散髪はいつもハードモード



田舎者の俺が大都会の風格に負けまいと
伸びすぎてどうしようもない髪をなんとか
おしゃれ風にして予約時間の5分前に着いた。

そして案の定入り口がどこかわからない。
テトリスのように店が詰められた建物にある美容室に入るには隠しコマンドでも必要なんじゃないかと思わせられる。
まあ基本金がなく初回のみ安くなる美容室をいくつもハシゴしている俺にはこのケースも稀ではない。
今回も初めての場所だがまあまあ想定内だろう。
なれない人混みと街の音に少しの焦燥感を感じながらもなんとか入店


実を言うと美容室に行くのが少し苦手である。
髪を切る目的の話以外に正直なにを話せばいいかわからない。
俺は相当なレベルで隙あれば人様の顔を覗く癖がある。なかなかきもいぐらい。
今回もその変態スキルを活用し、心の中で偏見を作りながらなんとか担当者を笑わせたい。
陰キャだと思われたくない、と脳内を高速回転。
ぎこちなさを感じながらも世間話を弾ませ場面は中間地点へ。


そして現れた無言の時間。ここが難関ポイント。
髪を切るという緻密な作業の上で美容師さんに
集中させてあげる時間は必要不可欠。
この時間はしょうがないのだ。

この無言の時間。なにをすればいいのか。
俺には鏡に映る自分をみていると何故か笑ってしまうという弱点がある。かといって違うところを見つめていてもいつも冷めた面をしているせいなのか、「具合悪いですか?エアコン寒いですか?」と気を遣わせてしまった。
俺はボスではないので気を遣われることに罪悪感を感じてしまう
「あっ、え、大丈夫です、!」
カオナシになりかけた俺はどうにか対策を練った

「自分の顔見ちゃうと笑っちゃうんですあはは」
なんて言えるはずがない。。
焦りで乾いた唇をこっそり舐め
アロンアルファがついたのだとイメージさせた。
これで口は開かない。笑えないだろう。(いろんな意味で)
このためにアロンアルファは存在したのかもしれない、、、(洗脳中)

その後もいろいろしてもらい全工程が終わった。

俺「ありがとうございます!」

唇のアロンアルファを剥がすべくニコニコレンタカーのロゴをイメージし愛想笑いをしたつもりが、鏡には半笑いのおそ松くんがいました。


ミッションクリア
お金と共に恥ずかしさを置いて店を出る。
髪は減り、財布と心は軽くなった。
クリア報酬は次回割引クーポンと担当者のLINE
コンティニューを勧められたのだった。










この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?