見出し画像

今こそ幅広いリスナーに聴いてほしい!グリーン・デイの名盤『ドゥーキー』30周年を祝して。

【まえがき】

2024年はグリーン・デイにとって節目の1年です。1月19日に4年ぶりのニュー・アルバム『セーヴィアーズ』のリリースしたのに加えて、2月1日はメジャー・デビュー・アルバム『ドゥーキー』(1994年発表)の30周年、9月20日は『アメリカン・イディオット』(2004年発表)の20周年となります。

今回は全世界で累計2,000万枚を超える売上を記録し、パンク・ロック・シーンの教科書的アルバムとして30周年を迎えた『ドゥーキー』の魅力を「今こそ幅広いリスナーに聴いてほしい!グリーン・デイの名盤『ドゥーキー』30周年を祝して。」と題して、音楽ライターの網田有紀子さんと一緒にお届けしたいと思います。

キーになる代表曲4曲の映像を、MVに加えてグリーン・デイの大きな魅力であるライヴ映像をご紹介しています。(特にさいたまスーパーアリーナの映像は圧巻です!)

それでは網田さん、よろしくお願いします!

【アルバム『ドゥーキー』】

網田です!よろしくお願いします!
グリーン・デイが1994年2月にリリースしたメジャー・デビュー・アルバム『ドゥーキー』が、2024年2月1日に30周年を迎えます。「94年なんてまだ生まれてないよ…」という世代にも、思わず「あれからもう30年か…」とつぶやいてしまう世代にも、今こそ(改めて)聴いてみてほしい!という思いを込めて、ここでは特に有名で人気の高い4曲を集め、歌詞や時代背景を深堀りしました。ぜひ映像も観て、時代の空気も感じてみてください。今聴いても、いや今だからこそわかる『ドゥーキー』の魅力がここにあります。

アルバム『ドゥーキー』(1994年2月1日発売)

【アルバム『ドゥーキー』を知る為のキーになる4曲の解説】

「Basket Case」

泣く子も黙るグリーン・デイの代表曲。イントロなしでいきなり歌い出すところがストリーミング時代の今にぴったりなこの曲は、爽快感のあるサウンドとは裏腹に、実は歌詞の内容は陽気じゃない。パニック障害という言葉がまだ今ほど知られていなかった90年代初め、ビリーは自分がそう診断される前の不安と生きづらさを打ち明けている。自分がおかしくなってるのはわかるけど、頭の中で何が起きているのか、そもそも誇大妄想なのか酔っぱらってるだけなのかもわからない。自分で自分が怖くなるし、自分の心にだまされるときもある。そんなリアルな心境をアガるメロディで歌い上げるこの曲は、いつでもどこでもライヴで最高に盛り上がって大合唱になる。
ちなみに『ドゥーキー』30周年記念のスーパー・デラックス・ボックスセット(2023年9月リリース)に収録された4トラック・デモでは、歌詞がまったく違っている。とあるカップルの恋愛物語になっていて、そこから極めてパーソナルな内容へと変化していたとは驚きだ。最終形の歌詞ではセクシャリティの固定概念をさらっと崩してみせるところもあったりして、この曲が時代を超越する名曲になったのには歌詞の力も大きいと思う。

Basket Case (MV)


Basket Case (4-track demo)


Basket Case (Live at KROQ) (2016)


「Longview」

ベースラインが印象的なこの曲について、ビリーはずばりこう語っている。「あのころはとにかくいつも一人でさびしくて、四六時中ハイになって、マリファナを吸って、だらだらして、やる気もなくて、人生の意味を見出そうともがいて…あとはマスかいてた(笑)。それが『Longview』で歌ったこと」。ドラッグがらみの部分はともかく、根底にあるのはどの時代のどこにいる若者(そして元若者)にも付きまとう「退屈」という普遍的なテーマだ。
ミュージック・ビデオで最初に出てくるのは、当時ビリーとトレが住んでいた家の薄暗い地下室。一人で退屈そうなビリーが仕方なく観ているのはテレビで、あてもなく待っているのは電話というのがなんとも時代を感じさせるけれど、それをスマホやLINEに置き換えれば今と状況は変わらない。マイクとトレがぎゅうぎゅう詰めになっている小さなバスルームも、3人で演奏しているカラフルな部屋も、実際『ドゥーキー』の制作中に使っていた場所ということで、リアルな空気感が伝わってくる。こんな狭苦しいスペースから将来世界中で巨大なスタジアムを大合唱させるアンセムがいくつも生まれたのかと思うと感慨深い。

Longview (MV)


Longview (Live at Milton Keynes National Bowl) from "Bullet In A Bible" (2005)


「When I Come Around」

ミドルテンポでギターリフを効かせたこの曲には、後にビリーの妻となるエイドリアンとの遠距離恋愛が描かれているというが、ラブソングなのかどうか一見わかりづらい。歌詞には「I」と「you」だけが使われているので、男女の関係にとらわれずにいろんな解釈もできる。男女の物語として見ると、二人とも結構こじらせ気味だ。なかなか会えず、フラフラしている彼に、真面目に付き合いたい彼女はイライラしてきつい言葉を浴びせたりする。それに対して、どうせ俺は負け犬だよ、君が正しい、好きにすればいいと言いながら、俺がふらっと現われる(come aroundには意見を変えるという意味もある)時には居場所はわかるよね、というのが彼の言い分。要するに「好きだから待ってて」という意味だろうに、じれったいというかなんというか。ちなみにビリーとエイドリアンは『ドゥーキー』リリースの数ヶ月後にめでたく結婚して、アルバムと同じく今年結婚30周年になる仲良し夫婦だ。
ミュージック・ビデオでは、通りを歩くメンバーの映像に、他人の生活をのぞき見る人々をドラマふうに描いたシーンが挟まれる。見る存在と見られる存在が入れ替わりながらつながっていき、最後には一周する演出のうまさに加えて、若い3人がとにかくかわいくて何度も観たくなる。

When I Come Around (MV)


When I Come Around  (Live in Saitama 2010) from “Awesome As F**k”(2011)


「Welcome to Paradise」

「パラダイスへようこそ!」と力強く歌うこの曲は、初めて実家を出た少年が母親に送るメッセージだ。親元を離れて3週間後はまだ心細くて、周りの治安の悪さにびびっていたけれど、そのうちここがホームだと思えてきて、6か月後には自立して誇らしい気持ちで笑っているという成長物語が繰り広げられる。メンバー自身がカリフォルニアのオークランドにある空き家に住み着いたときの経験が歌われていて、パラダイスと思える居場所を見つけた喜びがアップビートなサウンドからもほとばしるようだ。
94年当時のパフォーマンスにスタジオ音源をあてたビデオと、2010年の日本でのライブ映像を見比べると、あまりの変わりようとあまりの変わらなさにびっくりしてしまう。15年あまりもの時間が流れて、会場の大きさやステージ演出の規模だってこんなに違うのに、バンドの熱量も、モッシュピットの盛り上がりも、そこにいる全員の笑顔もちっとも変わらないのがすごい。何よりメンバー自身がものすごく楽しそうなのがいい。グリーン・デイの音楽の楽しさを象徴する名曲だ。

Welcome to Paradise (Live) 


Welcome to Paradise (Live in Saitama 2010) from “Awesome As F**k”(2011)


【アルバム『ドゥーキー』をチェック!】


【ニュー・アルバム『セーヴィアーズ』】

最新アルバム『セーヴィアーズ』(2024年1月19日発売)

グリーン・デイの新たな名盤が誕生!プロデューサーには名作『ドゥーキー』、『アメリカン・イディオット』を務めたロブ・カヴァロが12年ぶりに復帰、アンセムぞろいのアルバムとなっています!こちらも是非お聴きください!UKアルバムチャート初登場1位を記録!

「The American Dream Is killing Me」


「Look Ma, No Brains!」


「Dilemma」


「Bobby Sox」

【あとがき】

いかがでしたか?!アルバム『ドゥーキー』がどんなアルバムなのかを深堀りできたでしょうか?グリーン・デイのことをもっと知りたい!聴きたい!観たい!と思って頂けたら、こんな嬉しいことはありません!ニュー・アルバム『セ-ヴィアーズ』が1月に発売になったばかりで、大規模なスタジアム・ツアーもスタートしますね!このツアーではアルバム『ドゥーキー』、『アメリカン・イディオット』の収録曲を全曲披露するというニュースも飛び込んできており、ワクワクが止まりません!12年ぶりの来日公演の実現を祈りつつ、今回のテキストを締めたいと思います。最後までお読み頂きまして、ありがとうございました!

【CDのご購入・ストリーミング/ダウンロードはこちらからどうぞ!】

『ドゥーキー:30周年記念デラックス・エディション』

ポップなパンクの教科書は30年経っても役に立つ!1994年2月に発表されて以来、全世界で累計2,000万枚を超える売上を記録し、パンク・ロック・シーンの教科書的アルバムとなったグリーン・デイのメジャー・デビュー・アルバム『ドゥーキー』の30周年を記念した4枚組CDボックス!豪華特典と未発表音源が満載のグリーン・デイ・ファン必携アイテム!

 
『セーヴィアーズ』
世界で最も愛されてるパンク・ロック・バンド、グリーン・デイ
が約4年ぶりとなる新たなスタジオ・アルバムを引っ提げシーンに戻ってきた!ロンドンとロサンゼルスでレコーディングされた本最新作『セーヴィアーズ』は、通算14作目となるスタジオ・アルバム。
(日本盤のみボーナス・トラック収録)


【グリーン・デイのオフィシャル・グッズはこちらからどうぞ!】


【グリーン・デイ関連リンク】

WMJサイト

Official HP

Official X (旧Twitter)

Official youtubeチャンネル

Official Facebook

Official Instagram

Official TikTok


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?