消え行くフィルム写真の世界 第4回

今回は当初の予定を繰り上げて白黒ネガ写真のご紹介をします。残念ながらポジ写真の撮影・現像にはまだ半年くらいかかる…かも?なので、またできたタイミングで紹介記事を書きたいなと思います。

白黒フィルムとカラーフィルムの違いって?

正直なところ、ある程度撮れるようになるまで白黒フィルムってカラー写真から色みが消えただけで、どれも同じじゃないか?と思ってました。よく白黒写真=撮影者の技量と言われますが、個人的には白黒写真はカラー写真より明度に対する敏感さが要求されると思います。私はどうも彩度に気を取られやすいので、白黒はちょっと苦手なんですが…

さて、そんなわかりにくい白黒フィルムにももちろん違いはあります。カラーと同じく粒子の大きさ、階調表現の豊かさ、シャープネス、そしてダイナミックレンジが白黒フィルムの評価基準になります。この内、特に白黒フィルムとカラーフィルムで差異があるのが、階調表現の豊かさ、シャープネス、ダイナミックレンジ。カラーフィルムでは色(赤、緑、青)毎に露光する層があります。これは簡単に言ってしまえば、各色に対し、白黒フィルムの1/3分の情報しか受け取れないことになります。
カラー写真に対して3倍の情報を受け取る白黒フィルムはその分露出・コントラストに敏感と言えます。そしてこのおかげでカラー写真よりシャープネス、階調表現、そしてダイナミックレンジの広さを得る事ができるのです。

紹介するフィルム

白黒フィルムにも結構たくさんの種類があります。未だに愛好家が多いこともあり、カラーに比べれば選択肢が多いことも。

・Fujifilm Acros 100
・Fujifilm PRESTO 400
・Kentmere 100
・FOMAPAN
・Lomography BW400
・ILFORD DELTA100 Professional
・ILFORD FP4 PLUS
・Kodac TMAX100

生産終了フィルム(見つけたら即買おすすめ)
・Fujifilm NEOPAN SS


Fujifilm Acros100

私が白黒写真に開眼したフィルムです。ただ値段が非常に安くて入手も楽なので、おそらくフィルム写真をやったら一度は手に取るフィルムではないかと…

特筆すべきは解像度と階調です。自分で意識している以上に明度の差異が写真に乗ってくるので、明度と彩度の違いについて考えるきっかけになるかもしれません。また影の描写が非常に美しく表現されます。

公式にも夜景・建物などの長時間露光写真に適しているとおすすめされているACROS100。特に建物は光のコントロールができないですが、ACROSの場合、明るいところも暗いところもしっかりと描写してくれます。街歩きスナップでもおすすめ。


かなりレンズとの相性がありますが、オールドレンズでも解像度の高い写真を楽しむことができます。もしかするとデジタルよりもシャープなのでは?と思うこともあるくらいの写りになることも。

Fujifilm PRESTO400

カラーフィルムのISO400は使いやすいISOなので、初心者はついつい手にとってしまうのでは?というPRESTO400。実際は最初にかいたようにカラーの3倍感度があるので、同じように使うとちょっとがっかりする場合がおおいです。ただ、ネガふぃるむなので明るめにとってしまったとしても画像処理でぐぐっとガンマ値や露出をさげていけば、きれいな写真がえられるでしょう。なお、このフィルムはレンズの性能にものすごく左右されるので、腕に覚えがないなら良いカメラを使うことをおすすめします。


たとえ暗所でも中間のトーンのグラデーションは綺麗に表現します。また感度が非常に言いので、夜間の撮影には三脚が不要。人の肌や服などもきれいに描画するなぁと思います。

トイカメラとはあまり相性が良くないですが、なぜかHOLGAとだけは仲良しです。HOLGAはたしかにトイカメラの中ではそこそこ解像度のいいレンズがくっついているということもあるとは思いますが…


Kentmere 100

あまり見かけないフィルムですが、イギリス製とのこと。粒子性がよいとはいますが、他のフィルムに比べると若干つぶが気になるかな…という感じ。ただ、上の写真で言えば木目やのれんくらいの明るさでは階調がずば抜けて良いと感じられます。青い光に対する感度が若干良いような気がしますが、本数をさして撮っていないのでレンズとの相性かもしれません。

暗いところはスコンと暗くなるので、ポートレイトにもお勧めかもしれません。風景写真を取る場合、遠景の風景写真よりは木漏れ日などの撮影に向いていると思います。

FOMAPAN

個人的には一番好きなフィルムです。おそらく写真を撮る際にイメージする白黒写真に最も近い感じで表現されるのではないかなぁ…というかんじ。黒いところは黒く、白いところは白く、明るいところは明るく、そして暗いところは綺麗に黒くなります。かといって階調が豊かでない、ということではなくむしろ非常に豊かであるがゆえに目で見るものに近い表現になるのかも。

プラスチックの光沢も、金属光沢も、草むらの表現も。粒子も気にならない程に細かく、オールラウンドでつかえる印象です。

特に空の表現は得意なようで、深みのある黒が出ます。また階調表現が非常が非常に豊かなので、水なども綺麗に映してくれるような…。一度使ってみてほしいですね!

Lomography BW 400

評判の良くないLomography BW400ですが、私は好きです。たしかにFOMAPANに比べて良い点は特にないですが、その代わり手軽にてにはいり、手軽に使えるという利点はあります。120のフィルムに関して言えば粒子はそこそこに細かく、またコントラスト・階調なども特筆すべきほど悪いものではありません(よくもないです)。
テクニックとしては若干オーバ気味に撮影した後、デジタル加工でガンマ値・露出などを下げ、コントラストを上げるようにすればそこそこに見られる画になるでしょう。もちろん、引き伸ばしには耐えられないとは思いますが、とにかく写真を楽しみたい、始めたばかりでたくさん撮りたいけどフィルムの違いがよくわからないという人には大変オススメのフィルムです。


ILFORD DELTA 100 PROFESSIONAL

Kentmereが明るい場所の表現が得意であるとすれば、ILFORD DELTA100はその対となります。暗所を綺麗に表現し、くっきりとした気持ちのよいコントラストを表現するILFORD DELTA100。

ISOは100ですが、暗所の階調が豊かなので、夕暮れ時の撮影もなんのその。この写真はF2のレンズを開放にし、シャッタースピード1/125で手持ちでの撮影ですが、特に問題はありませんでした。ただ、こういう条件の場合、デジタルでの加工はほとんど絶望的なのでまずは明暗の差が激しい場所からの練習をするのがよいかもしれません。風景写真などにもむいているようです。

ILFORD FP4 PLUS

白黒写真の難しさが感じられるフィルムです。階調豊かであると公式が言っているとおり、確かに描写力には優れていますし、非常にシャープな画が得られますが、均等にすべてを描写するので余計なものが入り込むととたんに写真がごちゃごちゃな印象になります。写真は引き算、という言葉を思い出させるフィルムです。

草も、木目もペンキのハゲも、草むらの中に咲く花も全部見えます。高解像度でシャープネスに優れているからこその恐ろしさ。

ああ、白黒写真ってなんて難しいんだ。と思い出したくなったら、ILFORD FP4 PLUSを使ってみましょう。

Kodac TMAX 100

ILFORD FP4 PLUSが写真の難しさを思い出させるフィルムなら、こちらは撮る楽しさを思い出させるフィルムです。TMAXはコントラストがくっきりとしていて、シャープ、FOMAPANほどではないですが、目で見たものに比較的近い映りになるフィルムです。そのうえある程度の傷跡は隠してくれるときたら、出来上がるのがたのしみでしかたなくなるはずです。

オーバでとってしまっても、後加工でどうにでもなりますが、やはり白黒は撮って出しが醍醐味。いつもより一段くらい絞ってコントラストをしっかりと出してみるのがよいと思います。特に晴天時のスナップ写真では露出はアンダー気味がおすすめ。被写体がくっきりと浮かび上がる印象的な写真ができることうけあいです。


Fujifilm NEOPAN SS

残念ながら生産終了し、販売ももうほとんど終了しているNEOPAN SSです。やすかったので私は買いだめしていてずいぶんお世話になりましたが、もう入手は難しいかな…好きなフィルムなので紹介だけしておきます。

映りとしてはILFORD DELTA100とKentmereの中間くらいのレンジが特によいかな、という感じです。個人的には野外曇天下もしくはそれ以下の明るさで静物を撮るとき、とても相性の良いフィルムでした。もちろんレンズとの相性もありますが、優しい印象のしあがりになります。カラーフィルムと同じ設定で撮影した後、現像またはプリント、あるいはデジタル加工で少し明るさを絞るとまた印象がガラリと変わります。

*

さて、というわけで白黒ネガフィルムの紹介でした。なかなか違いが見分けにくい白黒写真ですが、とにかく決まったカメラとレンズ、そしてフィルムの組み合わせでなれてから他のフィルムに手をだすと、お!と思うことがあると思います。自分の撮りたいイメージ、撮影する対象ごとにお気に入りをさがしてみてくださいね。

次回は白黒ポジフィルム…に行きたいですが、その前に何か企画を考えるかも。お楽しみに!

※本コンテンツはライティング・撮影・編集・検証に多大な時間がかかるため、投げ銭制を実施したいと思います。100円はちょっと高いけど、もしよろしければちょいと一枚、なげてやってくれれば嬉しいです。


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消え行くフィルム写真の世界 第4回

斧田 小夜

100円

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斧田 小夜

消えゆくフィルム写真の世界

今やカメラといえばデジタルカメラを指す時代ですが、しつこくフィルムについて語っているコラムです。

コメント2件

最近モノクロについて少し考えてみたりしているので、とても興味深く読ませていただきました。フィルムも面白そうですね!
ありがとうございます!フィルムは奥が深いですよ~ぜひぜひやってみてください^^
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