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宅配便のドライバーさんとの世間話でなんかいいなーって思った話。

お客様に納品物を送るために集荷依頼の電話をして、ほどなくドライバーのお兄ちゃんがきてくれた。

ピー、ピッと、バーコードや顧客カードを読み取るも、不鮮明なのかエラーが連発。

黙ってると圧かな、とは言え、「エラーですか」とやると余計に焦らせてしまうかも。

というわけで世間話をした。

なんか値上げするみたいなニュースみましたよ、4月でしたっけ?

みたいな感じで話しかけると、「あ、でもそれは大型商品だけだったはずです! だからこういうの大丈夫っす!」とか、「あ、違ったかな、たしかそんな感じです!」とか、「僕らもニュースで初めて知るんですよー」とか、「でも、お値段上がると困りますよねー」とか、けっこうお話好き。

なんでも楽天で買いまくる私は宅配便のドライバーさんにはすごくお世話になっている。ので、「いやいや、必要な値上げはしたらいいと思うよー」とか、「高くても信用できるところにやっぱりお願いするもんやし」と返す。

よくこんな感じでドライバーさんとは無駄話をするのだけれど、やっぱり、年末とか年度末とか、荷物が多くて忙しい時は、ちょっと愚痴をこぼす人も多い。たまに、お客である私にそれ言って大丈夫か?、と心配になるぐらい愚痴る人もいる。けど、彼は違った。とってもモチベが高い。「時代は変わってきてるんだなあ」と感じたので、書いてみます。

2回目の、1年の育休。

「だから、値上げしても御社なら大丈夫よ」と返したんだけど、やっぱり安いところを選ばれるお客さんは多いし、ライバル社さんもしっかりやってるからなかなか厳しいですよ、と彼は言う。

「そうか、大変やねぇ」他社を下げない。今っぽいなぁ。と思っていると、「あ、でも、ぼくもうちょいしたら終わるんですよ」というから、「え?辞めちゃうの」と聞くと「2月から1年育休です」と。

おー、いいねぇと返した後で、「え? 1年? 長いね」と驚く。

男性の育休も義務付けられてから珍しくはなくなったけど、1年はけっこう長い。しかも人手不足が喫緊の課題の宅配便ドライバーさんで、ややブラックというか、激務とイメージされてる業界だけに驚いた。

あまり詳しく書きすぎるとわかってしまいそうだから省くけど、いろいろ聞いていくと、やっぱりこの職種で1年の育休は珍しく、自分は、この分野で「会社初!」とか「この職種初!」とかを叩き出してるんすよー、と、まあまあなドヤ顔である(ちなみにこの時はもうエラーは起きてなくてただただ世間話をしてました笑)。

最後のセリフがふるってた。

自分が休むことで会社は実はたいへんで、特に上司には迷惑かけてる、と言うので、「それが上司の仕事やねんから気にせんでいいって!」と笑うと、「ですよねー、タッカイ給料もろてるんやし笑」と笑い合った。

そして、「めっちゃ感謝してます、上司にも会社にも」と、すんごくいい顔して帰って行った。

ごくろうさまーと見送りつつ、来年、育休復帰して、また集荷や配達に来てほしいな、と思った。いや、きっと来てくれるだろう。

これって確実に企業イメージアップになってる。

仕事で、人材採用のブランディングとかプロモーションとかに携わっていて、「働きやすさ」「働き方改革」「女性活躍推進」という文脈で、こういったライフステージに関わる部分での柔軟な対応や個々の事情に合わせやすい制度設計を採用広告で紹介したり、それを利用して育児休業したり時短勤務したり、という社員さんのインタビュー記事を作成することがある。

いずれもイキイキと公私ともに充実している様子が感じられて、素直にいいな、と思うし、しっかり求職者に伝えたいなと思って取り組んでいる。こういうことを訴求したい、と考える企業さんも増えているし、「そこが企業選びの軸です」と言う学生さんも多く、時代は変わってきているなと普段から感じている。

でも、こんな「持て余した時間を潰すための世間話」で、普通にこんな話が聞けると、ホントに時代変わってきたわ!と感じる。彼は、「これも採用プロモーションの一貫で、自分の発言によって一人でも多くの求職者に当社をアピールしなくては」なんてミッションは帯びてないわけで。普通に思っていることを、普通に喋って帰っていったわけで。

宅配便のお兄ちゃんとの立ち話にしては長いけど、たった15分という短い時間。でも、私にとってはすごく感慨深い時間だった。

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