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聴いたら眠くなるブルース!? The Black Keysの最新作『Delta Kream』に隠された秘密

みなさんこんにちは。
新型コロナに伴う巣篭もり生活によって、楽器を始める方が急増しているそうです。
手軽に始められる、安定した人気を誇る楽器の一つといえば、ギター。
コロナ下の2020年において、アメリカでは大手名門ギターメーカー、Fender(フェンダー)は過去最高の売り上げを記録したそう。同社のCEOアンディ・ムーニー最高経営責任者はとある記事にて「今年の売り上げは2ケタ増、過去最高になる」というコメントも発表していました。
https://www.businessinsider.jp/post-224639

今回は、そんなギターとドラムの2人組バンド、The Black Keys(ザ・ブラック・キーズ)の最新作『Delta Kream(デルタ・クリーム)』をご紹介します。

The Black Keys(ザ・ブラック・キーズ)は、アメリカ・オハイオ州にて結成。ガレージロックやブルースを礎とし、重厚でローファイながらきっちりと伝統をベースにしたサウンドで絶大な支持と人気を誇ります。

ちなみに、Vo/GのDan(ダン / Dan Auerbach)と、DrumsのPat(パット / Patrick Carney)の2人は小さい頃からの幼馴染。

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アンダーグラウンドでの活動を経て、ガレージロック・リバイバル・ムーブメントの立役者として広く支持されるだけでなく、Grammy賞(「BEST ROCK ALBUM」、「BEST ROCK PERFORMANCE」、「BEST ALTERNATIVE MUSIC ALBUM」など)も多数受賞。

コアだけでなく、マスも取り込んだファンベースとキャリアを確実に築き上げてきました。

通算10枚目となるスタジオ・アルバム『Delta Kream』は、彼らが多大なる影響を受けたという〈ミシシッピ・ヒル・カントリー・ブルース〉をテーマにした作品。なんと計2日・わずか10時間で全部終了したそうです。
大層なリハーサルもなく、伝説のブルース・ミュージシャン達とのジャム・セッションをレコーディングしていったとのこと。

〈ミシシッピ・ヒル・カントリー・ブルース〉とは、USミシシッピ州北部の丘陵地帯「ヒル・カントリー」から現れたブルース音楽(ミシシッピは、オジブワ族インディアンの言語で「偉大な川」)のことを指します。

古くより文化の多様性に富んだ地域で、移民などが持ち込んだそれぞれのカルチャーが混じり合い、食文化、建築、音楽など独自の発展を遂げてきたそうです。

聞き馴染みがないかもしれませんが、このブルースの特徴は、ギター・リフの繰り返し。通常でいえば、曲の起伏を生み出す<コード・チェンジ>が少なく(時にはほとんど無く)、同じコード(ワンコード)で延々と曲を繰り返すことで引き起こされる独特なグルーヴ感が挙げられます。
それゆえに、<催眠性(ヒプノティック)>という異名があるとか…

「ミシシッピ・ヒル・カントリー・ブルースには、催眠的というか、瞑想的な力が間違いなくあるからね。ジュニア・キンブロウとか、R.L.バーンサイドはその大家だった。彼らは、これらの曲をライヴで7分とか8分とか演奏し続けるんだよ。それで、フロアの観客はトランス状態になるんだ。だから、すごく特別な魅力があるんだ」
 - ダン
「うん、このアルバム『Delta Kream』はリスナーを別世界に連れて行く力を持ってると思う。聞いているだけで、まるで南部にいるような気分になれるんだよ(笑)」
 - パット

果たして、本当に眠く(!?)なるかはさておき、激しく歪む爆音ギターと、轟音のドラム。それが混ざり合った中毒性たっぷりのグルーヴは、一度ハマったら抜け出せない底なし沼、なのかもしれません。

ちなみに、アルバム・タイトルとなった『Delta Kream』のネーミングは、20世紀後半で最も重要な写真家の一人とされるウィリアム・エグルストンが撮影した当時の写真からだそうです。

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「この『Delta Kream』を発表するって決めた時はまだタイトルが決まってなくて。それで僕らが大好きな(メンフィス出身のフォトグラファー)ウィリアム・エグルストンの写真を見てみようってダンが言ったんだ。で、この写真を見つけて凄く気に入ったんだよ。これをそのままアルバム・カバーにして、ここに書いてある『Delta Kream』をそのままアルバム・タイトルにしたんだ。このアルバムに完璧にマッチすると思った。この写真が撮影された場所が、『Delta Kream』に収録された楽曲を生み出したアーティスト達が住んでいた場所だからね。アイスクリームとかホットドックを売ってた店だと思うよ。車で行って、車内で食べる形式の店だね」
 - パット

最後に、メンバーからの日本のリスナーに向けたメッセージをご紹介します!

「皆が『Delta Kream』を楽しんでくれることを願ってる。そして、ジュニア・キンブロウやR.L.バーンサイドをまだ聞いたことがなかったら、チェックしてもらえたらすごく嬉しいな。いい意味で驚かされると思うよ」
 - ダン
「僕達が日本でプレイしたのは一度だけで、もう17年前になる。でも僕はその後、妻のミシェル(・ブランチ)のツアーでも日本に行って、数公演やったんだ。僕は本当に、日本が大好きだよ。だから、日本に戻ってショウをやりたいんだ。2015年に行くはずだったんだけど、肩を壊して行けなくなってね。ミシェルは来年アルバムを出す予定だし、僕達もアルバムを出せたらいいなと思ってるから、どちらかで日本に行くつもり!楽しみにしてるよ」
 - パット

ぜひ、アルバム『Delta Kream』御賞味ください。

The Black Keys / ザ・ブラック・キーズ
『Delta Kream / デルタ・クリーム』
ダウンロード/ストリーミング OUT NOW

※初回のみオリジナル・ステッカーシートを封入した日本盤CDは2021年5月26日リリース!




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