今日もaudible 第9回: Mercy (Department Q (特捜部Q)Book 1)

audible uk の会員ですが、リンクは日本版のaudibleにしました。
audible uk については下記をご参照ください。

今日もaudible: ところで audible uk って何?

それではスタートです。

Department Q(特捜部Q)シリーズ

今回聴いたのは、配信で見ておもしろかったデンマーク発のミステリー映画の原作のはずです。

「はず」と自信なさげに書く理由は、主人公の人格設定がだいぶ違う気がするからです。見たのがずいぶん前なので、勘違いもあるかと思います。

いずれにしても、このシリーズがものすごくおもしろいことに間違いありません!!

3作品観ましたけど(「檻の中の女」「キジ殺し」「Pからのメッセージ」)、全部おもしろい!

そして原作もやっぱりおもしろい!心躍ります!

しかも3つで終わっていなかったのです!まだまだ続いています。どうやら映画もまだまだあります。

ありがとう、原作者! ありがとう、翻訳者! ビバ!北欧ミステリー!!


イギリス版タイトルとアメリカ版タイトル

本題の前にタイトルについて。

audible uk では Department Q シリーズの1作目は 'Mercy' というタイトルです。

図書館にある Department Q の1作目とはタイトルが違うなと思っていたら、イギリスでは 'Mercy' というタイトルで、アメリカでは 'The Keeper of Lost Causes' というタイトルで出版されたようです。

こういうことはあるのです。トリッキーです。

翻訳ものとは違いますが、ハリーポッターシリーズの1作目も本場のイギリス版とアメリカ版でタイトルが違います。

イギリス版が Harry Potter and the Philosopher's Stone 、アメリカ版が Harry Potter and the Sorcerer's Stone です。

Harry Potter の場合、使っている言葉までかなり、ほんとうにかなり、違います。

赤ちゃんダドリーが初めて口にした言葉が、イギリス版は 'Shan't!' 、アメリカ版は 'Won't!' だったりします。

audible の場合、Harry Potter のイギリス版とアメリカ版では朗読者が違います。

Department Q Book 1

Department Q 1作目に戻ります。

私が聴いたのは 'Mercy' ですから、イギリス版です。audible uk では2023年4月時点でイギリス版しか手に入りません。

Department Q シリーズが 2 for 1 sale に入る可能性もあると思いましたが、待っていられず、1 credit で購入しました。

2 for 1 sale や 1 credit についても今日も audible:ところで audible ukって何?をご参照ください。

下記は日本版 audible での 'Mercy' へのリンクです。

日本版 audible にはアメリカ版もありました。サンプルを聴いたところ朗読者の発音はアメリカ英語のようです。

いずれにしても、現時点では聴き放題には入っていないようですから、日本版 audible で購入しようと思ったらお高いですね。

(加筆中の)いま発見しました。日本語訳だと聴き放題のようです。


それでは今回気になった英語表現を下記にあげます。引用は図書館で借りた The Keeper of Lost Causes からにしました。翻訳者は Lisa Hartford です。

不利益の on

They'd moved there a couple of years before she walked out on him and moved into a cottage in an allotment garden in Islev.

Jussi Adler-Olsen, Translated by Lisa Hartford (2011), The Keeper of Lost Causes, Dutton. p.27

I've been giving things a lot of thought, but it's just no good. My work and my brother make too many demands on me, and I don't think that's ever going to change.

Jussi Adler-Olsen, Translated by Lisa Hartford (2011), The Keeper of Lost Causes, Dutton. p.45


1つ目の引用内の 'walked out on him' と、2つ目の引用内の 'make too many demands on me' には、どちらもいわゆる「不利益の on」が入っています。

なぜか「不利益の on」という英語学上のフレーズが好きで、使用例に気がついたときにはすかさずメモしてしまうのです。

walk out on O はリーダーズ英和辞典では「《口》…を(見)捨てる」、Oxford Advanced Learner's Dictionary (OALD) ではOが人の場合 '(informal) to suddenly leave sb that you are having a relationship with and that you have a responsibility for' とあり、例文として 'How could she walk out on her kids?' という辛い文章があげられていました。

make demands on O の方は、ジーニアス英和大辞典に「〈人・仕事などが〉〈時間・金など〉を必要とする、〈人〉に努力などを強いる」とあります。

炭酸飲料の気が抜けた flat

He lit a cigarette and grabbed a can of beet that one of the guests had opened but never drunk. It was lukewarm and tasted slightly flat.

Jussi Adler-Olsen, Translated by Lisa Hartford (2011), The Keeper of Lost Causes, Dutton. p.104

口を開けた缶ビールが手つかずのままぬるくなってちょっと気が抜けていたということに flat を使えるんですね。

OALD では飲み物についての flat の定義として 'no longer having bubbles in it; not fresh' とあります。


監禁する hold O prisoner

The monsters who were holding her prisoner had put their faiths in the mirrored panes. p.248

Jussi Adler-Olsen, Translated by Lisa Hartford (2011), The Keeper of Lost Causes, Dutton. p.248

電子辞書で hold と prisoner を入れて例文検索をすると、英和辞書の方では「捕虜にする」という訳語ばかり出てきます。

今回のミステリーは戦争とは関係ない話なので、「捕虜にする」というより「監禁する」でしょう。

さきほどの例文検索の際、OALD では prisoner の例文として 'They are holding her prisoner and demanding a large ransom.' をあげています。

ためしに「監禁する」をジーニアスの和英の方で引くと
  confine
  cage
  secure
  imprison
  detain
といった語が並びます。

hold と prisoner での例文検索で出てきた Oxford Dictionary of English の例文では 、

[with obj. and complement] she was held prisoner for two days.

とあり、SVOCの形で使うことがはっきりとわかります。

ジーニアス大英和でいうなら、hold の他動詞としての7番目の定義「人・物を〜の状態にしておく」でしょうか。

引用文の 'The monsters who were holding her prisoner' は、文字だけ見ると関係代名詞節がSVOで「彼女の捕虜 (her prisoner) を捕まえているモンスターたち」と見えなくもありません。

このあたりはGoogle翻訳は裏切りません。案の定人称代名詞 her を所有格ととらえて、「彼女の囚人を抱えていたモンスター」という、「彼女」も悪者であるかもしれない訳を提供してくれます。

しかしこの関係代名詞節の her は人称代名詞目的格、つまり目的語、prisoner が補語のSVOCで、「彼女を捕らわれの身にしている怪物たち」、すなわち「彼女を監禁している怪物たち」ですね。

DeepL はしっかり「彼女を監禁していた怪物たち」と訳してくれました。

そうです。Department Q シリーズ1作目は監禁ものです。

などと書くと、そこはかとなくロマンポルノ感が漂いますね。違いますよ。

そして私はいますでに Department Q シリーズ2作目を聴いています。忙しいです。

それではまた。

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