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ワイン発祥の国!?「アルメニア」ワインってどんなワイン??≪後編≫

弊社Eのアルメニア紀行。
待望の後編です!

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はじめに


前編は、アルメニア「と」ワイン。アルメニアという国や文化、アルメニアワインの歴史的背景などに触れました。
今日は後編、アルメニア「の」ワイン。
私達はアルメニアワインの第一人者、エインシャントワールドの代表である田村公祐さんのもとへ、ヤクービヤン・ホブス3種を持って伺ったのです。
アルメニアについての様々な情報を仕入れるための訪問であったのですが、もう一つの大きな目的はヤクービヤン・ホブス、果たしてアルメニアワインの中で、どんな立ち位置にあるのか、高いのか安いのか、やっぱりポール・ホブスが造るから通常のアルメニア・スタイルからかけ離れるのか???
電撃訪問したにもかかわらず、最初のご挨拶から10分で強引にヤクービヤン・ホブスの試飲にもっていった私達、それならば是非田村さんインポートのものと飲み比べてみましょうということで、まずは白ワインから。

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白ワイン


◆2017 ヤクービアン・ホブス ドライ・ホワイト・ワイン アガヴナツゾール
上代¥3,200
Yacoubian-Hobbs Dry White Wine Aghavnadzor Vayots Dzor Armenia
http://www.wineinstyle.co.jp/wines/product_detail.cfm...
これはアルメニアでは一番メジャーな白ブドウ、ヴォスケハット主体、
そこにカトゥーニ、クルディ、ガラン・デマック・・・「そんなブドウ品種、現地で聞いたことも見たことないですね、おそらく相当マニアックな土着品種じゃないかな??」と、田村さん。
味わいはドライで非常にミネラリー、酸も高く塩味を感じ、重すぎず軽すぎず、白い花を思わせるフローラルな香りや柑橘類、トロピカルな香りが何層にも折り重なっている感じ。

そして、田村さんのワインはこちら。
◆2018 ハイランド・セラーズ クール・ホワイト
Highland Cellars Koor White
ヴォスケハット100%です。やはり高い酸、塩味、そしてやっぱり白い花の香、ヴォスケハットの特徴はこれですね~
すごく爽やかで、今の季節に最高!!
ヴォスケハットは「黄金の実」の意、アルメニアのブドウ畑はどこも標高が低くても900メートルを超す高さ、その中でもこのヴォスケハットの産地は標高1300メートルの高地で、暑い夏と寒く厳しい冬に耐えられるブドウ品種、だから皮がぶ厚いんだそうです。
アルメニアのブドウ産地は寒暖差が激しく、一日の温度差は20~25℃近くあるそう。
冬は極めて寒く、年に1回程マイナス20℃を切ることも。
それに耐えれるのがアルメニア独特の土着品種の個性なんですね。

赤ワイン


そしてアルメニア赤の代表格「アレニ」の飲み比べ!
ワイン発祥の地としての証、6100 年前のワイン醸造施設が発見されたヴァヨッツ・ゾール地方のアガヴナツゾール村にある洞窟「アレニ1」

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見つかった黒ブドウのつるや皮、種等はDNA 研究の結果、現地の土着品種として広く知られる「アレニ」であり、現存する世界のヴィニフェラ種の中で最も歴史的に古いブドウの一つだと判明しました。
映画「ノア 約束の舟」の最後のシーン、「アレニ1」の洞窟の傍にブドウの樹が茂り、ラッセル・クロウ 演じるノアが赤ワインをガブ飲みし酔っ払っているシーンが描かれています。この赤ワインこそが「アレニ」ですね~!!
アレニは、標高の高い山岳地帯であるヴァヨッツ・ゾールに適しています。この晩熟品種は、フレッシュでエレガント、骨格のあるワインを造り、鮮やかな赤い果実味と、特徴的な黒胡椒のスパイスを持ちます。
そうそう、ヤクービヤン・ホブスのヴィンヤードも「アレニ1」の洞窟の 目と鼻の先。
標高や寒暖差もさることながら非常に乾燥しており、アララート山の雪解け水がブドウ畑の命の源となっているそうです。

◆2016 ヤクービアン・ホブス アレニ リンド ヴァヨッツ・ゾール アルメニア     上代¥3,900(税別)
Yacoubian-Hobbs Areni Rind Vayots Dzor Armenia
http://www.wineinstyle.co.jp/wines/product_detail.cfm...
アレニ100%、発酵・熟成すべてステンレスタンク。
引き締まった赤果実香、酸も程よい高さ。鉄分を感じてミネラリー。タンニンも感じ、ガメイに似たようなニュアンス。ミディアムボディで心地よい万能タイプですね!抜栓してすぐ美味しいね~!!っと田村さん談。

◆2016 ヤクービアン・ホブス アレニ サルピーナ リンド ヴァヨッツ・ゾール アルメニア      上代¥5,400(税別)
Yacoubian-Hobbs Areni Sarpina Rind, Vayots Dzor, Armenia
http://www.wineinstyle.co.jp/wines/product_detail.cfm...
アレニ100%、ステンレスタンクにて発酵、フレンチオークで7ヶ月間熟成
こちらは樽熟成しているのでそれだけしっかりボディ。リッチで熟した黒果実、肉厚なイメージ、いわゆるポール・ホブス・スタイル。
フレンチオークなんて珍しい!きっとそうとう高価になっちゃうでしょうね~、と田村さん。
確かにお値段よろしいですね…笑

そして3本目は田村さん輸入のアレニ
◆2012 ゴールデン・グレープ・アルマス アルマス・アレニ
Golden Grape ArmAs ArmAs Areni
ステンレスタンクで発酵後10ヶ月の熟成、うち20%樽使用
ヤクービヤン・ホブスのステンレス発酵熟成のものと共通するギューッと凝縮した赤果実に、樽からくるココアやスパイシーな香り。風味がフレンチオークから来るものと全く違い、とっても心地よく、ワインをまとめ上げる絶妙なエッセンスとなっています。
この樽は「カラバフオーク」と言うそうです。アゼルバイジャン領でアルメニアが実行支配していたナゴルノ・カラバフ共和国にこの原料となる樹が多く生えており、アルメニアには樽材となる木が取れない事もあり、カラバフオークのワイン樽を使う生産者が多そうです。
アルメニアの赤ワインでは、樽は割と使われているものが多いそうですが、田村さんが色々試した限り、ステンレスのものが品種の個性がかき消されておらず、秀逸という印象。
実際に試飲した感想も、4人とも満場一致でステンレスが好みの味わい。
アルメニアでもトルコ側の地域では、伝統的なワイン造りは樽を使わない、KARAS(カラス)という土製の壺を使った製法が盛んに行われてきました。現在、徐々に昔のKARASを使って造る生産者も出てきています。
前回も触れましあたが、ワインの熟成に関し、アルメニアで寝かせる習慣が一般的でないのは、礼拝用や、農家の自家製ワインが中心だからだそうです。道端でペットボトルに入れた自家製ワインを量り売りしている風景はとてもポピュラーだそう。
現在のワイナリーは古くても1991年以降に建設されたものですが
富豪ディアスポラの出戻り経営者が多いので、今後すばらしい熟成を遂げたワインがたくさん出てくるかもしれませんね。
実際、アレニはしっかり酸のある品種なので長熟のポテンシャルがあり、20年寝かせたワイン、田村さん味わったそうです。アレニの特徴の一つである鉄っぽさが良い方向に強調され、熟した果実と溶け込み、それはそれはすばらしかったと。

そして最後に、田村さんイチオシのアルメニア土着黒ブドウ、カルムラヒュットをテイスティングしました!!
◆2013 ゴールデン・グレープ・アルマス アルマス・カルムラヒュット
Golden Grape ArmAs ArmAs Karmrahyut
カルムラヒュットとは、レッドジュース(果肉まで赤い)という意味。
ブレンド用として使われることが多い中、これはカルムラヒュット100%の珍しい単一品種。アルメニア固有の交配品種で、主な栽培地はアララト盆地。
第一印象は「バラ」。黒ブドウからこんなアロマティックな香り、本当に新鮮!!!
そしてアールグレイの茶葉のような香り。
味わいはシラーのようなスパイシーさ、ドライでありながらしっかりとフルボディなので、飲みやすく万人受けしそうな味わい。
ずっとこの香り、嗅いでいたい・・・
すっかりこのカルムラヒュットに心を奪われてしまいました。

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最後に


田村さんの輸入されているアルメニアワインの品質は驚くほど素晴らしく、土着品種のストレートな味わいそのまま、美味しいものばかり。
どのように輸入するワインを選ばれているのですか?という質問に、「仲介業者を挟むことも紹介してもらうこともないですよ。まずは日本にいる間に徹底的な情報収集と下調べ、ラベルデザインにもこだわり、いろんな視点から吟味して目星をつけ、現地に赴いてガチ交渉!!」
田村さんのビジネスは、旅から始まっていて、中東文化の啓蒙活動の一つがワインの輸入なんだそう。
田村さん、最高にエキサイトしたすばらしい時間、本当にありがとうございました。
このコロナ禍がいつか収まり、何か一緒にアルメニアワインを伝えるイベントなどができたらいいですね~!

田村さんのワインはこちらからチェック!
http://ancient-w.com/?mode=cate&cbid=2494541&csid=0

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