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むかし書いた韓国コラム #660

 「月刊観光交通時刻表」が2012年に廃刊となってから、韓国では書籍版時刻表は姿を消してしまった。しかしそれが日本で復活した。昨年12月に「韓国鉄道時刻表」を刊行したのは日本の同人サークル「中国鉄道時刻研究会」。書籍版と電子版があり、日本で見慣れた時刻表のスタイル、かつ日本語で編集されているので韓国語が苦手な日本人でも便利に使いこなせる。同人サークルによる発行のため店頭販売する書店は限られ入手はやや手間がかかるのが難だが、書籍版の復活は喜ばしい。ネットやスマホで見るデジタル化された時刻表は使い勝手がいいとは言えないのだ。

 鉄道趣味の裾野は韓国より日本の方がはるかに広い。ゆえに同人サークルが採算を考えずニッチなニーズに対応した企画をすることも可能だ。韓国人の鉄道ファンはそんな日本の鉄道趣味文化をうらやましがる。長く軍事施設扱いだったこともあり、韓国の鉄道趣味界はまだ始まったばかり。日本の趣味人に刺激を受け、いずれ韓国の趣味人が時刻表を刊行する日も来るだろう。

【解説】
 日本の鉄道ファンの中には旅行計画を立てるわけでもないのに「時刻表を読む」ことを趣味とする人もいる。撮り鉄とか乗り鉄とかいろんな種類の鉄道ファンがいるが、「時刻表を読む」というニッチな層もいるのが日本の鉄道趣味界だ。そもそも鉄道の規模が日本より小さい韓国では、そこまでニッチな趣味を持つ人はなかなかあらわれないかもしれない。写真は中国鉄道時刻研究会公式サイトより拝借。

(初出:The Daily Korea News 2015年1月19日号 note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります)

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