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【轟音感想】Distant - Heritage

はじめに


デスコア。この4文字を目にすると根拠のない違和感と抵抗を感じます。
と云うのも、グラインドコア以外の〜コアというジャンルがしっくり来なくて、メタルの要素を加えたって何やねん、メタルでええやん、と思ってしまうのです。
あとデスコアとデスメタルの境目が曖昧なのもしっくりこず、うーんモヤモヤとなってました。
ただ聴いてて「あ、これってデスコアだ」とか「これはデスメタルだな」って感覚はあるんですよね。その違いを言語化出来ないだけで。
一応「ブレイクダウンやビートダウンを多用する」という定義はあるけど、うーんなんだろう、しっくり来ず。
ちゃんと向き合いもせずに避けてきたんですが、めちゃかっこいいバンドとアルバムに出会って考えを改めました。
そのアルバムがこのnoteのタイトルでもあるDistantの「Heritage」です!

Distantについて

オランダ出身のデスコアバンドで、アルバムを3枚リリースしてます。
1st,2ndはUnique  Leader  Recordから、3rdは大手のCentury  Mediaから。
Unique  Leaderはご存知の通りDeeds  of  FleshのリーダーだったErik Lindmarkが社長を務めてたテクニカル/ブルデス専門レーベル。Disgorge、Disavowed、Beheaded、Decrepit  Birthなんかが所属していたことが印象的です。デスコアではSign of the Swarmsのアルバムをリリースしてます。
そんでまぁ、この【轟音感想】を書くときは世界最大手のメタルサイトMetallumさんを参考にすることが多いんですが、なぜかDistantはMetallumのデータベースに無いんですよね・・・
Metallumの網羅から漏れてるのか、外されているのか、何かハブられることでもしたのか。
公式HPによると
「5人組のダウンテンポデスコアバンドで、メンバーはオランダ・ロッテルダムとスロバキア・ブラティスラバ出身」
2014年デビューで、2016年にはLINKIN  PARKの「One  Step  Closer」のカバーシングルをリリースしてます。このカバーは原曲の原型を留めてなくて好きです。
その後2018年に1stアルバム「Tyrannophobia」、2021年に2ndアルバム「Aeon  of  Oblivion」を発表。
で、2023年に3rdアルバム「Heritage」
これが今回「デスコアええやん!」ってなったアルバムです。
ちなみに、2nd,3rdはVo抜きのInstrumentalアルバムも発売されていて、相当音に自信があることが窺えます。まだ聴いてないのですが、Vo無しってライス抜きの天丼みたいなもんじゃ無いのかな。

メンバー

Alan Grnja : Vocals
Nouri Yetgin : Guitars
Vladimir Golic : Guitars
Elmer Maurits : Bass
Shainel Ramharakh : Drums
オランダとスロバキア出身ということですが、、、浅学なので名前からは誰がオランダかスロバキアかが見分けつきません。
GtのVladimir  Golicはスラブ系っぽい名前な感じですが。
そういえばスロバキアは1993年にチェコスロバキアから分離してチェコとスロバキアの二国に分かれたんですね。古い本を読んでたらチェコスロバキアと書かれててて、あれ?と思った次第です。オチなし。

収録曲

1.Acid Rain 1:54
2.Paradigm Shift 3:23
3.Born of Blood 3:16
4.The Grief Manifest 3:33
5.Exofilth 3:28
6.Argent Justice (feat. Suicide Silence, Emmure, Abbie Falls, Acranius, AngelMaker, Bodysnatcher, Cabal, Carcosa, Crown Magnetar, Paleface, ten56., Worm Shepherd) 7:04
7.The Gnostic Uprising 3:26
8.A Sentence to Suffer 3:53
9.Human Scum4:35
10.Heritage (feat. Will Ramos of Lorna Shore) 4:03
11.Orphan of Blight 4:40
12.Plaguebreeder 3:51

感想

”ドゥゥゥン”って地響きのようなブレイクダウンがやたらと入っていて、それがこのバンドかアルバムの肝なんだなぁって、小並感はさておき、全体的にインダストリアルのような硬質な雰囲気に包まれています。
その全体的な空気が、なんつーかカッコいいんですよね。
9曲目の「Human  Scum」とかインダストリアルでめちゃくちゃカッコいい。
自己破壊的な衝動を感じる音というか、鬱憤を溜めに溜めて爆発したどうしようもなさが感じられて、非常にネガティブで破滅的な爆発性はハードコアパンク由来の直球さだなぁと。
偏見だけども、メタルは「音楽は音楽」、と線引きをしっかりしていて、楽曲のブルータリティはショーの要素と捉えている感じがする。ブラックメタルの一部はさておき。
一方でハードコアパンク、特にデスコアだけど、は「音楽は生き様だ」と線引きが曖昧どころか、線引きされていなくて、1日から一生まで激烈に終わりそう。
そんな風に感じさせるデスコアの1枚、distant - Heritageはとても良かったです。
もう少しデスコア界隈を掘り下げて行ってみたいと思いました。

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