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1996年4月24日(水)《BN》

【熊大生協:倉本 憲伸・高倉 蘭馬・築山 正憲】

「まあ目標は全員合格やな」
「俺だけダメとかやめて欲しい」
 カツ丼を一口運んだ後に発した倉本 憲伸の言葉を聞いて、築山 正憲が感想を口にした。ここはお昼過ぎの『熊大生協』。たくさんの大学生達で大盛況である。倉本と高倉 蘭馬、築山も午前中の講義を受けた後、昼食を食べに『生協』にやってきたのだ。昨日の14期冒険者組織合格発表で3人とも1次試験は無事に合格していた。だが、3人とも戦士希望だったにも関わらず、築山だけは罠解除士での合格となっていたのだ。元々3人とも高校時代は剣道を行っており、剣裁きには多少自信があった。だが築山は罠解除士という全く何をするか想像がつかない職種での合格だったのである。なので、2次試験に合格するイメージが持てず、自分だけ合格できない気がしているのである。
「でもまあ何か適性があると判断されたんだと思うからさ」
 慰めではないだろうが、高倉が言葉をかける。実際築山の剣道の実績はある程度高い物だったので、それで戦士ではなく罠解除士に選抜されたのは何かしらの才能を評価をされたと見るべきであろう。もしくは罠解除士にろくな希望者がいなかったということかもしれない。もしそうであれば、罠解除士申込者のレベルは低いと考えられるので、実は合格の難易度は意外と低いのかもしれない。
「とにかく全員合格すれば問題なし。ところで2人は午後は何か予定あるの?」
「特にないかな」
 午後に特に予定がなかった倉本は、2人に予定を尋ねたが2人とも特に予定はないようだ。そこで何をするかを話し合った結果、パチンコでも打とうと言うことになり、『エンペラー』武蔵ヶ丘店に向かったのである。

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