冬月瑞希/歳理

国文科卒の22歳。ときどき写真、たまに小説。いとしさと切なさと心強さを感じていたい。

冬月瑞希/歳理

国文科卒の22歳。ときどき写真、たまに小説。いとしさと切なさと心強さを感じていたい。

マガジン

最近の記事

宇宙スケールの10年

今朝の通勤でも『天体観測』を聴いていて、そういえばもうこれを10年も聴き続けているのだよなぁとふと思う。僕は天邪鬼だから、有名でトレードマーク過ぎるこの曲に特別な思い入れはないのだけれど、ライブでも必ず聴くし、やっぱり聴くたび真夜中に出かけるみたいにドキドキする。 「背が伸びるにつれて伝えたいことも増えてった 宛名のない手紙も崩れるほど重なった 僕は元気でいるよ 心配事も少ないよ ただひとつ 今も思い出すよ」 年月とともに少しずつ積み重なっていく想いもあるの

    • 僕の父はさみしがり

      ‪「雨がひどいから車で駅まで送ろうか?」と珍しいことをけさ父が言ったので怪訝な顔をしたら「まあ君もぼちぼち行ってしまうから……」ともごもご言って、ああこの人はさみしいのだな、と思った。僕が父と血が繋がっていることを自覚する数少ない瞬間だ。 父はあまり喋らない方だ。寡黙というよりも口下手なのだと思う。あるいは人との距離の取り方がよく分からないのか。体育会系だが陸上部出身で、趣味にはスキー、釣り、音楽鑑賞と、見事にどれも一人でするものばかりだ。これだけでなんとなく、父の性格が伝

      • そろそろ、他に影響されないほどの強い感性をつくる時期かもしれない。

        • 君の精神状態は。

          今、京都から奈良の家に帰る近鉄電車の中だ。ついさっき、向かいの席に座っていた女性が降りた。僕が最初に付き合った女の子に、とてもよく似ていた。ファッションは全く違ったし、よく見ると顔立ちも記憶の元恋人の方がすこし丸かったように思うから、まず別人なのはわかった。ただ、それでもその人が電車を降りるまで、うつむきがちなその顔に意識が向かってしまうというのは、抗いがたいものだった。いま乗っているのが、当時彼女が住んでいた路線だという考えも、あったかもしれない。 こういう時、少し自分が

        宇宙スケールの10年

        マガジン

        • instagram
          5本
        • essay
          14本
        • Photograph
          2本
        • novel
          2本

        記事

          赤い夜が続いてる

          「夏の前日」という漫画が好きなのですが、この作品、実は「たま」という昔のバンドの曲から題がとられていまして、ふと思い立ってこれを聴いてみたわけなのです。ベストアルバムを買って。これがびっくり、「平成狸合戦ぽんぽこ」みたいな、とぼけた感じでちょっとふざけた曲調なのですが、すごいグルーヴ感があるんですね。よく聴いていると丁寧な音楽性がある。この曲はサビが最後に来るという珍しくって面白い構成なんですけど、じわじわとした盛り上がりの最後にカタルシスがあって、最後まで聴くと一緒にハモり

          赤い夜が続いてる

          ケルン・コンサート

          久しぶりに何かを書きたくなって、ただ書くのにちょうどいいものが見あらない。だから、ちょうどいまウォークマンで聴いているキース・ジャレットのケルン・コンサートについて書いてみることにする。 キース・ジャレットというのは、即興演奏に定評のあるジャズのピアニストだ。そしてケルン・コンサートというのはその即興演奏を収録したアルバムということになる。 キースの名前を初めて聞いた(読んだ)のは、大崎善生の小説の中からで、この人の小説から僕はポリスも聴くことになった。思い起こせば中学時代

          ケルン・コンサート

          「許されるなら君の痛みを僕のレスポールで粉々にしたい」(スガシカオ『真夜中の虹』)が脳内に何度も響く。切実さをこうやって響きとして表現する詩人を僕は羨望してしまう。

          「許されるなら君の痛みを僕のレスポールで粉々にしたい」(スガシカオ『真夜中の虹』)が脳内に何度も響く。切実さをこうやって響きとして表現する詩人を僕は羨望してしまう。

          映画を撮ろう。

          どうにも今晩は気分が落ち着かない、少しだけ胸がざわざわする。きっと胸のうちに様々な心配事が折り重なってとげとげしているからだろうと思う。近頃は書き物をしていなかった。 何を書こうか考えて、そういえば今やっている活動のことをきちんと公表していなかったなと思い出す。 というわけで、自主製作映画を撮っています。芸術の道と恋の道とを同時に前にした、二十歳の画家志望の男の子の話です。映画といっても、ほんの五分くらい。あまり小さく短い、人生の中のほんの断片のような映像になる予定です。

          映画を撮ろう。

          僕って「先生」?

           ふと考えたことが思いのほか大切な気がしたので、備忘録としてここに記しておきたくなった。  要はするに、僕はどんな「先生」になりたいのか、という話だ。正直に言ってちっともわからないし、考えれば考えるほど自分は「先生」なんて大それた職業は向いていないのではと思えてくる。向いていないは言い過ぎでも、誰が見ても「先生」というような姿がちっとも将来の自分として描けないのだ。そもそもがあまり深く考えずにその時の気持ちのベクトルだけでなってしまったわけで、明確なビジョンはなかった。教育

          僕って「先生」?

          舞台照明を浴びる特別さについて。

          舞台照明を浴びる特別さについて。

          なまえをペンネームに変えました。きまぐれに二つ使い分けていますが、中身はたぶんそこまで変わりません。よろしく。

          なまえをペンネームに変えました。きまぐれに二つ使い分けていますが、中身はたぶんそこまで変わりません。よろしく。

          写真展のお知らせ

          宣伝です。 僕が所属している写真同好会の卒展が明日から始まります。 京都四条のギャラリーをお借りして、4回生6人の写真をたくさん飾ります。 もしよかったら来てください。僕も、質量ともに気合いれましたので、時間の無駄にはならないと思います。 2/11(水)〜15(日) 11時〜18時 ギャラリー風蝶庵にて開催 〒604-8062 京都市中京区蛸薬師通御幸町西入蛸屋町

          写真展のお知らせ

          さっきの。

           今しがた小説をUPしました。「Sometimes I feel blue」という作品です。大学の文学サークルも、もうじき卒業ということで、同期と内輪向けに作る本に寄稿するものを、せっかくなので公開します。いろんな意味で、自分の総括みたいな作品にしたいと思って、こうなりました。たくさんのオマージュを入れてみました。とても個人的な作品だし、誰にもわかってもらえないかもしれないけれど、まあそれでもいいよって人は読んでみてください。 ちなみにオマージュしたのは以下。僕に大きな影響

          Sometimes I feel blue

           高く遠い空だった。つらくなるくらい綺麗な空だった。雲ひとつなく晴れていて、太陽は控えめな顔をして西に傾いていた。鳥が黒い影となって僕の頭上を風と共に横切っていった。軽やかに飛ぶ鳥を目で追って、追って、追った。鳥は東の空へ向かってゆき、次第に小さくなって、やがて見えなくなった。それから、一歩ごとに重石を持ち上げるような気持ちで、僕は鳥たちと反対の方向へとゆっくり歩き出した。  歩きながら、僕は不思議に思った。いつのまに僕の人生はこんなにも重く垂れこめてしまったのだろうと。ど

          Sometimes I feel blue

          恵文社一乗寺店にいってきた。

          恵文社は、京都の本好き界隈で知らない人はいないくらい有名な本屋さんだ。なぜそんなに有名なのかと言うと、とにかく本棚が美しいからのひとことに尽きる。 恵文社は「本にまつわるあれこれのセレクトショップ」です。「とにかく新しい本」を紹介するのではなく、一冊一冊スタッフが納得いくものを紹介したい。ただ機能的に本を棚に並べるのではなく、思わぬ出合いにぶつかるような提案をしたい。表紙の美しい本はきれいに飾り、眺めて楽しんでいただきたい。(恵文社一乗寺点HP) 恵文社の棚は、ざ

          恵文社一乗寺店にいってきた。

          あけましておめでとうございます。 しばらく放置してたのに年明け直前、唐突に更新してすみません。これからも気が向いたら更新します。実家のおせちは豪華です。

          あけましておめでとうございます。 しばらく放置してたのに年明け直前、唐突に更新してすみません。これからも気が向いたら更新します。実家のおせちは豪華です。