見出し画像

2023年にあのPANTERA(パンテラ)が日本にやってくる…!いてもたってもいられないメタルヘッズのための鉄板曲&隠れた名曲10選!

あのPANTERAが日本にやってくる…!

昨年末に日本を駆け巡った、日本を代表するメタル・フェス=LOUD PARK復活の情報に、メロイック・サインを高々と空に掲げたみんなの気持ちをさらに高ぶらせたのが、その直後に発表された、PANTERAがそのヘッドライナーを務める!という驚きのニュースでした。誰もが待ち望んだメタル・フェスの復活、そしてそのヘッドライナーにはこれ以上相応しいバンドはいないのではないか、というくらいのバンドが参戦…、全メタルヘッズを狂喜乱舞させた衝撃が、いよいよ今月末、現実のものとなって開催されます!

そこで、あのPANTERAの衝撃を90年代に体験し、今回の来日に大興奮を隠せない生粋のPANTERAファン、そして、メタルの世界に飛び込んだ時にはすでに活動をストップさせていて、PANTERAというバンドの凄みを音源や映像でしか体験できていなかったファン、さらに名前だけは知ってるけど…、という全音楽ファンに改めてPANTERAのサウンドを紹介すべく、音楽ライター、増田勇一さんにお願いし、数多くある名曲の中から、鉄板曲5曲、さらに通好みな隠れた名曲5曲をピックアップして頂きました!
増田さん、お忙しいところ本当にありがとうございました!

まずは鉄板曲5曲、その後隠れた名曲5曲(最後に番外編として1曲選んでいただいています!)へと続くこの楽曲たちを、2023年3月25日&26日に開催されるLOUD PARKに向けてさらに気分を盛り上げながらチェックしていただけたら嬉しいです!

それでは、まずは鉄板曲5曲からどうぞ!

PANTERA 鉄板曲5選

1. Mouth For War

第一声が“revenge”という強烈さ。文字通りの復讐宣言で幕を開けるこの曲でPANTERAを知ったという人は多いはずだ。この曲が1曲目に収録されているVULGAR DISPLAY OF POWER / 俗悪がアメリカで発売されたのは1992年2月のこと。下劣な荒業、力の粗野な誇示などと翻訳可能な原題に付けられた『俗悪』という邦題の響きやアートワークの印象も相俟って、迂闊に近寄ると殴りつけられそうな危険な匂いがアルバム全体に色濃く漂う。当時、フィリップ・アンセルモに取材した際、この曲の歌詞について説明を求めると「頭にきたことに対する姿勢を、無知なやり方ではなく攻撃的かつ建設的に表現したもの」との回答が。その言葉を聞いて僕は迷わず同記事に“ANGRY YOUNG MEN”というタイトルを付けた。


2. Cowboys From Hell

メジャー・デビュー作となった1990年発表の通算第5作COWBOYS FROM HELL / カウボーイズ・フロム・ヘルの冒頭に収録されていた表題曲。ザクザクと空間を刻む鋭利なギターの音像が特徴的で、本作をもって彼らは独自のサウンド・スタイルを確立することに成功。ある意味それは1978年のVAN HALENのデビュー当時に匹敵する画期的発明だったといえる。この曲はテキサス州を拠点とするPANTERAにとって代名詞的なものともいえ(同州を拠点とするNFLチームがダラス・カウボーイズであることは言うまでもない)、彼らの歴史において最も高い頻度で演奏されてきた、文字通りの鉄板曲である。


3. Walk

PANTERAのライヴ史において“Cowboys From Hell”に続いて過去二番目の頻度で演奏されてきたのがVULGAR DISPLAY OF POWER / 俗悪に収録されているこの楽曲。逆にSpotifyでの再生回数では、同楽曲を抑えてこの曲が堂々の1位となっている。“Respect, walk(敬意をもって、歩いて行け)”という号令のごとき歌詞にはオーディエンスを強引に束ねていく統率力があり、その場に強力な連帯を生んでいく。この曲の合唱には、絶対に乗り遅れずにおきたいところだ。


4. Becoming

1994年、全米アルバム・チャート初登場で首位を獲得したFAR BEYOND THE DRIVEN / 悩殺から生まれた人気曲。特徴的なリフが強烈なフックになっており、約3分間という簡潔なサイズにまとめられている。こうしたキャッチーでコンパクトな作風も彼らの得意とするところであり、メンバーたちが少年期に親しんできたKISSなどからの影響の表れとも解釈できる部分だ。このアルバム発売当時に取材した際、ダイムバッグ・ダレルは「この曲のリフはデジテックのワーミー・ペダルを使って作った。いろんなことをやり尽くしてきたし、何か新鮮なことをやろうとして挑んでみた結果として生まれたものだ」と語っている。そうした実験精神もこのバンドの魅力のひとつだ。


5. A New Level

再降臨を果たしたPANTERAはまず昨年末に南米ツアーを実施しているが、その際のセットリストの冒頭に配置されていたのがこの楽曲だった。“Mouth For War”と同様にVULGAR DISPLAY OF POWER / 俗悪の収録曲だが、このアルバムには他にも“Fucking Hostile”をはじめ多くの鉄板曲が並んでいるものの、「自信とパワーの新たなレヴェルへ」と繰り返すこの曲は、まさに現在の彼らに似つかわしいものといえるはずだし、今回の復活劇がいわゆる再結成とは意味合いの異なるものだということを、まずこの曲を演奏することで訴えようとしているのではないかとも想像できる。


PANTERA 隠れた名曲5選

1. Revolution Is My Name

2000年発表のREINVENTING THE STEEL / 激鉄PANTERAの第9作であると同時に最後のオリジナル・アルバムであり、同作を彼らの代表作として挙げる向きはあまり多くないはずだが、作品としての充実度は高く、フィリップの歌詞にも注目すべきものがある。ことに「1968年、この世に産み落とされた」という言葉から始まり(彼は実際に同年生まれである)、「俺の名は、変革」と歌われているこの曲は、バンドがそのまま続いていれば間違いなく鉄板曲のひとつとなっていたはずだし、当時のPANTERAにとって最後のライヴとなった2001年の『BEAST FEAST』出演時にも、この曲は演奏されている。ダメモトでリクエストしたい曲のひとつだ。


2. Cemetery Gates

80年代後半から90年代にかけ、ロック・バンドの商業的成功のために欠かせない要素のひとつとして“パワー・バラード”があった。実際、バラード曲のヒットを切っ掛けに飛躍を遂げたバンドは数知れない。COWBOYS FROM HELL / カウボーイズ・フロム・ヘルに収録されているこの曲について同様の分類をすればバンド側からもファンからも中指を立てられるかもしれないが、当時「新種のメタル」という受け止め方をされていた彼らについて「実は正統派?」といった印象を抱かせたのがこの曲だったともいえるし、このバンドの魅力が過激な攻撃性ばかりではないことを証明するものでもある。先頃の南米ツアーの際には、実際には演奏されていないものの、ダイムバッグ・ダレルヴィニー・ポールを追悼するシーンで映像と共に使用されていたようだ。


3. Suicide Note Pt.Ⅰ

1996年発表のTHE GREAT SOUTHERN TRENDKILL / 鎌首にも、血管がブチ切れそうな表題曲をはじめとする強烈な楽曲が詰め込まれているが、この曲は同作におけるまさに谷底の部分に位置するもの。とにかく暗くて重苦しい。ただ、そこでのフィリップの歌唱にはALICE IN CHAINSの故レイン・ステイリーを思わせるような深い味わいがあり、のちのDOWNなどでのアプローチにも通ずるものを感じさせる。また、1997年の第39回グラミー賞ではこの曲がベスト・メタル・パフォーマンス部門にノミネートされていたりもする。余談ながら、その際に栄冠を勝ち取ったのはレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンだった。


4. This Love

VULGAR DISPLAY OF POWER / 俗悪からシングル・カットされた楽曲のひとつ。こちらもバラードと分類可能ではあるが、こんなにも“love”という単語を激しく叫びまくる曲を筆者は他に知らない。発売当時のインタビューでフィリップは「冷酷にもヴィニーの彼女のことについて書いた」と語っているが、ヴィニーの側は「フィリップが自身の過去の恋愛経験について歌ったもの」と発言していたりもする。どちらが真相であるかはわからないが、こういう曲を“聴かせる”ことができるのもPANTERAの強みのひとつであることは間違いない。


5. Planet Caravan

FAR BEYOND THE DRIVEN / 悩殺の最後に収められているBLACK SABBATHの楽曲のカヴァー。同作から“I’m Broken”に続いてシングル・カットされていて、UKチャートでは最高21位を記録していたりもする。昨年末の南米ツアーの際には“Cemetery Gates”を用いながらのダイムバッグ&ヴィニーの追悼場面に続けてこの曲が演奏されている。PANTERAによるカヴァー曲でいちばんよく知られているのがこの曲だが、他に映画『DETROIT ROCK CITY』のサウンドトラック用に録音されたテッド・ニュージェント“Cat Scratch Fever”などもあるし、かつての彼らはその場のノリでMETALLICAKISSをはじめとするさまざまなカヴァーを演奏してきた。『LOUD PARK』のステージに向けて、何かそうしたサプライズが用意されている可能性も、ないとはいえない。


番外編:
Power Metal

フィリップ・アンセルモ加入後初の作品にあたる通算4枚目のオリジナル作『POWER METAL / パワー・メタル』が世に出たのは1988年のこと。こちらはそのタイトルトラック。音楽的にはそれ以前のいかにも80年代的なスタイルからアグレッシヴな方向への転換期、つまりCOWBOYS FROM HELL / COWBOYS FROM HELL / カウボーイズ・フロム・ヘルでの飛躍的変貌へのイントロダクションにあたる。あの独特なギター・サウンドもまだ確立されていないし、フィリップの歌唱はロブ・ハルフォード直系といった印象だ。この盤自体があまり世に多く出回っておらず入手困難な状態にあるが、機会があれば触れておきたい興味深い音源ではある。ちなみに過去、この曲自体は片手で数えられるほどの機会しか演奏されていないようだ。


PANTERA プレイリスト


LOUD PARK 2023 オフィシャル・サイト


PANTERA - Warner Music Japan Artist Site


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?