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Origamiの次に危なそうな未上場メガベンチャー

先日キャッシュレス決済のスタートアップOrigami(オリガミ)が、メルカリ参加のメルペイに買収されるというニュースが報道されました。より衝撃的だったのは、売却価額が1株1円、社員185人のうち約9割に当たる160~170人のリストラするというものでした。

スマートフォン決済の老舗であるOrigami(オリガミ)は1月23日、フリマアプリ大手メルカリのスマホ決済子会社であるメルペイに会社を丸ごと売却すると発表した。両社は売却価格を非公表としたが、複数の関係者は1株1円だったことを明らかにした。同社の株数は259万株であるため、譲渡価格は総額約259万円だったことになる。(中略)複数の関係者によると、オリガミは売却発表と同時に社内向けに大規模な人員削減策を公表。社員185人のうち約9割にあたる160~170人規模のリストラ策に踏み切る。
Diamond Online記事

Origamiは総額88億円を資金調達し、時価総額は435億円を超えていました、既存株主は経営陣の他、グローバル・ブレインやSBIインベストメント等のベンチャー・キャピタル、ソフトバンクグループ 株式会社クレディセゾン等の大手の事業会社も出資していましたが、今回の買収で出資額は全て損失となります。Origamiは2012年に創業していますが、8年経営して経営陣へのリターンも0となりました。

以前の記事でも述べましたが、特にFintech系のスタートアップは華々しく巨額の資金調達を行ったものの、その後の収益の伸びに比べて費用が著しく過大であり、巨額の営業損失を計上していました。ちなみにOrigamiは2018年12月期で売上2.2億円に対し営業利益は24億円超の赤字を計上。一方でオフィスは高額な賃料の六本木ヒルズに構えていました。

Fintech系スタートアップ以外にも、巨額の資金調達を行ったものの、今後の事業運営に不透明感が残るベンチャーはいくつかあります。今年の1月に50億円の資金調達を発表したFinc Technologiesは、同時に創業者である代表取締役が非常勤取締役になることを発表しています。

少し前の決算になりますが2017年12月31日時点で、7億の売上に対し25億円の当期純損失を計上していました。その後2018年9月に55億円の資金調達を行い、今回の50億円の資金調達を考慮すると、当面資金の心配はしなくて良さそうです、一方で直近の決算公告が出ていないのですが、現状の売上と赤字の度合い(黒字である可能性はかなり低いと思われます)が気になるところです。

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もう1社、MA(マーケティングオートメーション)ツール「b-dash」を提供するフロムスクラッチも、2019年8月にKKRやゴールドマン・サックスから100億円の資金調達を行っています。おぎやはぎのCMで見たことがある人も多いかもしれません。こちらも少し古いのですが、2019年9月末時点で、12億円の純損失を計上しています。上記のFinc technologiesと比較すると、十分余裕があるように見えます。

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フロムスクラッチについては、ベンチャー界隈にいるとあまりいい話を聞きません。私自身同社に勤める方と直接話したことはないので真偽のほどは定かではないのですが、基本的に営業会社で、炎上案件ばかりで解約率も高いと聞いたことはあります。

また、労務関係で訴訟を起こされ、それを皮切りに元従業員がtwitter上で過酷な就業実態を告発して炎上しました。(現在は改善されているかもしれません)近年の働き方改革の影響で労務関連はIPO上の最重要項目とみなされているので、すぐの上場は難しい可能性が高いと思われます(大型資金調達した時点で、そもそも直近のIPOを想定していない可能性は高いですが)

100億円を調達してしばらく資金繰りについては問題ないと思われますが、肝心のプロダクト及びビジネスの改善と、資金調達の使途である海外展開が想定通りにいかなければ、より大きな損失を計上する懸念があります。

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