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寂しいならば、お話ししましょう

この窓を通して、ずっと向こうでこちらを見ている。そんな気がしてならなかった。静かで遠い、ぼやけた向こう側。

「こちらは寒いよ。あなたはどうかしら。しっかりあたたかくしてね」
「うん」

声が聞こえたような気がして、わたしは返事をした。
これが呪いであったなら、このまま魂なんかを抜かれてしまうだろう。そしたら体はここにいて、もしかしたら次にこうしてわたしのように返事をする人を待つのかもしれない。

そんな過ごし方もいいかもしれない。少なくとも、声をかけるまでは誰もがわたしを知りもしないに違いない。

「寂しいならば、お話ししましょう?」

声をかけてはみたけれど、向こう側から返事はこなかった。

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