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横浜市鶴見の思い出のパン屋さんは「マスヤベーカリー」だった

人生で10回ほど住処を変えた中で、振り返ればいつも「あの頃を思えば今は天国のようだ」と感じさせてくれる、横浜市鶴見。暗澹たる思い出が満載の場所だけれど、唯一とも言える癒しポイントが近所にあったパン屋さん。

結構高齢の夫婦がやってらっしゃる小さなお店で、たまに私の仕事が早く終わって20時台に帰宅できる時にまだ開いていることがあって。「まだ大丈夫ですか」と聞くとおばちゃんが快く入れてくれた。

閉店間際なので商品も少ないけれど、晩御飯替わりの総菜パンと翌朝の食パンを買うと、「もう終わりかけだから」と半額にしてくれた。時には「若いんだからもっと食べられるでしょ?」とオマケをくれたりも。

たまに、閉店間際にしか行けず、全部で数回くらいしか買っていないし、パン自体も昔からよくあるパン屋さんのパンという感じで、パン自体の印象はそれ以上何も残っていない。でもまた行きたいなあと思える店。

それから20年ちょっと経った今日、子供の写真を整理していたら、たまたま当時撮ったお店付近の写真を発見。鶴見から出ていく当日に何枚か撮影した中にあって、やっぱり当時も思い出深かったのだなあ……と思いつつ、お店の名前をよく見ると「マスヤベーカリー」とある。夜に心神喪失状態で行っていたので名前なんかまったく見てもいなかった。

写真と記憶を頼りにGoogleストリートビューで現地を調べてみると、店が見当たらない。それならと名前で検索をかけると、下記のニュースが。

当時でそこそこご高齢に見えたので、そこから20年は続けられない。でも7年前まで開いていただけでも驚きだし、名物というシベリアも1回食べたような気がする。おばちゃんの顔は全然覚えていないけれど。

こういう思い出のお店には、どこかでさっさと行っておくべきなんだなあ、と改めて思う。学生時代に通った店も、子供の頃に親と行った店も、どんどん閉店してなくなっていく。そりゃそうだ、減ることはあっても増えることはないのだから。

私自身は、過去の思い出をもう一度辿るより、新たな思い出を作りに行く方が有意で合理的だ……などと考えるタイプなので、1人で過去を巡るのは好まない。でも家族にとっては見知らぬものだし、私が好きなものを家族に知ってもらうのは有意だと思うし、それも新たな思い出になる。そういう旅はあってもいいかなと思う。いずれにしても、思い出の店が閉店する前に、なるべく早く。


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