【道：前田　法重・中島　一州・原田　公司・大塚　仁・中尾　智史・本田　仁】
「そういえばズーラシアって動物園のズーとユーラシア大陸のユーラシアを合わせた造語らしいですよ」
「何それ、知らんな」
　話題が切れたタイミングで、原田　公司が何気に発した言葉に対して、前田　法重は正直な感想を述べた。ここは居酒屋『道』。本日もたくさんの酒飲み達が集まってきている。前田と護衛隊のメンバーもいつものように集合して宴会を開始している。昨日は冒険者組織20期の1次試験発表があっており、先程までその話題をつまみに美味しくアルコールを消費していた。前田と原田は1期で冒険者になっているので、今回20期試験ということはもう10年近く冒険者をやっているのである。そこから始まった昔の思い出話などで、場は盛り上がりに盛り上がったが、さすがにある程度の時間が過ぎたので、この話題も収束を迎える。そして全員がしばらくまったりとした後で、先程の原田の発言につながるのである。
「いや、何かそういう名称の動物園がどこかに出来たってテレビで言ってた気がします」
「俺もテレビで見た気がします」
「俺もっす」
　何となくテレビで見た話題だったので、実はあまり詳しいことは把握していないことを原田が口にし、それを聞いて大塚　仁と中尾　智史は自分たちもテレビで見たと発言する。ここにおいてズーラシアを知っているのが原田と大塚、中尾の3人、知らないのが前田と中島　一州、本田　仁の3人となる。要はテレビを見ていたか見ていないかなのだが、原田、大塚、中尾は本日家で家族と過ごしていたのでテレビを見ており、前田、中島、本田は朝から集合してスロットを打ちに行っていたのでテレビを見ていなかったのである。ちなみにスロットの結果は中島が爆勝ちだったので、今日の『道』の飲み代は中島が払うことになっているのである。