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ハロウィンあれこれ

 ハロウィーン=西洋のお盆…これじゃ理解したとは言えないと思ったので、お手軽に調べてみた結果。覚書的に残しておきます。


1.起源

 古代ケルトのサムハイン祭に由来する。サムハインは通常10月31日から11月1日まで、収穫を歓迎し、「今年の暗い半分」の到来を告げるものであった。この祭事は非常に重要なものと位置づけられ、これに参加しなかった場合、神々から罰が下るとも考えられた。日本における「秋祭り」に近い位置付けだったらしい。
 この時期は、物理世界と精神世界の境界が崩壊すると信じられていたため、ケルト人は人ならぬ存在のために村や畑の外に供物を残した。また曖昧になった境界を超えて先祖が戻ってくるとも考えられ、誘拐されないように、またいたずらをされないように、動物や怪物に仮装した。特にアイルランドでは、人々は動物の皮で作った衣装を身に纏い、死者の霊を慰めた。家の中にも宴会の準備がなされ、互いの家を戸別に訪問して慰めの歌を歌いケーキを受け取っていた。
 ちなみに「ケルト」は紀元前600年頃、古代ギリシア人が「ケルト語を話す文化集団」を指した「ケルトイ」という呼称に由来する。彼らは現代の英国、アイルランド、フランスにあたる地域を中心として暮らし、文化を築いた人々を指す。この文化は文字を持たなかったため、当時の文化を知るには遺跡、出土品、神話、ギリシャやローマなどの他文化地域の記録に頼らざるを得ない。なお南イングランドに位置するストーンヘンジは、正確にはケルト人ではなく先住民族が建造したもの。


2.歴史上の変化

 9世紀ころまでにキリスト教がケルト人の間に広がると、1000年に教会が11月2日を死者の日として指定するなどキリスト教の祭事が徐々に異教の儀式と混ざり、また取って代わり始めた。
 民間の催事としては貧しい人々が裕福な家庭を訪れ、死者のために祈る代わりにソウルケーキと呼ばれるケーキを受け取った。またスコットランドやアイルランドでは、死者のために祈るのではなく、歌を歌ったり、詩を暗唱したり、冗談を言ったりするなどの「トリック」を行い、ナッツや果物、コインなどを得る風習が広がった。
 時代が中世に下ると、この日付は諸聖人の日(11月1日)とその前夜(10月31日)として神聖視されるようになり、All Hallows'Eveとして聖人を祭る祭事を行うようになった。他方でサムハインは農村の火祭りの祝いとしても定着し、農場では妖精や魔女といった悪いものから家族を守るために焚火を熾した。この時期の経緯については地方によっても異なるため、深い理解を求める場合はしっかり調査する必要があろう。
 アイルランドやスコットランドでは、中世にはすでに怖い顔をカブやジャガイモに掘り石炭を埋め込む「ジャック・オー・ランタン」と呼ばれる置物を作り始めた。ジャック・オー・ランタンがカボチャになるのはこの伝統がアメリカに渡った後、より多く生産されていた作物に顔を彫ったのが始まりである。
 こうして古代からの収穫祭的祭日がキリスト教的記念日と重なるとともに、エンターテインメント的要素が強調されるようになり、近代には現代とほぼ同じ形のハロウィーンが定着していったようである。


3.現代の位置付け

 日本やアメリカでは、現代教会でハロウィーンを祭日として祝うケースはほとんどなく、人々が好きな姿に仮装しお菓子のやりとりをする、エンターテインメント要素が非常に強いものとして定着している。ただし日本では歴史も浅く、「トリック・オア・トリート」と他家を訪問する文化はほとんど見られない。
 メキシコやスペインなどでは、死者を迎えるための祭壇を家に建て、食べ物や飲み物、花を供え、祖先の霊を慰めるという趣旨が強い。
 イギリスの場合、ルターの宗教改革で聖人の日の文化が下火になると、ハロウィーンを祝うことも一般的ではなくなった。しかしそれに代わる伝統や、最近ではハロウィーン文化の逆輸入も起こっている。
 同じイギリスでもアイルランドでは、現在でも焚火や「トリック・オア・トリート!」と子供たちが練り歩く一般的なイメージ通りのハロウィーンが行われている場所も少なくない。


4.装飾とシンボル

ジャック・オー・ランタン
 ジャックはアイルランドのいたずら者。神と悪魔の両方を怒らせ、天国からも地獄からも受け入れを拒否された結果、いまだに地上をさまよっている。ジャック・オー・ランタンは、彼が家に来ないようかぼちゃに怖い顔を彫り込み、中を空洞にしたランタン。
黒猫・クモ
 他の領域、異世界への誘い役であると信じられている。特に猫は、ケルト文化において人間の生まれ変わった魂であり、未来を見ることができると考えられた。また蜘蛛の巣はその形状から、生命のサイクルを表していると捉えられた。
魔女
 魔女は悪魔と深いつながりがあるとされ、その魔力はハロウィーンの夜に最大になるという。また魔女は猫に姿を変えることができるか、猫を使い魔として従えていると考えられていた。
骸骨
 ハロウィーンは「この世とあの世の境があいまいになる夜」であることから、この世にありながら魂があの世のものとなっていることを示す骸骨は、ハロウィーンのシンボルとして定着した。特に頭蓋骨は死をイメージさせることが多く、様々な文化でシンボル化されている。ちなみに、古代ケルト人は頭蓋骨を人間の魂が宿る場所と信じていた。
穀物
 最も一般的なのはカボチャであろう。その他、特にトウモロコシと小麦が、ハロウィーンの装飾によく用いられる。ハロウィーンはかつて収穫祭の要素が強かったことから、収穫し終わり乾燥させたトウモロコシや麦は、農業中心だったこれまでの生活の変化と、季節の移ろいの象徴であった。


5.伝統料理

 発祥がイギリスであるためか、素朴で大味な料理が多い。

「ソウルケーキ」ハロウィーンがサムハイン祭であった時期から食べられていたもの。ナツメグやクローブといったスパイスを用いたもので、ケーキであったり、クッキーに近かったりする。十字の切り込みを入れ、飢えた人々に分け与えるものであった。より食べやすくおいしい形を求めて、「バームブラック」に変化。
「バームブラック」アイルランドでハロウィーンに食べられる、ドライフルーツ入りのパン。中にコインや指輪などを入れておき、何が当たったかによって運勢を占う「フォーチュンクッキー」的な要素がある。
「ボクスティ」アイルランドのポテトパンケーキ。マッシュポテトの使い切りにも良く、ソーセージ、ベーコン、卵などと合わせるとおいしいらしい。
「パンプキンパイ」アメリカでハロウィーンや感謝祭に食べられる。パイ生地やタルト生地の上にカボチャのペーストやカボチャベースのカスタードを敷き詰めたもので、いわゆる「パイ」というよりは「タルト」に近い見た目になる。


6.ゲーム

「アップル・ボビング」盥に水を張って浮かべたリンゴを、口だけで取り出すゲーム。婚期を占うゲームでもあり、早く取り出せた人は早く結婚できると言われた。
「スナップ・アップル」角材や戸枠、梁などからリンゴを糸でつるし、口だけで取るゲーム(かつては火のついた蠟燭を一緒にぶら下げるなど、もう少しスリルのあるゲームだった模様)。パン食い競争のようなもの。
「ノック・ア・ドリー」いわゆるピンポンダッシュ。住居侵入罪などにあたるため、実行は控えよう。

 世界史も英語も諦め、日本史と古典に生きてきた私ですが、ハロウィーンやクリスマスは古代から続いていることもあり、起源なんかを調べてみたくなるもので……。
 現代の文化については広く浅く触れているだけなので、もっと知りたい事項がある場合はWiki先生に専門家を紹介してもらってください。その他、気になることはGoogle先生がよくご存じです!!!

参考

https://ch-gender.jp/wp/?page_id=17439
https://www.history.com/topics/holidays/samhain
https://www.sendflowers.com/halloween-history-symbols.htm
http://pila-traditionfestivalcelebrations.blogspot.com/2012/10/halloween-symbols-and-meanings-behind.html
https://www.whats4eats.com/breads/boxty-recipe