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バイク愛が炸裂する『スーパーカブ』

 木曜はラノベ愛語りです。今回は、私としては珍しい、異世界転生物ではないライトノベルを紹介します。
 今回紹介する作品は『スーパーカブ』。天涯孤独な女子高生の小熊(コグマ)ちゃん(そう言う名前なんです、本当に!)が、題名の通り、ホンダのスーパーカブと出逢い、どんどん世界が広がっていくと言う青春小説的なライトノベルです。
 現在、私は2巻まで読了していますが、物語は割と淡々と進んでいきます。
 現代の女子高生が主人公なので、暗黒竜を倒す等の冒険イベントは発生しません。いつもと少し違う道を帰るとか、いつもは行かない少し遠い場所へ行くとかが冒険イベントとなります。
 でも、これがイイ。
 身の丈に合った冒険イベントなので、読んでいる自分も、過去の自分が体験した冒険イベントと重ねて読む事が出来ます。だから、より自分事として感じながら読める訳です。
 その身の丈に合った冒険イベントを通し、主人公の小熊ちゃんは少しずつ成長していきます。それはもう、本当に「少しずつ」です。
 これって、とてもリアルですよね。
 物凄い体験を通して、自分の中でコペルニクス的転回が発生し、人生観が変わり生き方も変わる…そんな事は、なかなか体験できません。私みたいな普通の人間は、ささやかな体験を通して、ささやかに生き方が変わっていきます。
 この作品では、それが見事に描かれている訳です。
 そして、全編を通して感じるのは作者トネ・コーケンさんのバイク愛。スーパーカブって、こんな事も出来るよ、あんな事も出来るよ、世界が広がるよ…と言うメッセージが、次から次へと発信されてきます。
 読んでいて、自分もバイクに乗りたくなってきます。まぁ、北海道なので乗れる期間が短いのですが…。

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