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フォトグラファの特権

「撮影の回数だけ恋におちる」

当たり前のことだけれど本当に恋に落ちるというわけではない。ファインダーに目を当てているその瞬間だけ。ファインダーという遮られた四角い空間の中で物語が形成され、自らその中へ飛び込むことができる。そしてファインダーから目を外したら現実世界に戻る。モデルがその物語に同調することができたとき、たぶん良い作品ができるのだと思う。勿論、その逆もある。これを意識して撮った作品を見て「このモデルさんと付き合っているのかと思った」と言われるのは褒め言葉になる。

いくつもの疑似恋愛を体験できる。これは、ボクらフォトグラファだけの特権なのかもしれない。

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