初めてDiorの香水をつけたときの話

私は誕生日に父からプレゼントを貰った。
私は東京で暮らしている。実家は福岡である。
誕生日の2週間前、父と電話をした。
離れていると定期的に電話をして声を聞かせてあげないと心配される。
親にとって子供はいつまでも子供なのだなと感じる。
私『そういえば再来週は私の誕生日だよ』
父『そうだね。何かプレゼント贈ろうか、欲しいものはある?』
私は、父から誕生日プレゼントを今まで貰ったことがなく、実家にいたときは母からプレゼントを買ってもらっていた。
だから、この提案はとても嬉しかった。
私『そうだなぁ…現金でも嬉しいけど、ほかに考えてみるね』
大人になると、子供の頃みたいに欲しいものはなかなか思い浮かばないもので、不思議だ。
現金が欲しいと言うと父はなんだか寂しいと感じている気がした。父としても、現金を送るよりはプレゼントを買いに行く方が楽しいのではないだろうかと思った。毎日忙しく仕事をこなしていて、買い物に行くきっかけが欲しいのではないだろうか、とも思った。
そういえば、香水がもう何回か分しか残ってないことを思い出した。去年の夏に買って、ほぼ毎日使っていたのでそろそろ買い換えたいと思っていたのだ。
使ってたのは、ZARAの香水だった。
その時は拘りがなくとりあえず間に合わせで購入した物だったが、桃のような香りで使いやすい香水ではあった。ただあまり香りの持続性がないのと、20代前半までの若い子向けな香りだった。
20代前半も卒業するから、どうせなら大人っぽい香水がつけてみたいと思った。
ということで憧れていたけど値段的に高いなと感じるミスディオールの香水を買ってもらうことにした。
父はおしゃれには無頓着な人間で、ミスディオールの香水が欲しいといっても伝わらないかなと思ったので、写真も送ってお願いした。

そして誕生日当日、父からはお祝いメッセージがLINEで送られてきた。
そこには、21日くらいにプレゼントが届くと思うと書かれていた。
どんな年になっても誕生日を祝ってくれる人がいることは幸せだと感じた。
予定どおり、21日にプレゼントが届いた。
中身は、私がおねだりしたミスディオールの30mlの香水がお店のショッパーに包まれていた。
ショッパーから高級感が溢れており、私は感動した。
本物のブランドを知ることが大事だという言葉をどこかで聴いたことがあったが、まさにこのことなのだなと感じた。
試しにワンプッシュ吹きかけてみた。
初めて嗅ぐ高級感の漂う香り。これを持つことで去年の自分より大人になれるような、そんな香りだった。
リラックス効果のあるムスクが配合されているため、落ち着く香りだった。
出かける時に、ワンプッシュ吹きかけるだけで一日中香りが消えないということにも驚いた。
オールドパルファンと、オードトワレの違いは香りの持続性からも全く違うんだと実感した。
香りがやや強めなので、胸元や首元につけるとやり過ぎた感じが出てしまうので、お腹の辺りにつけることにしている。
いい香りを纏うのって気持ちを豊かにしてくれると感じた。
そういえば、香水といえば、パフュームという映画を観たことがある。

香水作りに心を奪われる青年は、綺麗な女性の香りを集めて香水にしたいという野望を抱く。その執着心が彼を人殺しへと豹変させ、町中で女性の連続殺人という悲劇を招いてしまう....

最終的には、彼は世界中の誰もが怒りの感情を忘れ、悦びや愛情を感じさせる最強の香水を作り、死刑を免れるというありえないエンドロールなのだが、これはハッピーエンドともバッドエンドとも言えるし、いわば胸糞が悪いというものだろうか。

香りは時に人を魅了させ、香りはその人の印象を強く覚えさせるものでもある。

昔付き合っていた異性の香水が好きだったら、その香りを嗅ぐことで記憶が蘇るというのは本当にあると感じる。

香りで相手の印象を残すテクニックもあるのかもしれないがそんなに簡単に人の心を奪うほど恋愛が簡単だったら誰も悩んだりしないよなと思った。



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