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【第3の資金調達手段】FinTechに精通する柿澤さんが考えるミドルリスクミドルリターンの資金調達方法

スタートアップの融資を支援しているINQの若林( @wakaba_office )です。

また、「スタートアップ投資TV」というYouTubeチャンネルで、#融資相談室 というスタートアップ融資に関する情報を発信しています。

本記事は「【第3の資金調達手段】FinTechに精通する柿澤さんが考えるミドルリスクミドルリターンの資金調達方法【融資相談室】」という動画の内容を書き起こしたものです。

Gazelle Capital 株式会社の近藤絵水さんを司会に、株式会社Yoii 事業開発部長の柿澤仁さんをゲストに招き、柿澤さんのご経歴や、ミドルリスク・ミドルリターンの資金調達方法について伺いました。

柿澤さんの自己紹介

柿澤さん:私はYoiiで事業開発部長 兼 財務担当という形で自社のビジネスを作り、セールスをやりつつ、資金調達・管理部を見ながらと、いろいろやっています。

簡単に経歴を説明させていただくと、私自身のキャリアは大きく2つに分かれます。前半が大手企業的なキャリア、後半がベンチャー企業のキャリアです。まず新卒でみずほ銀行に入り法人営業を担当していました。その後、監査法人トーマツに行き公認会計士の仕事を担当し、IPO関係に携わりました。トーマツ内で異動があり、トーマツベンチャーサポートという会社で、ベンチャー企業のサポートとしてFinTech・ブロックチェーンという文脈で仕事をするようになり、「ブロックチェーン会計士」という謎の二つ名で活動し、新規事業を作ったり、ベンチャー企業を立ち上げたりなどをしてきました。その後にブロックチェーンのベンチャーの事業開発をやったり、製造業のキャディというベンチャー企業で管理部の立ち上げ・作業といったコーポレート周りの担当、お客様向けセールスやタイ拠点の立ち上げをやったりしました。

さまざまな経験をして、最近Yoiiにやってきたという流れです。

スタートアップに関わるきっかけ

近藤さん:最初は大企業に就職したとのことですが、どこからスタートアップに関わり始めたのでしょうか。

柿澤さん:かつての私は普通の銀行員という感じで苦労することもあったのですが、売れ始めてからはすべてが好転して銀行で業績を出すのがそれほど難しくなくなってきました。そうすると、平日の夜や土日の時間が空くんですよね、銀行は仕事を家に持ち帰れないので。そのため、時間ができてもっと働きたいという思いから都内で開催されているベンチャー関係のイベントに参加したり、個別にベンチャー企業を訪ねたりしてベンチャーに携わるようになりました。

若林:最初に訪問したスタートアップはどんなところだったのでしょうか。

柿澤さん:まだ社員が5人だった頃のスマートニュースや、創業したてのココナラなど何社か訪問してお話しして、手伝えることがないか伺ったり、逆にキャリアの相談に乗っていただいたりしていました。

若林:ちなみに、そのとき訪問した会社が後にビッグになる予感はありましたか。

柿澤さん:オフィスに行って「ここはすごく大きくなるだろう」という予感はなんとなく感じていました。だからこそお手伝いをしてご一緒したいと思いました。

若林:その経験が今の目利きにつながっているかもしれませんね。

キャディでの業務内容

若林:私が柿澤さんに初めてお会いしたのが、柿澤さんがキャディにいた時期で、そのときは採用に携わっていたタイミングだったと記憶しています。1か月に何十人も採用している時期でしたよね。

柿澤さん:採用を担当していたのはキャディに入った直後くらいで、私が担当していたときは、まだそこまでではなかったですが、徐々に採用人数は増えていきましたね。キャディにいた頃の後半は、どちらかというとカルチャー・組織作りを、事業化をやりがなら携わっていた感じです。

若林:ファイナンスだけではなく事業・営業含め全般を担当して、海外拠点の立ち上げもやっていたんですよね。

柿澤さん:そうですね。海外拠点はどちらかというとバックオフィス側で、管理部をゼロから作ることと現地採用をするというとんでもないです目標だったのですが、それをやりました。拠点はタイとベトナムにあるので、どういうグローバルカルチャーを作るべきなのかなども考え、実践していました。

Yoiiに入るきっかけ

若林:そこからYoiiにジョインするきっかけはなんだったのでしょうか。

柿澤さん:元々キャディに入る前はブロックチェーンのベンチャーで事業作りをしていたのですが、私の中では道半ばで終わってしまった感じがありました。そこで改めて事業を作りたいという想いからキャディに入ったのですが、会計士だったこともありキャディに入った当初は管理部の立ち上げをやっていて、タイに行ったときもバックオフィス側をメインに担当していました。それもすごく楽しかったものの、0→1のフェーズで、ビジネスど真ん中で事業を立ち上げている人たちを後ろで見ていてモヤモヤしている部分もあったんです。事業をスケール・グロースさせる仕事と、0→1を作る仕事どちらをやりたいか考えたときに、当時36歳で精神的・体力的にもう一度立ち上げを行うのは辛いと感じていたので、当時はバックオフィス系をやったほうがいいのかなと思っていましたね。

FinTechに関わる経緯

近藤さん:その後、柿澤さんは事業の立ち上げをすることになっていくわけですが、なぜFinTech業界を選んだのでしょうか。

柿澤さん:元々キャディ以外の私の経歴はぼぼFinTech・金融系なんです。そして、銀行に入ったときの第一印象は「なんて古いシステム・機械を使っているんだ」というものでした。それから銀行ではお客様のためにならないものを売ってるなと感じることもあり、負を感じてしまったんです。

若林:そこまで言ってしまって大丈夫でしょうかww

柿澤さん:みずほ銀行は寛容なので許してくださると思います。

またトーマツのときにIPOを担当し、幸いにもIPOバブルのときに会計士をやっていて3年で15〜16社くらいIPOの支援をさせてもらいました。そのなかで、IPOをするようなイケてるベンチャー企業ですら銀行・金融システムをうまく使えていないことを目の当たりにしました。

これらの経験から金融には何か大きなブレークスルーが来るなと予感していたんです。このままの古いシステムのままなわけがないと。何か新しい波が来ると思っていた中で、たまたまブロックチェーンと出会い、頭の中に電気が走るような衝撃がありました。「この技術があれば金融の世界は大きく変わるぞ」と感じたのを今でも覚えています。そこでブロックチェーンにのめり込んで行ったのが金融×ベンチャーというキャリアの始まりだと思っています。

またこれも偶然で、みずほ銀行時代の同期が、今でこそ有名なbitFlyerのCOOだった小亀さんだったんです。彼と話してブロックチェーンを知りました。

ブロックチェーン会計士誕生の背景

近藤さん:先ほど柿澤さんがおっしゃっていた「ブロックチェーン会計士」という肩書きが生まれたのもそのときだったということですね。

柿澤さん:そうですね。当時は何の専門性のない単なる会計士だったので、ビジネスも税務も法務も分からなかったのですが、唯一分かる会計の知識を使って、そのときに流行し始めたNewsPicksで毎日ビットコインやブロックチェーン関係のニュースを全て取り上げてコメントしてました。デロイトにはグローバルな社内SNSがあり、そこで海外向けに日本のブロックチェーンの情報を英語にしてニュース配信して、反対に英語のニュースを日本語にして配信するということもやっていましたね。他にもパートナー企業の人たちを集めて勉強会も開催していました。そのようなことを半年ほどやっていたらNewsPicksのフォロワーが4,000人くらいに増えて、社内でも100人以上のブロックチェーン研究する勉強会ができて、個別の相談もやって来るようになり、少しずつブロックチェーンの専門家としての実がついてきたんです。これらの活動を仕事にもつなげ、実績が増えてきたことでデロイトトーマツベンチャーサポートのほうに異動し、ブロックチェーンの専門家として仕事をすることになりました。そこでFinTech・ブロックチェーンのコンサルタントとして新規事業を立ち上げたり、ベンチャー企業の立ち上げを手伝ったりしてきました。なので、基本ファイナンスの分野で規制を突破して新しいものを作るということをメインでやってきた形です。キャディだけが私の中で特殊な経歴ですね。

若林:若手の方に聞いてもらいたいキャリア教育の話ですね。

Yoiiの事業内容

若林:ブロックチェーンスタートアップに移った後に、Yoiiの創業CEOの宇野さんと知り合ったということでしたよね。

柿澤さん:当時の同僚でした。お店のグループで、彼はペイメントのビジネスをやっていて、途中からブロックチェーン関係にも携わるようになりました。それから横に並んで仕事をするようになったのが始まりです。

若林:そのご縁もありYoiiに入られたということで、改めてYoiiは何をしている会社なのか、ぜひ教えてください。

柿澤さん:やっていることは非常にシンプルで、主にベンチャー企業向けにデットファイナンスの一種として資金を提供するビジネスです。つまり、VCや銀行融資とは別の、第3の資金調達手段を作って資金提供しています。

この言葉は覚える必要はないのですが、後ろ側の仕組みとしてレベニュー・ベースド・ファイナンスという新しい考え方を使っています。

若林:いわゆるRBFといわれている仕組みを使っている。けれど、それにこだわることなくといいますか、HOWの一つとして、あくまでもスタートアップ・ベンチャーに対する新しい第3の資金調達手段を提供されているということですね。

柿澤さん:お金を提供することを通じて挑戦する起業家や企業の成長を後押ししていく、そして一緒に成長していくことを私たちは目指しています。

Yoiiの特徴

若林:挑戦する起業家・企業の成長を後押しすることがミッションということですが、Yoii自体も成長中のスタートアップですよね。

柿澤さん:成長したいと思っています。

若林:設立はいつ頃でしょうか。

柿澤さん:2年ほど前ですね。

若林:だとすると、本当にまだこれからというところですね。それから私としては、Yoiiの社風が面白いなと感じています。

柿澤さん:ちょっとユニークかもしれませんね。現在、在籍している社員は20名で、その中に9カ国の外国籍の社員がいます。約半数が海外の方なので、社内の公用語やSlackは英語です。

若林:私もYouTubeや、その他いろいろなやり取りの中で、とにかく皆さんレスが早くて活き活き働いていると感じています。その裏付けとなっているのがグローバルという点なのでしょうね。グローバルを目指しているからそのような社風になっているということでしょうか。

柿澤さん:そうですね。金融ビジネスは規制こそありますが、基本的にサービス・プロダクトは国境を越えやすいですし、日本含め東南アジア圏はまだまだファイナンスが発達していない部分があるので、そういう地域をメインのフィールドにして展開していきたいとは思っています。

第3の資金調達手段

近藤さん:大志を持ってチャレンジしているYoiiそして柿澤さんが見ている世界観はどんなものなのでしょうか。例えば、もちろんエクイティも恒常的に活発になっていますし、デットもいろんな種類が出てきている中で第3の資金調達の選択肢を提供する理由を教えていただきたいです。

柿澤さん:私もベンチャー企業の中でファイナンスを担当して、資金調達はデット・エクイティ両方したことがあるのですが、Yoiiを通じてお客様の声を聞いている中で思ったのは、VCは外からお金を集めて非常に高い収益率でお返しするというビジネスなので、悪く言うと100発に1発を当てにいくしかないわけですよね。そのため、いろいろ言われますし、いろいろな考え方がありますが、究極的にはスケールするか、エコノミクスが成り立つかが大切です。つまり大きくなる会社にお金を出したくなるわけですよね。それに対して銀行は100発中100発を当てたいビジネスになっています。これはビジネスモデル上、仕方のないことです。1億円を1%で1年間貸して100万円儲かるビジネスなので、100万円貸し倒れたらこの1年がパーになってしまいます。

このような中で、ミドルリスク・ミドルリターンを取って、規模は大きくないのだけど、世の中の課題を確実に解決するものや、それほど儲からないのだけど誰かが喜ぶようなサービスに対してお金を出す仕組みがないと感じていました。私自身タイに拠点の立ち上げで行ったからこそ感じたのは、日本の転職市場は異常なマーケットで、「社会課題を解決したい」「人の役に立ちたい」などの目的でベンチャーに給料を下げてでも転職する人が多くいます。一方、海外だと給料を上げて転職するのが当たり前です。給料を下げてでも転職するのは、生活が豊かな証とも思うのですが、実は日本は「社会に向けて何かしたい」という貢献意欲を持っている方が多い国なのではないかと私は感じています。しかし、挑戦したいと考えている人たちがいても「やる」までいかないことが多いでしょう。一方でそういう人たちが挑戦しようと思い行動することで世の中が良い方向に変わっていくと信じています。なので、挑戦する人たちにいろいろな形でお金が行き渡るのが第一歩として大切だと思っています。

若林:そのためのミドルリスク・ミドルリターンの資金供給手段としてYoiiがあるということですね。

柿澤さん:近藤さんのおっしゃる通りで、最近はいろいろな資金調達の手段が出てきていています。それは私たちにとってもウェルカムで、そういった手段を通じてより挑戦できる人が増えると良いなと思っています。

若林:そのような目標を掲げてYoiiがデット性の資金供給をしているわけですが、そのYoiiのサービスについては次回詳しく伺えればと思います。




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