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【知らないとヤバい?!】潰瘍性大腸炎と大腸がんの関係性を調べてみた。

・潰瘍性大腸炎になってしまったけど、将来がんになってしまうのか心配
・潰瘍性大腸炎はがんになりやすいって聞いたけど本当?
こんな方はおられませんか?
潰瘍性大腸炎は大腸に炎症が起きる難病。
もしその炎症をそのままにすると将来大腸がんになる確率が高まるかもしれません。
今回は、潰瘍性大腸炎歴3年の僕が、「潰瘍性大腸炎」と「大腸がん」の関係について調べてまとめました。
この記事を読めば、潰瘍性大腸炎で将来がんになるのが不安な人が少しでも2つの病気の関係性が分かり、これからどうすればいいのかが分かるようになります。


★やっぱり大腸がんにはなりやすい。

①大腸がんになる確率は、年々上がっていく。

まず潰瘍性大腸炎患者が大腸がんなってしまう確率を調べました。

潰瘍性大腸炎の発症からの期間が長くなると、大腸がんのリスクが高くなることが知られています。欧米の報告では、潰瘍性大腸炎患者さんで大腸がんが発生する割合は、診断からの経過年数が10年で1.6%、20年で8.3%、30年で18.4%と、年数が経過するほど高くなる傾向がみられました。

ファイザー UC Tomorrowより引用
 
ファイザー UC Tomorrowより引用

どうやら潰瘍性大腸炎が発症してから年数がたつにつれて、大腸がんになる確率が上がるようですね。
怖すぎる(泣)。

②一般の人の50~100倍大腸がんになりやすい。

大腸がん直前の前がん病変をDysplasia(ディスプレイジア、異形成)と呼びますが、重症患者の割合が多い当院での潰瘍性大腸炎患者さんの追跡データでは、Dysplasiaと大腸がんを合わせた発生頻度は、発症から10~15年で10数%にものぼります。
もっとわかりやすく説明するならば、IBD患者さんは、一般の人と比べて大腸がんのリスクが50~100倍は高いと考えてください。例えばIBDに罹患していない1万人に大腸内視鏡検査を行って大腸がんが1人見つかるならば、IBD患者さんのみに大腸内視鏡検査を行えば、100~200人に1人で大腸がんが見つかるということです。

IBDプラスより引用

そして一般の人と比べた場合は、50~100倍にかなり確率が上がってしまいます。50~100倍といわれるとかなり多く感じますね。

③特にどんな患者が大腸がんになりやすいか?

潰瘍性大腸炎では「炎症の程度が高度である」、「罹病期間が長い」、「罹患範囲(病変範囲)が広い」、「高齢である」、「家族歴(家族に大腸がんの罹患歴がある人がいる)を有する」が危険因子としてわかっています。

IBDプラスより引用

ただ潰瘍性大腸炎だからがんになりやすいというわけではなく、
原因になるものが決まっているようです。
これを見ると、「高齢であること」や「罹病期間が長いこと」、「家族歴」は自分でコントロールすることができません。
なのでなるべく炎症を早期にかつ効果的に抑えることが大切ですね。

★IBDのがんの特徴は「多発しやすい」「見つかりにくい」「進行しやすい」

IBDの大腸がんには、普通の人とは違う3つの特徴があります。
それは「多発しやすい」「見つかりにくい」「進行しやすい」です。

1つずつ見ていきましょう!

①「多発しやすい」

一般的な大腸がんは、どこか1か所から発生して広がっていくことが多いのですが、IBDでの大腸がんは複数のがんが同時多発的に起こることが少なくありません。

IBDプラスより引用

これは潰瘍性大腸炎の場合、炎症が広くなっているからでしょうか。
1つだけでも怖いのに、複数のがんができるのは怖すぎます(泣)。

②「見つかりにくい」

一般的に大腸がんを発症した場合、大腸内視鏡で見ると粘膜表面から発生したがんが腸管の内側に盛り上がって隆起していたり、周辺とは異なるほど粘膜が赤くなっていたり(発赤)など、視覚的に区別をつけやすいことが多いものです。ところがIBD患者さんで見つかる大腸がんは、一見すると平坦な粘膜表面の炎症部分の組織を採って検査をすると「がんだった」とわかるような、見つけにくいものが少なくありません。

IBDプラスより引用

潰瘍性大腸炎の患者の大腸は、炎症が起きている場合、潰瘍性大腸炎の炎症なのかそれともがんなのかが分かりにくいということですね。
これでは早期発見が遅れてしまいそうですね。

③「進行しやすい」

一般的な大腸がんでは、がんが大きくなるにつれて腸管の粘膜側(管腔側)へ隆起しがちですが、IBDでの大腸がんは逆に腸管の深部に向かって広がってより早くリンパ節や他の臓器に転移していく傾向があります。つまり進行がんになりやすいということです。

IBDプラスより引用

普通の人の大腸がんは、表面にポコッと出てくる感じでイメージ大きくなるイメージですが、潰瘍性大腸炎の人のがんは、粘膜の内側に向かって進行していくようです。

★大腸がんの発生を防ぐためには?

①「粘膜治癒」を目指す。

完全な予防というのは難しいと思いますが、腸管粘膜の炎症が強いほど発がん率は高くなり、いわゆる粘膜での炎症が治まっている粘膜治癒を維持できれば大腸がんのリスクは健常人とほぼ同じになることはわかっています。つまり、粘膜治癒を維持できるような治療を継続するというのが何よりも重要です。

IBDプラスより

潰瘍性大腸炎の人が大腸がんにかかりにくくするためには、
症状を抑えただけではなく、「粘膜治癒」という粘膜の炎症もおさまった状態を目指すことが大切なようです。
なのでゴールは大腸内視鏡検査をしてもらって、「炎症もおさまっているね」と言われることですね。

②治療を継続する。

粘膜治癒を達成し、下痢や血便などがなくなったからといって油断は禁物です。粘膜治癒のIBD患者さんで、大腸内視鏡検査時に組織の一部を採取して調べると、微小な炎症が残っている場合もあるからです。自覚症状がなくなっても継続的な治療薬の服用を習慣づける必要があります。

IBDプラスより

やはり「粘膜治癒」を達成しても、手を緩めることなく、服薬などの治療を継続したほうがいいです。

薬をきちんと服薬したほうが寛解維持しやすいことが分かる。

★早期発見のために、定期的な内視鏡検査をするべき。

早期発見のためには、大腸内視鏡検査を定期的に受けることが何より重要です。当院では40歳以上で罹病期間が7~8年を超える患者さんには、症状がなくとも大腸内視鏡検査を勧めています。この基準は患者さん自身が大腸がんのリスクを考えた検査を念頭に置く場合にも同様に考えていただいて構いません。

IBDプラスより

大腸内視鏡検査で粘膜治癒が得られていて組織を採取して検査しても問題がなければ、おおむね次の大腸内視鏡検査は2~3年後ということが一般的です。

IBDプラスより

潰瘍性大腸炎になってしまった時点で、大腸がんになりやすいことは間違いがないので、あとはどれだけ「粘膜治癒」を保つことができるかと、定期的に大腸内視鏡検査を受けることが大切です。


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