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むかし書いた韓国コラム #415

 清渓川南側の裏道を歩いていたら、後からパカパカと軽快な足音が聞こえてきた。振り返ってみるとお客を乗せた馬車が通り過ぎていった。清渓川沿いの道で観光用の馬車が走っているのは知っていたが、裏道にまで入ってくるとは思わなかった。飲み屋や食堂が建ち並ぶ横丁を通り過ぎる馬車の姿というのもなかなかシュールな光景だ。ちなみにふんで道を汚さないように馬のお尻の下にはふんを受け止めるためのシートが張られている。ロンドンやパリでは結構な糞害があるらしいが、ソウルではそういう問題はなさそうだ。

 ところでこの馬車、交差点などではクラクションの代わりに「ヒヒーン」といなないて周りに注意をうながしている。よく仕込んだものだと関心して見ていたが、どうも本人が鳴いているのではなく、あらかじめ録音したものを使っているようだ。仕事とはいえ、どこの馬の骨ともわからぬ馬のいななきを聞かされ続ける馬くんもなかなか大変そうだ。

【解説】
 清渓川の新たな名物にしようという思惑があったのかもしれないが、後に動物虐待ではないかとの議論が起こり短期間で姿を消してしまった。クラクション代わりのいななきはなかなか滑稽な風景だった。写真はソウルではなく慶尚南道鎮海で見つけた馬車。

(初出:The Daily Korea News 2010年10月27日号 note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります)

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