シーシャ講座 その①
こんにちは、シナモン佐藤です。
元紅洛煙の従業員です。
現在は、高田馬場のはちみつ帝国で直炭ドバイシーシャを作ったり、
池袋のコンセプトカフェで、内勤兼キャストさんがシーシャを作るお手伝いをしています。
今編ではフレーバーのパッキングの重要性について扱います。
かなり視覚的な要素から理解できるようにしたつもりなので、画像と一緒にゆっくり見て頂けたらと思います。
撮影協力:池袋コンセプトシーシャカフェ エンジェルシーシャWINGS
概要
本記事は、いくつかの実験やABテストを基にしてお話を進めていきます。
まずは以下の画像を見てください。
実験① 穴の位置の変化
これは、ボウルの片側にだけフレーバーを詰めた状態です。
この状態で、フレーバーを詰めた側とは逆側に穴を開けます。
その状態で以下のように、フレーバーとアルミの穴の両方の真上に強い熱源を置きます。
結果は以下のように煙がほんの少し(本当に少し)しかでませんでした。
まずここから言えることは、シーシャを作る上でフレーバーを加熱するだけでは煙はでないという事です。
次に、アルミの穴の位置を変えて、フレーバーの上に穴が配置されるように修正しました。
すると、以下のように煙が沢山出始めました。
ここから言えることは
『上から入ってきた熱風が、熱源(炭)との距離が近い状態でフレーバーを通ることで煙の濃度が増した。』
ということです。
これをまずは覚えていてください。
実験② フレーバーの無いところに穴を開ける。
実験②では、この煙がたくさん出るようになった状態で、真ん中に沢山の穴を開けます。
状況としてはファンネルボウルの穴の上に穴が空いた状態です。
すると、結果は以下のように煙がまた出なくなりました。
この実験については、一旦
『ボウルの中心の空気の通りを良くしたら、煙が薄くなった。』
ということだけ覚えてください。
実験③ フレーバーの盛り方を変える。
次の実験です。
以下の画像を見てください。
上記のように、同じ12グラムのフレーバー(今回はAFキウイ)を詰めたボウルを2つ用意しました。
次に、
穴のあけ方
穴のサイズ感
熱源の量
熱源の置き方
水量
ステムが浸かる高さ
ボトルと使用ステム
使用ホース
等、セッティングを同様に揃えたABテスト環境を作りました。
以下が実験環境です。
ただ、唯一違う点があります。
それは、以下の画像のように
A:片方はフレーバーを盛ってからふわふわに詰め直してからアルミを張った。
B:片方はタッパーから取ったフレーバーをボウルに詰めて、なにもせずアルミを張った。
という点です。
この状態でどんな違いが出るか見てみましょう。
以下が吸出しの結果になります。
結論から言うと、この実験では煙の質に大きな差がでます。
蒸らし終わりの吸出し時、既に右側のボトルはステムが少し見えています。
ふわふわに詰めた方は煙が濃厚です。
このまま30分程吸います。
かなり煙感と濃さに違いが出てきました。
それではこの状態でアルミを剥がして中がどうなっているか見てみましょう。
アルミを剥がしてフレーバーをひっくりかえしてみると以下のようになっています。
結論
これらの実験から何が言えるでしょうか。
まず実験①を図式してみると、以下のようになります。
実験①
つたない図で申し訳ないのですが、
T字型の外周がファンネルボウルの断面図です。
炭の下の横向きの長方形がボウルの内部で、
赤色の四角がフレーバーです。
青い矢印は炭を通った後の空気の通りを表しています。
【以下イメージ図】
ここから言えることはとりあえず
『フレーバーを熱風が通ったら煙が出た。十分に通らなかった(フレーバーと熱源までの距離がある)ほうは煙がでなかった。』
ということです。
実験②
次に実験②ではフレーバーを通った熱風の総量の割合に差がありました。
【以下イメージ図】
これから言えることは、
・図の左側は『フレーバーを通った空気のみがステムへ流れている』
・図の右側では『フレーバーを通った空気と、フレーバーを全く通っていない空気がエアフローの上部で合流した後、ステムへ流れている』
ということです、実験①と②で変化した部分は『フレーバーを通らなかった熱風の割合』のみです。
なので、フレーバーを通らない空気の割合が極端に増えると、煙が薄まり濃い煙が出てこないということがわかりました。
実験③
最後に実験③では、フレーバーに対して以下図のように、左側のボウルはフレーバーをふんわりと盛っているので入ってきた熱風がほぼ全てフレーバーを通っています。
それに対し、ただ12グラム詰めただけの方は一部の空気がフレーバーを通らずに直接ステムへと流れているということがわかります。
【以下イメージ図】
これから言えることは『フレーバーの高さを確保しかなったことで、フレーバーを通らずにステムへ流れる空気量の割合が増えたら、時間経過により煙が薄くなった』ということがわかります。
つまり、実験②と実験③は違うことをしているようで、
実質的には『フレーバーの通っていない空気の量が増加した。』という点で共通した事をしていたことになります。
つまり
①フレーバーを通る熱風の割合を増やす。
②熱源を通った熱風が、フレーバーを通るまでの通り道の距離を短くする。
この2つを押さえることが長時間良質な煙を提供するためには必要不可欠であることが言えます。
具体的にこれらのことは、今後全てのボウルとフレーバーを扱う上での基礎になります。
どんなボウルを使うにしてもこのことは覚えておいて損はありません。
環境によって吸い感や煙感が異なるだけでやる事は全て同じです。
また、実験③で煙が薄かった要因は他にもあります。
それは、【フレーバー密度に対する熱風のアプローチ】と、【熱風が通ったフレーバーの範囲】です。
何故パッキングを外した際に普通に詰めただけの方はボウルの下部に赤い色のフレーバーが沢山残っていたのでしょうか。
その答えはフレーバーの表面範囲あたりの密度の差です。
フレーバーの密度が高ければ、それだけ空気の通りは悪くなります。
つまり、より詳細な実験③のイメージ図は以下のようになります。
【以下イメージ図】
上記図の矢印程極端に空気が下に通らないということはないにせよ、密度が高くなればそれだけ熱風が送り込まれる範囲は浅くなり、たくさんの熱風が必要になります。
なので、空気が通らない状態が過度に発生すると空気の触れている一部から味覚成分が放出され、全体としてフレーバーを使えていないので煙量が少なく、質の悪い煙になったのです。
また、逆に空気が想定以上に通り過ぎてしまっても【加熱による無駄な気化】を引き起こします。
小さな葉っぱのフレーバーに空気を通しすぎると、過剰に燃焼し、白い煙がたち始め、煙の質が落ちます。これは初級編でやります。
また、真ん中に穴を開けてはいけないということではありません。
【フレーバーの上に穴があり、熱源が熱を通したい箇所の近くに配置されている】
ということが重要であって、例えばストレートボウルのように中心にもフレーバーを盛るのであれば、中心にも穴は必要だということはわかると思います。
また、ストレートボウルはファンネルボウルと違って、上から穴へと真っすぐに空気が流れていきます。
そのため空気の流れ方もファンネルボウルとは違い、構造的に濃い煙が出やすい反面、より多くの空気量を必要とします。
盲目的に【真ん中には穴を開けてはいけない】ということではなくて、自分が使うボウルは何なのか、どこにフレーバーを詰めたのかによって、柔軟に穴を開ける場所を選べるようになるとよりベターです。
【以下ストレートボウルの断面イメージ図:右図は中央にも穴を開けている場合】
これらから言えることは、空気を上手にフレーバーを通すためには、
・【ボウルの種類や形状に合わせたパッキング】
・【フレーバー毎の適切な密度の理解】
が必要であり、これらを十分に行うことでフレーバー本来のパフォーマンスを引き出すことができるということです。
次章では、このフレーバーとボウルと密度の関係性を解決するための、ボウル毎の適切密度の選び方と、フレーバー毎の適したパッキングの種類を中心にお話していきます。
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