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【ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON】

2023年9月プレイ開始
総プレイ時間:約50時間

【ストーリー】

★★★★★ 5

物語の舞台となるのは、エネルギー資源「コーラル」を巡って争いが繰り広げられている「ルビコン」という惑星。
主人公である――独立傭兵「強化人間C4-621」は、「アーマード・コア(通称:AC)」という機体に搭乗し、「ハンドラー・ウォルター」と名乗る男から下される任務を遂行していくが、やがて様々な企業や独立傭兵たちの陰謀に巻き込まれていく。
本作はマルチエンディング形式となっており、プレイヤーの選択によって、物語の結末は大きく変わることになる。

終始シリアスな雰囲気で進行するストーリーは、ハードボイルドな世界観とこれ以上ないほどマッチしており、プレイヤーは常に緊張感と共に任務へ臨むことになる。
だが、戦場や通信で交わされるセリフは洋画のようにウィットに富んだものが多く、退屈することはない。
ユニークな会話も繰り広げられるが、作品の雰囲気を決して損なっていない点も秀逸である。

ちなみに本作は10年振りのシリーズ最新作ということだが、過去作との直接的な繋がりは無く、全く新しいストーリーや舞台設定となるため、シリーズ初心者でも安心してストーリーを楽しめる仕様となっている。
同社の『DARK SOULS』シリーズや『Bloodborne』などは非常に難解な物語となっていたが、本作においては誰が遊んでも理解しやすいはずである。

火を点けろ、燃え残った全てに」というキャッチコピーや、サブタイトルにもある「」や「火種」をテーマにした熱い展開や、ACシリーズお馴染みの謀略・裏切り・共闘といった起伏に富んだシナリオには個人的に大満足の一言であった。

【ゲームシステム】

★★★★★ 5

本作はミッションを選択 → 戦闘で使用する機体を選択 → 出撃というシンプルな流れで進行する。
エリアは戦況に合わせて様々なロケーションが用意されており、特定の地域には隠しパーツが落ちていることもあるため、探索する楽しみもある。

戦闘は右腕武器・左腕武器・右肩武器・左肩武器の4つを駆使し、ブーストや残弾に気を配りながら立ち回ることを要求される、アクションゲームとシューティングゲームが融合したようなハイスピードなバトルが特徴だ。
使用できる武器は多岐に渡り、ハンドガン・ライフル・レーザーキャノン・ミサイルといった銃火器と、レーザーブレードやチェーンソーといった近接武器、果ては『ファンネル』のような特殊武器まで用意されているため、自分好みの武装で戦闘を行える点が非常に奥深く面白い。
また、敵のガードを削りきった際に訪れる「スタッガー」という状態は敵に大ダメージを与えられる瞬間であり、この際に得られる爽快感は計り知れない。
しかし、こちらも敵からの攻撃を受け続けているとスタッガー状態になってしまい好き放題されるため、戦闘の難易度はやはり高くなっている。
そして、特筆すべきは操作感であり、本作は従来のシリーズほど操作がややこしくなく、シリーズ未経験でも同社の『SEKIRO』や『ELDENRING』を遊んだプレイヤーであれば割とすぐに慣れるだろう。
ロックオン機能や、1ステージ中に3回だけ使用できるリペアキットという回復行為からも影響は見て取れる。

本作のもう一つの醍醐味が機体を構成する作業が行える「アセンブル(略称:アセン)」である。
アセンブルでは、上述した4か所の武器の武装変更に加えて、頭部・胴体・腕部・脚部・ブースター・システム・ジェネレーターを、積載重量・エネルギー容量をオーバーしなければ自由に組み合わせることが可能だ。
これにより、自分好みのデザインに変更することや、自分に合った機体性能に変更できるため、時にはミッションを忘れてしまうほどに悩ましく奥深い作業となっている。
パーツは基本的にショップで購入する形式であり、仮に購入資金が足りなくなっても、繰り返しミッションを行って資金をやり繰りできるという親切設計なのも嬉しい。

高い難易度とは裏腹に優しいリトライ性や、ミッションの前に機体の性能チェックが可能な点など細かな部分も秀逸で、プレイ中にシステム面でストレスを感じることはほぼなかった。

しかし、本作もフロムソフトウェアのゲームであるため、万人に向けられたゲームでは決してない。
チュートリアルで登場するヘリコプターがTwitterにトレンド入りしたり、修正が入ったボスの存在から察せる通り、本作は同社が開発したゲームたちの例に漏れず高難易度作品である。
ちなみに僕は本当に苦手なタイプのボス敵を倒すのに5時間を要した。
(ただ、SEKIROと比較するとかなりマシな方である)

【キャラクター】

★★★★★ 5

公式のページやCMからもわかるが、本作の登場キャラクターは立ち絵やモデリングはおろか、そもそもキャラクターデザインすら存在せず、声だけでの登場となる。

繰り返すが、一切の絵が存在せず、声のみでの出演である。
だが、不思議なことに本作の登場人物は揃いも揃ってキャラが立っているのである
詳しくここに記すことは出来ないが、本作を遊んだプレイヤーであればおそらく同じ感想を抱くことだろう。
当然だが、声優陣の熱演によるところが大きい点は言わずもがなである。

また、フロムソフトウェアといえば非常に手強いボスキャラの存在だが、本作においてもその手腕は遺憾なく発揮されている。
初見では到底勝てないと思わせてくるような攻撃的なメカニックデザインはどれも素晴らしく、同時におそらく弱点だろうと思わせる箇所を明確に描いているという抜け目のなさまで兼ね備えている。

【音楽】

★★★★★ 5

本作のBGMは基本的に主張が控えめであり、映画の劇伴のような音作りや曲調のものが多かったように思う。

それに対してボス戦のBGMでは、その戦いのテーマに寄り添った曲調へと変化する。
「急襲」・「未知の機体との遭遇」・「ライバルとの対峙」・「決別」といった戦闘シーンでは盛り上がること間違いなしである。

【総評】

97点

身体は闘争を求める → フロムがアーマードコアの新作を作る

というネットミームが有名なシリーズであるが、本作が発表されたのは「The Game Awards 2022」というイベントであり、実に10年振りの新作ということでゲーム界隈は大いに賑わっていた。
かく言う僕は本シリーズを昔バイト中に少々触っただけであり、しかも複雑な操作についていけず断念したため、ほぼ未経験者といってよかった。

最初は購入するつもりはなかったのだが、ダークソウルやSEKIROに寄せた操作感やゲームシステムであることが判明し、期待と不安が半々の状態で購入に踏み切った。

確かに上記の作品に似通っている点は多く、その時に持てるテクニック全てを出し切らなければ勝てない序盤ボス・ゲームの根幹を理解していないと永遠に勝てない鬼門ボス・フロムお馴染み2対1ボスといったお家芸も健在だった。

もしも……もしもだ。

ソウルシリーズなどをプレイしていて、アーマード・コアシリーズを未経験だけど、本作を気になっている人がいるとするならば、僕は買って絶対に損はしないと言いたい。


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