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【雑談】「電気予報」が最推しの理由をカキシルス【ポケミク】

年末の足音を聞く月末の雑談👞

ポケモンと初音ミクのコラボ企画である「ポケモン feat. 初音ミク Project VOLTAGE 18 Types/Songs」、通称「ポケミク」が始動して三か月が経とうとしている。

本企画は二部構成となっており現在は前半の「18タイプの初音ミク&相棒ポケモンのイラスト・設定資料」の公開が終わり、後半の「18名のボカロPによる、ゲームBGM・SEをサンプリングした楽曲・MV」が展開されているところだ。

現在公開されている楽曲/MVはポケミク公式Xの次のポストの通り。

DECO*27、稲葉曇、Mitchie M、ピノキオピー…ボカロファンであれば誰もがその名を知る有名P達。彼らのミッションはポケモンのゲームBGM・SEをサンプリングした楽曲を提供すること。逆に言うとそれ以外の縛りはない。

前半のイラスト企画がタイプ縛りだったためMVもタイプがテーマではないかと予想されていたが、そんなことはなく各ボカロPの個性が発揮されている。MVがポケモン公式youtubeチャンネルではなくボカロPのチャンネルで公開されていることにも留意すべきだろう。

さて、そんな前置きは置いといて今日筆を執ったのは自分の推し曲を語るため。題にもあるようにこめこめくらぶ的推し曲はズバリ「稲葉曇『電気予報』」(11/29現在公開されている曲の中で)。

この曲は他に提供されているポケミク曲と比べてもかなり異質なポジションを陣取っている。本記事ではその異質さについて自分なりにカキシルス。では、お付き合い願いましょう。


「電気予報」(2023/10/06公開)
Lyrics : 稲葉曇 / Project VOLTAGE
Music : 稲葉曇 Vocal : 初音ミク
Illustration : ぬくぬくにぎりめし

異質ポイント①:一枚絵ストロングスタイル

稲葉曇氏といえば、「ラグトレイン」に代表されるモノクロでシニカルな雰囲気のMVで有名なボカロPだ。Illustrationのぬくぬくにぎりめし氏のポップな絵柄と灰色背景が特徴。

「電気予報」はそんな灰色サムネに混じって一際カラフルではあるものの、一目で稲葉曇の作品だと分かる一枚絵で構成されている。私が昔親しんでいたwowaka氏の楽曲を想い出す。

言うまでもなくこの一枚絵のみの構成はストロングスタイルだ。楽曲そのものの魅力だけで引っ張らなくてはならない。ましてやマス向けのコンテンツであるポケモンとのコラボともなればプレッシャーは凄まじいものだろう。それでも自分のスタイルを貫いている「電気予報」はやはり異質だ。

異質ポイント②:ポケモンと初音ミクの邂逅と挨拶

ポケモンと初音ミクがコラボすると聞いて、皆さんはどんな楽曲を想像するだろうか。

まずは初音ミクがポケモンコンテンツの中に入った曲が考えられるだろう。すなわち初音ミクがポケモントレーナーになって歌う曲。ポケミクのスタートダッシュを飾ったDECO*27氏の「ボルテッカー」はまさにそのような楽曲だ(Mitchie M氏の「ミライどんなだろう」も同じ系統)。

DECO*27氏「ボルテッカー」
https://youtu.be/C-7TIDIKc98?si=ta0aeDH2HRT82iYl

反対にポケモンというコンテンツを外から見つめた曲も想像される。ポケモンというコンテンツに触れてきた現実世界の私たちに訴求する楽曲。ピノキオピー氏の「ポケットのモンスター」がこれに相当する。

ピノキオピー「ポケットのモンスター」
https://youtu.be/lIoi2r3f5fU?si=mm05qjQeohONDtB3

しかし、「電気予報」はどうだろう。真ん中に陣取っているミクさんはトレーナーに見えないこともない…が、歌われているのは「ポケモントレーナー」ではなく「電子の歌姫」としての初音ミクである。

でんげきが はしる!
画面を またいだ あたしと 目が あって
捕まえたのは あなた
感情を 知らない きれいな 声は 離れない

稲葉曇「電気予報」

では、外側の視点からポケモンと初音ミクを俯瞰するような楽曲かと言われるとそうでもない。俯瞰ではなく、初音ミクが「ポケモン」と共に私たち(ポケモンユーザー)を観ているといった方がしっくりくる。

あああああ
はじめまして 
あたし あなたの 心です
かわいい だけじゃない ってこと 知ってほしいの

稲葉曇「電気予報」

初音ミクとポケモン、両者は仮想空間と現実世界を繋ぐエンターテインメントコンテンツという共通点を持つ。それは「ポケミク」のコンセプトとして掲げられているものでもある。

1996年に、ゲームソフトとして始まった、ポケモン。
2007年に、歌声合成ソフトとして始まった、初音ミク。

現実世界と仮想世界の両方をつなぎ、豊かにしてきた2つのコンテンツがコラボし、個性あふれるクリエイターたちとともに、新たな表現に挑戦します。

まるで18種類の「タイプ」のように、 かっこいい、かわいい、ふしぎ、おもしろい……さまざまな音楽やイラストが、あなたを待っています。

夢と冒険、未来と音が交わる初めての世界。
ボルテージを高めて、お楽しみください。

ポケモン feat. 初音ミク Project VOLTAGE 18 Types/Songs」公式HP
https://www.project-voltage.jp/about.html

わたしはわたし、あなたはあなた…別の存在だからこそ出会ったら「挨拶」をする。「電気予報」はコラボコンセプトに正直でフラットな楽曲だ。そしてそのフラットさこそが何よりも異質さを際立たせている。

異質ポイント③:誰かに届かなくてもあなたに届くあたしの声

しょうげきを くらう?
誰かにとって この声は いまひとつ
捕まえたのは あなた
感情を 知らない きれいな 声は

稲葉曇「電気予報」

「挨拶」がこの曲のテーマだとすれば、自らの声が届かない「誰か」のこともきっと意識したことだろう。にわかの私が語るべくもなくボカロの永遠のテーマとして横たわっている。

でも「電気予報」はそんなことに頓着はしていない。「誰か」にとっていまひとつでも「あなた」が捕まえたのならきっとその声は「きれい」でこうかばつぐんだ。

ポケモンは疑いようもなくマス向けのコンテンツ。一方で初音ミクは…今では門戸を広く開けているにしても元は「オタク」コンテンツだというのも確かだ。刺さる人に刺さる、草の根で広がってきたコンテンツ…「ネギ」はそれを象徴するアイコンとなっている。

ポケモンの文化と初音ミクの文化。両者は共通するものもあれば異なるものもある。お互いに歩み寄らなければコラボにならないが、お互いに違うからコラボの意味が生まれる。

「電気予報」ではその差異の源泉となる「異質」感を大切にしている。結果、「誰か」には届かなくとも「あなた」の一人であるこめこめくらぶがこうしてカキシルスに至ったというワケだ。


さて、今週末からは新たな楽曲が更新されるらしい。

これまた有名Pが揃っているが果たしてどんな曲と出会えるのだろう。初音ミクとポケモンの化学反応はきっと私たちの想像を超えてくる。「電気予報」以上の異質さに出会ったら、またここにカキシルスことにしよう…To Be Continued.




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