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消えゆくフィルム写真の世界 第5回

お久しぶりです。ついに待ちに待った白黒ポジフィルムの現像が上がってきたので、ご紹介したいと思います!

白黒ポジフィルムって?

ふつう、フィルム売り場で売っているフィルムはカラーリバーサル・カラーネガ・白黒フィルムですが、この白黒フィルムとは白黒ネガフィルムのことを意味しています。白黒ポジフィルムは、フィルムを現像した時点で作品として完成しているリバーサルフィルムとおなじ、ただし白黒、という今となっては珍しいフィルムです。

現在のところ生産が続いているのはチェコやドイツなどの一部地域のみ、現像してくれるラボも世界に約十箇所程度しかないという絶滅危惧種です。現像するのでさえ一苦労なフィルムを何故使いたいのかと聞かれると正直困るのですが、これはまぁ好奇心やロマンというほかないでしょう。使ってみたいという方のために次回、無料記事で白黒ポジフィルムの入手方法からスキャンまでをご説明したいと思います(需要あるのかな…)

さてさて、ではとりあえずフィルムの紹介から行きましょう。

紹介するフィルム

・AGFA SCALA 200x
・ADOX Silvermax 100

残念ながらAGFA Scalaは生産が終わってしまっていますが、いくつかのネットショップ(海外含む)では現在でも入手可能です。国内だとかわうそ商店さんがそろそろ期限が切れるみたいで安売りしてました。

ADOXもAGFAとおなじくドイツのメーカですが、幸いまだ生産はしているようで、ネットショップ(海外含む)で入手可能です。現像液を売っているところもあるので、自分で現像できる環境がある人は試してみてもいいかも。


AGFA Scala 200x

AGFA Scala 200xのいいところは、黒。とにかく黒の表現が美しい。FOMAPANも中間色以下の黒の表現が美しいフィルムですが、AGFAの場合、黒く潰れたかと思うところでも薄く、薄く模様が浮き出ています。


暗所になればなるほど緻密な表現をするAGFA。かといってコントラストが強すぎるわけでもなく、とにかく暗所の階調表現が素晴らしいという他ありません。

残念ながら空は白く潰れる傾向があり(撮影セッティングや撮影後現像までの時間経過の可能性もありますが)、くらいところでの撮影が向いているようです。

それにしても、「フィルムで、露出にシビアなリバーサルフィルムで、夜に撮影できる」。これだけでも使用する価値がありますね。


ADOX Silvermax 100

こんなフィルムは見たことがない、というのが第一印象でした。表現するなら、限界までに細いペンで繊細な線を幾つも重ねた絵。それがADOXです。


太いペンでくっきりと描くTMAX、ベタ塗りの黒が美しいFOMAPAN、シャープに画面のなかのものをすべてあますことなく描き出すILFORD FP4 Plus...白黒フィルムにもいろいろと個性はありますが、これほど繊細な線、つまり高密度な写真をみたのは初めてでした。たぶん、カラーでもこんなフィルムはないと思います。

嬉しい事に、白黒なのに青空が見えるフィルムです。データシートを見る限り青に対する感度はよいようですが、赤の感度特性は低めなので、それを意識した作画が大切かもしれません。ただ、赤いものを撮ってみてもトーンの美しさは別格。まるで白黒映画のワンシーンのようです。

このフィルムはネガとしても現像できるので、わりと手軽に楽しめるかもしれません。silvermaxという名前の通り銀の含有量が多いらしいので、ネガでも繊細な描写になるのではないかな?


*

と、いうわけで一年間待ちに待った白黒ポジフィルムの紹介でした。最初にAGFAを手に入れたのはもう一年半以上前、手探りでいろいろやりましたがそういうのもフィルムの楽しみですね。参考までにお世話になったネットショップ他を末尾に書いておきます。興味があったらやってみてね!

※本コンテンツはライティング・撮影・編集・検証に多大な時間がかかるため、投げ銭制を実施したいと思います。100円はちょっと高いけど、もしよろしければちょいと一枚、なげてやってくれれば嬉しいです。


参考

かわうそ商店(フィルム):http://kawauso.biz/
Silversalt(フィルム・現像液): http://www.silversalt.jp/
DR5 Film Lab(現像ラボ):http://www.dr5.com/
節目写真館(スキャン):http://fushime.com/

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