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#みんなあさか由香 インタビュー07「民主主義を進める選挙にしよう。」/太田伊早子(弁護士) #あさか由香

民主主義を進める選挙にしよう

―――前回からの3年間のあさか由香の動きをどう見ていましたか。3年前からどういう変化があさかにありましたか?

実際、私とあさか由香の関係も大きく変わった。元々は候補者のあさかさんしか見えてなかった。みんなが見ている光景と全く一緒。そのときはただ候補者として接しているだけだったのだけど、どちらかというと選挙が終わったあとにいろんなことを話す機会が多くなった。そこから1年半くらい経って、今回の選挙に真剣に取り組もうということになったと思うけど、3年前と違うのは、押し寄せる大波にどういう風にあさかさんが流されずに向かってゆくのか。どう対応してゆくのか。

―――押し寄せるものというのは?

たとえば、いきなり安保法制が成立してしまう。そんな中で候補者要請が来る。これまでなかったような市民と野党の共闘、市民連合などがいろいろ始まってくる。これまで共産党を応援してこなかった人が共産党の事務所に来る。そのときに自分を変えるように言われる。あさかさんって本来は見た目とか見せ方とかこだわらない人じゃん?どっちかというと「くだらない」みたいな(笑)。でも彼女はそれへの対応が見事だった。押し寄せてくる自分への運命に対して、逃げないで向かってくことが上手。2016年と2019年の選挙では違って、2016年の熱気は正直無い。風が全く吹いていない中で、共産党の候補者としてどうしてゆくのかを問われた3年間だったのでは。その中であさかさんが意識して変わったのは「共産党のあさか由香」として2019年の選挙に向き合ってゆくのかというのに対して、自ら行動を起こしてゆくというのが、私が見た3年前との違いかなと思います。

―――3年前は私たちも意識が違っておまつりでした。自力でやらなきゃいけないということですか?

3年前にあさか由香を初めて応援してくれた人たちは、これから3年間2019年に確実に応援してくれるかどうか分からない。自分が何をすべきかあさかさんはしっかり考えなくちゃいけなかった。

立ち上がるみんなの姿を見たい

―――例えばそれはあさかBalや無所属議員らと、個々の付き合いの中から地域を回りアクションを拡げてゆくことだったと思うのですが、彼女のモチベーションはどうでしょう。

あさかさんの一番のモチベーションは、彼女は自分が権力を握りたい人ではない。自分が政治家にどうしてもなりたくて国会議員を目指している人ではなく、彼女が目指しているのは一人ひとりが立ち上がってゆく姿を見たがっている。立ちあがってゆく姿って、必ずしもあさかさんと結論が全て一緒じゃなくてもいいと思う。議論してやってゆく、立ち上がるみんなの姿を見たい。今回、私が良かったなと思ったのは、場を拡げに行ったこと。元々はあさかさんと単体で無党派の人たちがつながってて、でもそれはあさか由香を基軸にして点と点で繋がっている。あさかさんの人と人とのつながりの限界が、その人たちとのつながりの限界になるし、あさかさんとしかその人たちは話していない。あさかさんはその人たちの日常に組み込まれているかと言えば、組み込まれていない。そのときに、その人たちが今いる場において政治について話せることができないのか?現地、現場において仲間を増やせないのか?と一番最初に考えた。応援してくれる無党派のところを回り、そこで確信したことがります。最初はあさかさんと同世代や若い層は政治に関心がないと捉えていた。でも実際に会うと日常の不安や不満などをめちゃくちゃ喋る。今の社会で不安なく生活している人は絶対にいない。若い人であれば、学校を卒業できるのか?就職ができるのか?老後を暮らせるお金は大丈夫か?結婚して子どもを生んでも育てられるのか?など、その不安は全て政治に関わっています。「政治に関心のない人たち」という括り自体がすごくその人たちにレッテルを張っている。それと、場があればみんな話すんだけど、そういった場というものは、日本社会にはないんです。だから、あさかさんがたまたまそこに来たときだけが作れる場になってゆく。あさかBalを初めてゆくにあたって、じゃああさかさんが行くからって簡単には人は集まらない。まず、Balをやってませんかと地域のママに持ち掛けて、彼女らが自分の友達を誘ってくれて、場を地域の中でずっと作ってくれる。そこで普段からあさかさんを抜きにしても政治の話が出来るようになっていった。今の各地での動いている人につながる。

―――共産党の票読みで「つどい」に1という数字があって、日報で支部などから上がってきますが、そこの1の物語は数字にはカウントされていない。1000人でも、たった5人でも物語がある。

新しい人たちをどう呼ぶのかは、協力者・支援者の中にも濃淡がある。一人ひとりがどの位置にいて、どの人たちに声をかけるのか。その人たち一人ひとりへの目標って違うわけです。来るか来ないかもわからないけど、そこまで覚悟を背負って支持の内側に入れてゆく。そういう「つどい」を本当はやらなければいけない。普段からの人間関係で声かけして、企画者側は励まして、運動の核心部分に近づいてゆくことが必要。あさかBalのよかったところは、明確に目標を設定したところ。みんなが動く人になった。地道に声かけをして、次々と運動を用意できる場を用意すれば、みんなが頑張りたい気持ちを発揮できた。全体として選挙に全ては活かせてはいないけど、手ごたえがあった。

―――具体的にこの人は変わったなとか、そういった体験はありますか?

たくさんあるよね。3年前にあさか由香を応援した人でも、今回あさか由香を応援することを何の迷いも無くずっと思い続けたかというと、そうでもない。今回で初めて応援を発信した人もいる。あさかさんが住んでた二宮町でも、個人的に応援したいと思ってもどうやればいいのか、誰と話していいか分からない人もいた。今はLINEグループで繋がっているけど、地方選が終わったあとまずとりあえず会おうよってなって。その中で露木佳代さんの「あさかコス」する?っていう、たった一言。そしたら次の日、一番大人しかった人がLINEグループで突然黒メガネをかけた写真を送ってきて「本気じゃん(笑)」って。本当はあさかさんに投票するかどうか決めてなかった人もそのグループの中にはいたのに、みんなのスピーチを聞いてから迷いが無くなりましたって言ってくれたり。あさかさんのスピーチを聞いて背中を押されたので、今度は幼稚園に行ってリーフを配ってみるって人がいたら、みんなが頑張れって応援したり。やってみて良い反応が返ってきたりするときもあればイマイチなときもある。心が折れる体験だったら、全員がすぐさまフォローを入れてゆく(笑)。その積み重ねで、ちょっとづつみんなの一歩が進んでいった。私たちはあさかbalやCafeをやることで、現実の場をつくったけど、そこからもう一つSNSの場。今の人たちは何時に集まれるかはバラバラで零れ落ちちゃう人がいる。SNSの場の活用も含めて、一緒にやっていけるようになった。

―――あさかさん本人の手からはもう離れているのですか?

実はあさかさんはグループには入れてないんです。最初のコンセプトは「without あさか由香」だったの。あさかさんがいなくても頑張れるようになろうと無党派の人と始めた。あさかBalをやっていた人たちは2016年の選挙に積極的に参加していた人があまりいない。だからいきなり「without」とか言われても何のことだか分からない(笑)。

―――「withあさか由香」がありきじゃなければそうなります(笑)。あさかさんが蒔いた…個人的な縁で繋がった人たちの火種が燃え上がりました。

LINEグループをつくるときは最初からあさかさんはいません。Balは最初は話をもちかけるのも大変で、あさか由香のこと知らない訳だから一生懸命に耕すの。でもそのときに持ちかけるのは「あさか由香を知ってくれ」というよりも、民主主義って選択があること。現政権がやっていることは経験しているし、報道されて知っている。でももう一つの選択肢じゃ今の日本では全く知ることができないじゃん。もう一つの選択肢を知る意味で、あさかさんの話を聞いてみたらどう?っていう進め方。その結果、あさか由香を応援しなくでも構いません。でもそこまでがあさかさんを繋ぐバトンなわけです。あさかさんが話をする場は用意した。次に渡すバトンは何かというと、応援する人になってほしいっていうことを本人が訴える。彼女はどんなに小さな場であろうとも、全力以上を尽くす。その場にいる人はもちろんのこと、その場をセッティングしてくれた人の苦労まで分かっているから。そうやって頑張ってゆく彼女をだんだんとみんなが追いかけ始める。自然とあさか由香のファンになっているんじゃないかな。みんな参加型です。みんなが勝手に押し寄せてコスプレをしちゃう(笑)。

肩書きは「人間」

―――ママなのか、女性なのか、あさか由香さんのどこに一番のシンパシーを感じているのでしょう。

仕事を持つママとしてあさか由香に子育て層はシンパシーを持っているはず。毎日が忙しいから夢とか言ってる場合じゃないって思いがちだけど、ところがあさか由香はすごく理想を高く掲げている人。だから自分は何をしたかったんだ、こういうことをしたかったんだ、というのを人生の中でもう一回自身に問いかけられる機会になっている。あさかさんとママたちは一体化しているところがあるよね(笑)。#metoo 運動とも近い。彼女一人だけを頑張らせないって立ち上がるのは、自分の中にあるあさかさんの部分を捉え直しているママたちです。あさか本人は女性やママとか一言でカテゴライズしておらず「人間」だと思っていると思う(笑)。

―――「人間」から肩書きが「政治家」になっても、根本の「人間」の部分はブれない。

彼女は仮に政治家じゃなくとも、何を目指してるのかと言ったら、世界平和、尊厳ある人間のくらし、民主主義を進めたいというのが彼女の願いなんでしょう。一言で言えば「貧困を戦争を世界中から無くしたいのが高校生のころからの夢」。高校の頃に比べたら意味合いは深まっていると思うけど、変わらず持ち続けている。そのやり方は彼女は、政治家だけだとは思ってないと思うし、私から見ても万年候補者をやるくらいなら違うやり方で人生を歩んでもいいかなと思えるくらい能力も高いし、独特の魅力を持った人(笑)。彼女はとても謙虚な人で、1人ではこの社会を変えられないと思っている。彼女は共産党が考える平和の実現、尊厳ある社会に共鳴しています。世の中の人たちはあまりよく分からないかもしれないけど、あさか由香は日本共産党を愛している。同じ理念を持っている人たちがやっていくけれど、彼女は平和・尊厳・民主主義を自分たちだけでやろうとは思っていない。共産党もそういう考えでしょ。いろんな人たちが立ち上がって一緒にやってゆくのを見たい。あさか本人もその一員だと思ってる。じゃあなんで自分が政治家に立候補するの?となったとき、誤解を恐れずに言うと、それが彼女が他の人よりも出来ることだったから。誰かが立候補をしなきゃいけない。誰かがその役目を担わなきゃいけないときに、周りを見渡して、あ、自分なんだと思ったんだと思う。

―――必然性と役割があったという。

あさかさんのことを2016年に個人的に崇拝した人もいるでしょう。でも私は崇拝はしなかった。本人もカリスマ的に振る舞うことに全く惹かれていない。誰かがあさかに「由香ちゃん、伊早子さんにこんないろいろとやってもらってて感謝しなきゃダメよ」とか言ったりするわけです。そしたらあさかが何て答えたかというと「伊早子さんは世界平和のためにやってるんだよ」とか言うわけよ(笑)。しかもそれ冗談じゃないの(笑)。

―――「同志」なんだからそのくらいやるでしょ、というわけですか(笑)。

確かに私もあさかさんのためにやっている感覚は無い。同じところを目指している気が合う人。そんな人が国会議員を目指している。だから行かせたいという感覚かなあ。

あさか由香は実は保守本流の共産党の理念の人

―――私は、あさかさんに知らず知らずのうちにノせられています(笑)。あさか由香自身がオルガナイザーとして地域や現場に放った人として、私たちのような市民がいるのかもしれません。

私もそれはある(笑)。あさかは自由な発想があったよね。共産党は国民連合政府を目指していると言っているじゃない。でもどう目指すの?実現してゆくの?ということに誰も具体的に言えない。でも、地域で見ていけば、こうして無所属の議員と共同するところから始まると思うし、あさかは共産党が理念や綱領で掲げていることの、どうやって今現在の社会構造の、現時点において、そこで求められる行為とは何だ?というところを直感と理論で考えている。彼女の捉え方は人によって違うかもしれないけど、あさか由香は共産党の理念の人なのではという気がする。

―――良く分かります。保守本流の共産党の理念で動いていると思います。

彼女は自分個人のファンクラブをつくろうとは全くしないし、何か分岐点になることに関しては集団討議を求めてゆくし、共産党の本質の人。新しいことが押し寄せたときに拒否する人たちは過去の人。未来を切り開いてゆく人は過去は経験であり、その後どう判断するかは新しく本当の理念に基づいて判断する。あさかさんはそれが出来る賢い人だ。未来を見ている。

―――世の中を変えようというときに、ソーシャルグッドな政治が遠いタイプではなく、政治をキチンと絡めてビジョンを打ち出しています。

社会の変え方が世の中では発展してきている部分がある。女性は参政権が認められなかったが認められたり、男女雇用機会均等法にしかり、これ必要でしょ!ってことを政治家からみんなに与えてやってくれることは無いわけです。ではどうして社会の中でよいことが起こるかというと、それをつくる市民の草の根の運動が高まり、社会が動いてゆくことに対してとても確信がある。あさかは運動を信じている人。運動が無いところに社会発展は無いと思っている。私も共有している考え方です。私が彼女と気が合った一番のところは、運動を否定しない点。だから彼女は上から変えてゆく社会変革なんてなくて、どんなに一つ一つが小さく見えたとしても社会の現実、現場の中から起こってくることで変わることを信じているからやってこれたと思う。3年間でやろうとしたことは、社会を動かす、変えてゆくことは現場から起きてどう発展させてゆくのかにあさかは力を注いでいた。

運動が無いところに社会発展は無い

私も意識したのは運動って多数をつくること。いかに多くの人を巻き込んでいけるか。権力があるわけじゃん。それに立ち向かってゆけるのは人の数なんだよね。私もあさかもそうだったけど、多くの人に対して拡げられる運動が必要。小さく自分たちの理念でやってゆくのは居心地が良いかもしれないけど、絶対に外枠を拡げていかないと権力には対抗できない。上からいきなり号令をかけて人は集まることはなくて、どんなことでも下からオーガナイズできる人が必要。そういう人たちがたくさん今は出てきているのかな?

―――あさか由香の選挙自体がそういう「運動」になったってことですね。3年間のプロジェクトでした。

選挙はフェスティバルな部分はもちろんあって、選挙を勝ち負けだけでは捉えてない。何万票って1人ひとりが積み重ねてゆくものだから、1人の人があさかさんを応援するようになる事実って重い。国会議員にならないと出来ないことがある。4人のうちの2人を立憲野党が占めることが出来たら、それが共産党のあさかさんであれば、神奈川は大きく変わる。結果から逃げてはいけないこともある。

―――このムーブメントを無党派に届けなきゃいけないし、あさかさんであれば届けられます。

彼女ほど誠実で、権力欲のためではなく、人間の尊厳を守る為に政治家になっている人間がどれだけいるのかなって思う。あさかさんのよいところは人間好きなところ。人に対して寄せるまなざしは優しく、面倒見もいい。人間臭い人です。みんなにとって初めての信頼できる政治家になると思う。本当の市民派候補。共産党を嫌いな人でもあさかに投票したりするじゃん。当選するときってそういうもんだと思う。スピーチを聞いてて思うのは、応援してる人がいるとか、一歩踏み出した人がいるとかで、本人のスピーチが全然変わる(笑)。みんなとやってゆくことでエネルギッシュになる。そういうことがやりたい人なんだよ。絶対に現場から起こしてゆく運動が政治を変えるには必要で、それには国会議員としてのあさか由香が必要。あさかさんにとって自分の支持者が共産党支持に広がらないところにもどかしさは感じていたと思う。でも今回はあさかさんが共産党議員であることを受け入れてきてくれた人へのリスペクトがある。彼女は、考え方が違う人たちを共産主義にしようとしているわけではないし(笑)、喉から手が出るほど欲しい比例票でも、そこを無理にお願いしようとはしない。でも共産党のあさか由香だということも受け入てほしい。お互い悩みながらつくっている最前線が彼女。民主主義を進める選挙にしよう。1人の人間の力に対してニヒルにならないでやれるってことをやろうと思った。紆余曲折あってもみんな一緒に戦ってくれる。本当にコツコツやってきてよかった。

―――絶対に勝手もらわなきゃですね。

あ、最後に1つ嬉しいことがあって。女性の運動に対して、男性が乗っかってくるのは少ないのいつも。でも今回はコスプレをやっちゃう男性いるじゃん(笑)。リスペクトが自然と感じる。これもなかなか無かった。ま、バカな企画なんだけどねコスプレって(笑)。隙が無いとね~(笑)。(了)


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