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キャバ嬢が黒服を好きになった話③


それから私とユウ君はとても幸せな毎日を過ごして
いました。出勤すれば会えるので毎日の出勤がとて
も楽しくて。

お互い休みの日はみなとみらいやディズニーなど、
定番のデートをしたり。

ユウ君は自分がイケメンってことよく分かっている
ので写真やプリクラが大好きでした。なのでどこか
出かけたりお泊りしたときも絶対プリクラ撮りに行
ってました。

あとユウ君は浅草が好きだったな。生き物は猫が好
きであとカラオケも好きでよくカラオケにも行きま
した。そんなに特別うまいと思ったことはないけど
ユウ君のことが好きだったのでかっこいい~!って
思っていました。

あとは急に昔亡くした友達を思い出して泣き出した
り少々メンヘラな部分があったり、いつも口元を隠
して笑う人でした。

でもいつも私を一番に考えてくれてとても優しくて
大好きな彼氏でした。とくに顔。

ですが、数か月して彼の態度が変わってきました。

お客様との同伴出勤を見ると『今日も同伴?』とL
INEが来るようになり、『アイちゃんが出勤して
るの見ると嫌な気持ちになる。出勤減らして。』と
言われました。

もとはと言えばユウ君がいたから頑張れていた仕事
ですし、出勤を増やすことが条件で私たちは付き合
う事が出来たのに・・・
もちろんユウ君の意見は普通の昼職の男の子が言う
なら分かります。でも同じ水商売、それを理解して
いてくれていると思っていました。

それを言ってしまえば、私だって同じだと反論しま
した。キャバクラなんて常に若くて可愛い子が入店
してきますし、いくら仕事でも誘惑はあるわけで、
私はそれを言わずにいたのに!と。

それを言って少しは納得してくれたようでしたが、
それも数日しか持たず、彼は仕事を辞めると言い出
しました。そうしたら私の不安もなくなると。それ
は同時に私にも辞めろという意味です。

私は今まで頑張ってきたから良いお客様にも巡り合
えて仕事もとても楽しかったので辞めるのはもった
いないと思いましたが、ユウ君がいなければ毎日頑
張る意味もなくなります。私もユウくんが好きだっ
たので同じ時期に辞めることを決意しました。

店長は薄々勘付いていたようで、『いつでも戻って
きていいからね。』と優しく送り出してくれました

キャバクラを辞めてすぐ、ユウくんは引っ越しをし
ました。そして『アイちゃんもうちに引っ越してお
いで。』と言いました。池袋の駅から離れたちっさ
い古いマンションです。

ユウ君はもともとそこに私と住むつもりで引っ越し
たようです。私に何の断りもなく。

私は昼の仕事もあるし、通勤が大変だし部屋の大き
さ的にも無理だと断りましたがユウ君はとても驚き
ショックを受けているようでした。

でも毎週末ユウ君の家に泊まりにいって仲良く過ご
していました。

それからユウ君は仕事を探しながらバイトを掛け持
ちしてもう水商売はしないと意気込んでいました。
私もそれはとても嬉しかったので応援していました
が今までキャバクラの黒服、AVのスカウト、風俗
店の店長などしかしてきてないユウ君にとってかな
り現実は厳しかったようです。

工場の夜勤をしたときも『普通に働くってこれくら
いしかお金もらえないんだね・・』と言っていまし
た。そう思うのが当然だと思います。
私は昼職からキャバクラとの掛け持ちを始めたとき
最初は週1~2日しか出勤していないのに昼間以上
の給料をもらって『こんなにもらえるの!?』って
思いました。ユウ君にとってはとても辛い経験だっ
たと思います。

たまに夜職に戻りたそうにしていましたが、自分で
決めて私まで辞めたのでなかなか戻りたいとも言え
ない様子でした。私は分かっていながら何も言わず
にいました。

一緒にいる時間が長くなるとユウ君は口元を隠すこと
なく笑うことが増えました。それでもやっぱり癖つい
ているのか、口元を隠したり小さな口で話すのは続き
ますが、その時からなにか不自然で今までうっすら気
づいていたことが確信に変わりました。

上の前歯4本が黒くボロボロだったのです。

はっきり見た時には衝撃でした。何も知らない私は虫
歯だと思い、『早く治した方がいいよ!』と言いまし
たが違いました。

彼は過去にドラッグをやっていて、その時に歯が溶け
てボロボロになってしまったとのこと・・。その時、
飛び降りようとして病院に運ばれたことを話してくれ
ました。正直聞いたことはあってもそういう問題に関
わったことが無かった私は引いてしまい、恐怖も感じ
ました。でも正直に話してくれた彼に気付かれないよ
う振舞いました。

これをきっかけに私の中でも少し気持ちの変化が現れ
ました。

④へつづく・・・

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