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ハノイ-香港7日7往復ハンドキャリーの仕事

飛行機に乗っているだけでお金が貰える。そんな美味しいハンドキャリーの仕事の依頼が来た。僕はここから地獄の7日間が始まるとは思っていなかった。運ぶ荷物は大きなダンボール箱2つ。中身は守秘義務で言えない。荷物はハノイのノイバイ国際空港で受け取り、チェックイン時にその荷物を預ける。あとは飛行機に乗って香港へ飛ぶ。香港国際空港に到着したら入国審査を通過して空港のロビーで待ち合わせた香港人に荷物を渡す。これで1万円の報酬になる。往復の飛行機代は依頼者が払ってくれる。しかしハノイ香港間の飛行機の便の関係上どうしても香港で1泊しなければならない。その宿泊代は出ないため、香港で1泊5,000円のホテルに泊まれば残りは5,000円。日当5,000円だったら日本人は誰もやらない。

なぜハンドキャリーと言うビジネスが成り立つのか?

通常荷物はDHLなど国際輸送会社にお願いする。しかし国際輸送会社の場合は色々な所から荷物が集められてから運ばれるのでどうしても時間がかかってしまう。荷物をハンドキャリーで運ぶと乗客と一緒に運ばれるので時間を短く出来る。高い料金を払ってでもこのネジ1本を早く送りたいと言うお客さんは存在する。

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空港がホテル代わり

今回の依頼は当初1往復のみの予定だったので香港国際空港のロビーのベンチで1晩過ごせばホテル代はかからない。空港は24時間開いていて警備が巡回して安全だ。コンビニ・トイレ・充電コンセント・WIFI・必要なモノは全て揃っている。僕はこの依頼を引き受ける事にした。当日、飛行機は無事に香港に到着して荷物をロビーで待つ香港人に渡した。香港の町に出るにも移動費がかかるので空港のマクドナルドで晩ご飯を食べた。空港にはベンチが沢山ある。しかし足を延ばして寝ることが出来るベンチを確保する事はなかなか難しい。バックパッカーは世界中の空港に存在する。ここから彼らとの朝までの寝床争奪戦が始まるのだ。早くベンチを確保しても早い者勝ちとはならない。トイレに行きたくなって少し離れれば、帰ってきた頃にはベンチは誰かに取られている。荷物を置いて占拠すれば良いが空港は沢山の人が行き交うため盗まれる可能性がある。空港と町を結ぶ電車とバスの終電まではリスクが高すぎる。そんな取った取られたの1夜を過ごした。ベンチは硬く1晩で僕の体はバキバキになった。

朝、まだ眠たい体を起こして昨日も行ったマクドナルドで朝マックのホットケーキを食べた。帰りの飛行機の出発を待っていると依頼者からメッセージが来た。彼はあと6回香港まで荷物を運んで欲しいと言う。それも6日間でだ!「面白いやりましょう!」僕の闘争本能をくすぐった。

僕の乗るベトナムエアラインは香港ハノイ間を約2時間で飛ぶ。短い時間だが機内食が出る。昼ご飯代わりだ。ハノイに着くと6日分の僕の着替えを持って来たベトナムの友達が待ってくれていた。このミッションに呆れている顔をしていた。空港のトイレで着替えをして直ぐに次の荷物と一緒にチェックインカウンターへ向かった。

そして2回目の香港へ

香港に着くと1つ問題がある事に気付いた。シャワーを浴びたい!7日間体を洗わないのは僕は気にしないが、匂いで周りに迷惑をかけてしまう。空港内でシャワーを浴びれる所を探すと1カ所見つけた。そこはカプセルホテルでシャワーのみの利用が可能だ。料金はかかるが仕方がない。

そして3回目4回目5回目と続き、朝はマクドナルド、昼は機内食、夜はマクドナルドを繰り返した。飛行機がLCC(格安航空)しか取れないと昼ご飯がなくなった。

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6回目もう香港の空港も飽きていた頃

香港に台風が直撃した。空港の外は暴風で飛行機は全て欠航となった。明日は予約しているハノイ便に乗れるかは分からない。空港内では天井から水が滴り落ちる所が2つほどあった。その下にはベンチがあるため今夜寝るベンチが少なくなった。また、台風で町に出ることが出来ずにいる人で空港内はいっぱいだ。今夜の寝床争奪戦は参加者が膨れ上がった。

次の朝、結局僕は一睡も出来なかった。台風は過ぎ去り香港は台風一過だ。さあ!最後の荷物を取りにハノイに戻ろう。

7日で7往復で7万円って安くないか!?

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