【読書】セリエA発アウシュヴィッツ行き~悲運の優勝監督の物語~

12月W杯があってその流れで・・・
ではなく、4,5年前かにセリエAでスクデッドを獲った監督がユダヤ人で
アウシュビッツで悲しい最後を遂げたという記事があり

記事内にもある『スクデットからアウシュビッツへ』(2007)
の日本語訳が12月に発売していたのを年末発見し、近所の本屋で購入。

戦中日本プロ野球の書籍を連続で読んでいたが、
奇しくも欧州サッカーの「戦中」の書籍を読みました。
この本は兎にも角にも悲しい・・・。
書籍の主役であるユダヤ系ハンガリー人、アールパード・ヴァイス(Árpád Weisz)

1924年パリ五輪ではハンガリー代表にも選ばれるも怪我もあり引退
指導者としてセリエAのインテルでスクデッド1回、ボローニャでスクデッド2回(1935–36, 1936–37で連覇)という名将。
当時イングランドのアーセナルでやっとWMシステムができて、それに近い感じの当時は革新的なシステムでセリエAを制覇
1930年代はワールドカップ黎明期でイタリアが連覇。ファシズム政権下での開催での優勝で色々言われてもいるが
当時のイタリア代表監督ヴィットーリオ・ポッツォはこのヴァイスの戦術を参考にしたと言われているようで
ますますすごい監督さんなんだなと・・・。

ここまでで終われば革新的な指導者で終わるんだが、時代は二次大戦に向かっている世の中
どんどん追い詰められて最後は一家で悲しい結末に・・・。

なぜもっと早く南米とかに逃げなかったんだとか思ってしまうが
当時の欧州はあっという間にユダヤ人迫害を加速させて、今のようにリアルタイムで知るすべもなく
不安のまま逮捕→収容所へという下りはもう悲しくて悲しくて・・・

欧州中でこういう素晴らしい才能の損失が行われていたんだなぁということと
インテル、ボローニャでスクデッド獲るような名将が最近まで忘れ去られていたということが
また切ない。

生きていたら戦後のマジック・マジャールに関わっていたりしたのだろうかとか
1954年のワールドカップも結果変わったのかとかタラレバ言ってもしゃあないけど思わずにはいられない。

最初の記事が出たときから衝撃で覚えていたけど、
今回の書籍もあっという間に読めた。
今はボローニャやインテルの本拠地でヴァイスの功績を称え偲ぶプレートがあるという。
だいぶ年月は経ってしまったが、スポーツ界はこういった偉大なパイオニアが正当に評価される状況であって欲しいです。

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