怖がりのまるちゃん、玄関の前にいきなりゴミ袋がでんとあったらびっくりしないかな。
　結婚して43年、夫が初めてゴミ出しをすることになった。朝5時、まるちゃんの散歩の後、ゴミ出しをするよう頼んでいた。ゴミ袋ってガサガサ音がするし、とても散歩のときに出すのは無理だと思っていた。ところが、まるちゃん、やる気を出した。
「おじちゃん、ゴミを出さなきゃいけないんだ」
何気に夫がそう呟くと、それを聞いたまるちゃんピョンと一回飛び跳ねて、
「おじちゃん、ゴミステーションの場所知らないでしょ？　大丈夫。ボクにまかせて。ついてきなよ」
　リーダーシップをとったまるちゃん、ちょこっと進んではおじちゃんの動きを確認しピョンと飛び跳ねる。まるちゃんの考える要所で、それは三回繰り返された。
　無事、ゴミ出しが終わると、一仕事を終えたまるちゃん安心して散歩を始めた。
実はゴミステーションの場所は夫もよく分かっている。しかも、家のすぐ近く。10軒ごとでワンブロック、の一角にある。まるちゃんがパニック障害になる前までは散歩に行くときおばちゃんとゴミ出しをしてから散歩によく出かけたものだ。
　でも、おじちゃんからその話を聞いてとても嬉しかった。
　まるちゃん、ありがとう。おかげさまで、おばちゃん、とっても助かったよ。