施⼯⼯期を短縮し、迅速性を実現しております。

資料3-4 みらいえのしまコンソーシアム 提出資料

西海江島沖の地盤は、ほぼ岩盤です。岩盤にモノパイルを打つには、Drive-Drill-Drive、略してDDDという特殊な工法が必要です。これは、モノパイルが入るところまで打設(Drive)し、モノパイルの内側に掘削機を入れて、必要な深さまで掘削(Drill)してから、モノパイルを再び打設(Drive)し、モノパイルの内側の掘った部分に詰め物をするという工法です。

DDDは必ずしも万能ではなく、DDDであっても詳細検討しない限り、「先⾏案件からの知⾒に基づきモノパイル式基礎を採⽤」などと口が裂けても言えません。しかも、DDD打って、掘って、打って、埋めるという手数の多い工法で、工期の目安はざっくり言って1本あたり20日程度と言われています。「ジャケット式基礎と⽐べ製造・洋上施⼯⼯期を短縮し、迅速性を実現」などとも口が裂けても言えません。

しかも、岩盤を掘削したら、土砂処理が必要です。DDDの詰め物に、掘った土砂が使われないためです。そうなると、風車の本数分だけ土砂処理の費用がかかります。環境面の影響もあるため、環境影響評価は当然やり直しでしょう。

さらに、日本特有の事情も考慮しなくてはいけません。DDDの先行案件は地震のない地域で、DDDの耐震設計手法が確立されていない可能性があります。もはやウィンドファーム認証を通す見込みすら立たないでしょう。

この審議会の録画を聴いていると、審議会の委員から「岩盤にモノパイルを打つための具体的な方法は?」という質問がありました。これに対する事業者側からの回答は、「フランスで実績があり、研究の結果、適用可能と判断した。この海域の岩盤の硬さでは十分に掘削可能。今後の地盤調査を精緻化する」というものでした。「地盤調査を精緻化するに、この海域の岩盤の硬さでは十分に掘削可能」と結論付けられるのが意味不明です。

結局、このグループは、2024年の早いうちに、モノパイルを諦めて、ジャケットへの転換を決断しないと、運転開始時期は同海域で競合したJREグループよりはるかに遅くなるでしょう。そうなれば、この海域の入札結果の妥当性さえ崩れてしまいます。

西海江島沖は、2029年8月運転開始の可能性はありえないばかりか、この資料を見る限り、いつ設計、着工、運転できるのかもわかりません。このグループの迅速性(運転開始時期)の実現性・妥当性は皆無です。

問題点のまとめ

これら4資料を見る限りにおいて、各グループの迅速性(運転開始時期)の実現可能性は、八峰沖:トップランナー潟上沖:ミドルランナー村上胎内沖:ウォーカー西海江島沖:コースアウトと言えます。とても同じラウンドで選ばれた事業者とは思えない玉石混交ぶりです。

画像:Pixabay

これら4資料から見えてきた真の問題点は、「実現性・妥当性のない迅速性が評価される入札ルール」とそれにより「洋上風力の普及(=エネルギー自給=国益)を阻害する」ということにあります。

現在の選考事務局には、技術的デューデリジェンス能力(目利き能力)はなく、風力業界の中の人がパッと見れば判断できるような初歩的なミスさえふるい落とせないのです。例えば、ラウンド2の評価結果の11ページを見てみましょう。

村上胎内沖の「事業の実施能力」において、三井物産グループは全海域で唯一の80点満点を獲得しています。つまり、選考事務局は、このグループの計画の実現性が極めて高いと評価したのです。冬の日本海で工事する計画など、地元の漁師さんが見たら呆れるでしょう。それが満点です。

西海江島沖でも、住友商事グループの入札資料に「モノパイル」基礎、JREグループに「ジャケット」基礎と書いてあったのであれば、選考事務局は「同じ海域なのに、なぜ競合のJREグループはわざわざ面倒なジャケットにしたんだ?」と疑問を持ち、専門家に確認すべきでした。

現在の選考事務局は、そのような簡単なQ&Aすらできていない可能性があります。

選考事務局は説明責任を果たすべきですし、経産省・国交省は選考事務局の任命責任を果たすためにも選考事務局を公表すべきでしょう。

洋上風力の入札の問題点は、「現在の入札ルールにおいて、現在の選考事務局は、迅速性(運転開始時期)はおろか、事業の実施能力をまともに評価できないこと」だと多くの皆さんに知っていただきたいです。

しかも、ラウンド2の4海域の玉石混交ぶりを見ていると、特に大企業ほど半ば確信犯で、「どうせ経産省・国交省は、迅速性(運転開始時期)の妥当性を判断できないし、それが達成できなかったときのペナルティも大したことない」と高をくくっているとさえ思えます。

問題解決への道

現在の入札ルールにおいて、現在の選考事務局に技術的デューデリジェンス能力はなく、迅速性(運転開始時期)はおろか事業の実施能力をまともに評価できない」という課題に対して、解決への道は、「入札ルールの再変更」または「選考事務局の能力向上」のいずれかになるでしょう。

オプション1.入札ルールの再変更

迅速性の実現性・妥当性をまともに評価できないなら、迅速性評価をやめるべきです。

ここで明らかにしたように、建設工程を検討した形跡が読み取れない実現性の低いスケジュールでも、運転開始時期さえ早めておけば有利になるルールは問題です。真面目に検討したグループが不利になるだけはありません。建設検討をしていないグループが入札に勝てば、真面目に検討したグループよりも実際の運転開始時期が遅れる可能性があり、国益に反します。

選考事務局の技術的な目利き能力が低い現状に鑑みると、運転開始時期からの遅れ度合いに応じたペナルティの導入も必要かもしれません。日本を代表する上場企業が、これほど実現性・妥当性のない計画を世の中に出して平気でいられるのは、ペナルティが弱いことも理由に思えます。

ただし、頻繁な入札ルール変更は、民間事業者からカントリーリスクと見なされかねません。実際に、ある風車メーカーは、入札ルール変更による不透明な状況を理由に、ラウンド2には参加しないと表明していました。次のラウンドから日本市場に復帰するようですが、頻繁に入札ルールを変更するリスクも考慮しなくてはいけません。

オプション2.選考事務局の能力向上

入札ルールを変えずに迅速性を適正に評価するには、風力の実務経験が必要です。

経産省・国交省は、同じく高学歴を揃えたメガバンク系●●総研や外資系○○コンサルティングをアテにしすぎる傾向があります。いくら高学歴でも、地元の漁師さんに訊けばわかることすら調べないなら、役に立ちません。ルールを変えないなら選考委員の人選をやり直すべきでしょう。

ただし、選考委員の人選をやり直すことにもリスクがあります。それなりに風力の実務経験があって、入札者と仕事をしていない人を探しあてるのは、奇跡だからです。では、どうしたらよいでしょうか?

一つのアイデアは、過去の入札資料の概要部分を匿名化して、風力の実務に強い会社数社に開示し、疑問に感じたことを挙げてもらい、チェックポイント化することです。

それは、まさにこの記事でやったのと同じことです。それを、経産省・国交省の懐刀である●●総研か○○コンサルティングがとりまとめて、彼らが選考事務局にレクチャーするのです。こうすれば、利害関係者への利益誘導を回避しつつ、風力関係者の知見を取り入れることができます。

国益を守る入札制度に

日本の風力業界は、海域の数に対して、事業者の数が多すぎ、玉石混交です。国益を守るために、真のトップランナー事業者を確実に選別できる入札制度の実現を切実に願います。

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