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紙吹雪舞う

 2023年自分の創作活動を振り返る、の「自分の創作記録」をタッチすると、舞う、舞う、紙吹雪。しかも、よく読まれる記事第一位「まるちゃんとカボチャ」、第二位「まるちゃん訴える」、第三位「緑色のビニールシートの嘆き」の上にだ。
 私、喜ぶ、喜ぶ。
 去年のクリスマスイヴに私のところにやって来たパソコン。私はパソコンに"Hime 24”と名付けた。私のニックネームが「姫」、ラッキーナンバーが「24」だから。
 お兄ちゃんに基本的なことを教わって、5ヶ月ほどして「note」投稿記事「まるちゃんとカボチャ」でデビューした。そのとき、何が嬉しかったかというと、画面上のまるちゃんのとびっきりの笑顔、"おめでとう”という言葉、パンパカパーンと紙吹雪が舞い散ってなんだかお祭り騒ぎになったことだ。私は思わず「ばんざい」をした。
 それを見てお兄ちゃんが、「お母さん、これ、全部AIがやってるんだから」 とクールに言った。
 そんなもんどっちでもいいの。AIだろうがnoteの編集部だろうが。
紙吹雪が舞うと、なんかこうこの世の憂さが吹き飛びそう。私、今の今までこんなに紙吹雪に感動しまくるなんて考えたこともなかった。
 よし。今回も、まるちゃんのとびっきりの笑顔に紙吹雪を飛び散らかすぞ。
私はお兄ちゃんが小学生のときに使っていたお道具箱のなかの使いかけの色紙をひっぱりだして、チョキチョキ紙吹雪にぴったりの色を選んで切り始めた。
 お兄ちゃんが小学生のとき、学校で「お楽しみ会」というものがあって、子供たちがそれぞれに趣向を凝らしなにやらやっていたようだ。そのとき、決まってお世話役を買って出るのがうちのお兄ちゃんだった。勉強ではなくこういう事にはやたらと熱が入る。
 私もなにやかやと手伝う羽目になった。まだ幼いお兄ちゃんの鉛筆書きの字や書きかけの絵やハサミを入れて途中で止めた色紙が懐かしい。もう、遠い思い出。
 私がそうだったように、お兄ちゃんも親の思い通りには進めなかった。いろんなことがありすぎるほど有り、激しくぶつかり、暗い闇の中で途方に暮れた。
 だけど、あるとき私は気が付いた。子どもといえども、別個の人間、人格なのだということを。そこを私がしっかり認識できたとき、何もかもいいように事が回り始めた。
 そんなことを考えながら記事を書いていたら、突然、電話が鳴った。
 固定電話なので私は改まって名を名乗った。するとそれはお兄ちゃんからだった。彼はスマホではなく、よく固定電話にかけてくる。私が思うに、私がよそ行きの声を出すのを面白がっているみたい。
「お母さん、23日のN新聞、取ってある?」
「ええ、あるけど、どうして?」 仕事中のお兄ちゃんの声はどこか私の知らない人の声だ。
 新聞には「警察部外功労者表彰」とあり、お兄ちゃんとガールフレンドのMちゃんが感謝状を持って並んで写っていた。
 交通重傷事故において負傷者救護および捜査協力に対する表彰だった。
彼は今までにも何度も人命救助をおこなっている。今回はMちゃんが医療従事者ということも功を奏した。
 テーブルの上のシクラメンを眺めていたら、すっと心が遠のいて私は『青い地球』を見つめていた。私がこの星に「さよなら」をするとき、私は私の人生というスクリーンに紙吹雪を散らそう。私は画像に使った残りの色紙の紙吹雪をお兄ちゃんのお道具箱に大切にしまった。そのとき、最期に振り返ったこの地球が、まだ、『青い地球』であってほしい、と切に願う。

 ボクのともだちへ
がんばったから、ボク、だいぶ元気になったよ。もうすぐだ。もうすぐ、会えるよ。待っててね。     まる
 

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