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私たちのピッチ上(オフィス)で、気の利いたナイスプレーを集めてみた。

サッカーの試合を現地観戦する経験を積むと、テレビに映らない、ハイライトにも入らない、翌日のトピックにも上がらない、それはそれは地味な、でも「これがあったから勝てた」というプレーに目が行くようになる。

よく「気の利いたプレー」と言われるやつだ。

ゴールに直結したプレーではないし、ボールを持ってない時も多い。相手を釣り出すためだけの無駄走りとか、味方のスペースを作るためにあえてずらした位置にボールを止めるとか、わざと潰れて味方が走るコースを作るとか。

そんなプレーを見ると、助かるなぁ、うまいなぁ、献身的だなぁ、いいヤツなんだろうなぁ、と思う。自分が目立つことよりチームのために。自分ができることを、その場その場で常にやってる選手で、もう大好きになってしまうのだ。

私たちのピッチ=仕事の現場にも、そういうプレーあるよね?

昨日の仕事で、メンバーのひとりがそんな「気の利いたプレー」をしていて、同じ案件を担当している別のメンバーがめちゃくちゃお礼を言っていた。2人がお互いに感謝し合ってるのを見ていて、まるでスタンドから「気の利いたプレー」を見ている時のように感動した。

で、「私たちのピッチ=会社での仕事」でも、「気の利いたプレー」ってあるよな、と思ったので、書いてみます。

依頼されたスケジュール確認を終え、次工程のリスケ作成まで実施。

社内外合わせて7〜8人規模のチームで案件を進めているAさんは、案件がスタートして2ヶ月が経ち、そろそろ各スタッフの作業進捗に調整が必要なのではないかと考えていた。そこでBさんに、各スタッフの進捗確認を依頼。Bさんは、指示どおりに各スタッフに連絡して状況を把握。いくつか調整が必要な工程があったため、Aさんに報告しようとヒアリング内容をまとめ始めた。

その時Bさんは、「自分の報告を受けた後、Aさんは何をするのかな?」「スケジュール遅れが出ても納期は変えられない案件なので、後工程でさらに調整が必要なのでは?」と考え、再度スタッフに連絡をとり、後工程の調整を行い、スケジュール表の各工程を書き換えてリスケを行なった。

そしてAさんにヒアリング結果を伝えると共に、リスケが必要だと思ったのでやっておきました、と報告。リスケは自分でやらなきゃ、と考えていたAさんは、すでにリスケが終わってスタッフの合意も得ていることに大感激だった。

サッカーで言うと…、
Aさんは、試合全体をコントロールするピッチ上の指揮官だ。開始から強度高く前線プレスを掛ける戦い方をしてきたが、さすがにみんな疲れてきた。剥がされたらカウンターをくらう危険があるから、タイミングと距離感について意思疎通をしておかなくては…。そう考えて振り向くと、すでに最終ラインに距離と立ち位置について指示を出しているBさんがいた。「大丈夫、後ろには言っといた」。

予測の連鎖で請求書の用意を前倒し。

Aさんは今週末から長期出張。月末月初を不在にするので、売上締めや請求処理をルーティンのスケジュールで処理するのは難しい。

それに気づいたBさんが、自分の担当する作業を前倒しして、3日前に手渡すことを提案。「そうしてもらえるとありがたい」とホッとするAさん。するとその会話を聞いていたCさんが、「それなら請求書も早めに用意しましょうか」とボールをつなぐ。おかげで出張の最中でもお客さんに迷惑をかけることなくルーティンを終わらせることができるようになった。

サッカーで言うと…、
Cさん、サイドでワンツーをしながら前進していく味方選手の動きを見て、先回りしてスペースへ抜け出すタイミングを見ているトップ下の選手のよう。相手を背負ってボールを受けたら足元でキープして、ポケットに走り込んでるAさんにリターンだ!

お届け物の配達時間を尋ねる電話を受け、代理で指示出し。

Aさんは得意先のお祝いごとに、胡蝶蘭を注文していた。日時指定が抜けていたのか、花屋さんから問い合わせの電話が入るも、Aさんは商談中。

応電したBさんは、Aは商談中のため伝言を承ります、と用件を尋ねた。
「◯◯株式会社様に胡蝶蘭のお届けのご注文をいただきました。本日発送すれば明日のお届けができますが、土曜日なので、企業様の場合はご不在かと思います。月曜日のお届けに変更されますか」

Bさんは、このお客様の営業日を把握していなかったのでAさんに聞かなければ確実なことはわからないと思いつつ、「Aに確認しますが、いったん、月曜指定で手配してください。もし土曜に変更する場合はご連絡しますが、何時までに連絡すれば本日発送に間に合いますか」と仮の判断で指示を出す。変更の場合は正午まで、という返事を得て、「では、変更があれば正午までにお電話します、なければ月曜のままで」と電話を切った。Aさんの商談が終わって報告すると「月曜で正解、助かったよ!」とAさん。

サッカーで言うと…、
「ひょっとして?」と気づいて電話してきた花屋さんは、相手に囲まれて逃げ場をなくしていたAさんをサポートに行ったボランチのよう。Bさんは、その動きをみてボランチの空けたスペースを埋めて花屋さんが掻き出したパスの受け手として準備。ボールを奪われずに済んだAさんは、さっそうとサイドを駆け上がっていった!

地味でも気の利いた、ナイスプレーをたくさん見たい。

サッカーは、局面局面でのボール、相手、味方の動きを読んで、自分はどんな動きをするのがベストか?を考え続け、実行し続け、やり直し続けるスポーツだと思う。技術を披露しあう競技ではない。相手を見て、味方を見て、その局面での最適解をやり続けてゴールを目指す。本当に面白いし、深い。

仕事も同じだと思う。
マニュアルがあると楽だけど、マニュアルには書き込み切れない仕事の方が多い。そんな時、目的と相手を見て仕事をすれば、きっとお互い嬉しくなる。私も「あいつ、気の利いたプレーするよな、きっといいヤツだよ」とスタンドの観客に愛されるプレイヤーになりたい。

写真は、私が応援するチーム。ボールを見ずに次のアクションのために走り出す真ん中の選手の頭の中では、どんな予想が立って、どんなプレーをしようと考えているのだろう、聞いてみたい。


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