およそ365日のひそやかな戦争

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ノート

春望

わたくし、春画でございます。  なんでも薄暗いところでしこしこと摺られた記憶はあるんでございますが、どうにも描かれたばかりの頃でしたんで、あれ...

およそ365日のひそやかな戦争 - 5

百五十一日目、電話が鳴った。君からだ。  君がいなくなってからも、私は慎重にひとりで暗号の解読をすすめている。お母さんに見つからないように、紙...

およそ365日のひそやかな戦争 - 4

百二十三日目、電話はまだ鳴っていない。  君がいなくなった日、担任の先生がかわった。ふつう、クラスの中から思考矯正施設へ送られる児童がいた場合...

およそ365日のひそやかな戦争 - 3

五十八日目、電話がなった。君からだ。  私たちはたくさんのものを奪われている。子どもの害になると大人が決めたものは、みんなこの世界から消えてし...

およそ365日のひそやかな戦争 - 2

四十二日目、電話がなった。君からだ。  目を閉じている私には時間の流れがわからない。授業は私の頭の上を通りすぎていき、聞こえるのは私の体の中を...

およそ365日のひそやかな戦争 - 1

三十五日目、電話がなった。君からだ。  りん、と澄んだ音を立てて空気が震える。水が毀れるときのような繊細な音はたった一度だけ鳴り、そして静かに...

トビングスカイ - 6

「さかなぁ! なんか海が見えると元気になるよ!」 「あいつ、なんかますます馬鹿になってない?」  めずらしくハルが呆れているので、アツは同意した...

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トビングスカイ - 5

「なんでなんともなかったのにアツが死んでるの? ねー、邪魔ぁ!」 「ほっとしたんでしょ。それより宿題は終わったの? ドラマ見たら寝なさいよ」  ...

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トビングスカイ  - 4

二人は退屈していた。妹の出産のために母親が入院していたからだ。しかも今日は昼の早い時間から病室を追い出されてしまったので二人は解せなかった。母...

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トビングスカイ - 3

ハルは勉強こそできないがバカではない、と思う。インタビューの受け答えはそつがないし、時々当意即妙なことをいったりもする。そもそもいくら運動神経...

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