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棒針編みの基本・針を挿す位置と方向(1)

意外と大事なんです。これ。
しかも、ほとんどどなたも指摘していないっていうか、言及してないっていうか。。私がまだ出会ってないだけなのかもしれませんが。。(このことに既に言及されてる方、ごめんなさい。)

全てのパターンがこの基本に則って書いてあるにもかかわらず、あまり言われていないってことは、これが棒針編みの『基本のき』すぎて、誰もこのことを言わなきゃ、と認識してないってことかもです。。


世界標準の棒針におけるStitch (目)の方向

大前提として、棒針編みの 1つの"目 = stitch"は、基本的に、そして世界標準的に、針の前右側に目の半分がかかっており (*right leg) 、そして後ろ側に残りの半分が前から見て左側 (**left leg) にかかっています。これは表側も裏側も同じです。

標準:編み棒にかかる手前の半目は右側寄り

* **leg とは、針にかかっている目の半目のことを言います。確かに針にかかっている半目は足(leg) のようですよね。編み方のtutorialを見ていると、よくこの言葉が出てきます。

写真、わかりにくくてごめんなさいですが、針にかかる目が右に傾いていること、わかっていただけるでしょうか。。

この目の方向が世界標準となっており、全てのパターンはこの基本に則って書いてあります。これは、ありがたいことに、日本語パターンも英文パターンも同じです。

これがなぜ大事かというと、knitする際、目の半目が左前になっている目で 前の左半目を"knit"すると、ねじり目になってしまうんです。試しに目を左前にしてやってみてください。(下の例は右前になっていますが。。)

knit through back loop (ktbl) = ねじり目

目が左寄りになってしまう方は、始めの一歩である"Cast On"を再びビデオ通りにやってみてください。ビデオ通りにすると、右寄りの目が出来上がるはずです。

世界標準・基本の棒針の挿し方向

さて、目の方向が定まったところで、今度は針を挿す方向のことを書きます。これは、英文パターンによく出てくる表現なのです。でも、上で書いた右向きの目の方向のことをきちんとされてないと、英文パターン通りの目はできないのです。

(1) "knit"は、右に持った針を、目の手前左下側から向こう側に向けて挿します。 これを、英文パターンの中では "knitwise"とか、"as if to knit"という言葉で針の方向性を表してくれています。これらの言葉を見かけたら、"針をknitの方向に入れるのね" と理解してパターンを読み進んでください。(普通に"knit"と書いてあるだけだったら、knitをしてください。)

knitwise (knitする時の針を挿す方向)

(2)"purl (裏目を編む)"は、右に持った針を、目の向こう側右下から手前側に挿します。英文パターンの中では"purlwise"とか "as if to purl"という言葉で針を挿す方向性を表してくれています。("purl"とだけ書いてあったら、purlをしましょう。)

purlwise (purlする時の針を挿す方向)


knitwise, purlwiseが関係してくる技法

これらの言葉が出てくる技法ですが、ざっと探してみたところ、やっぱり沢山あります。ので、注意してもらいたいものをピックアップしてみました。

  • slip … 左の一目を右の棒針でスライドして右棒針に入れるだけの簡単な針操作なんですが、この基本形は"purlwise"なんです。つまり、針を入れる位置方向を"purl"の位置で入れてスライドしてください。そうすることで、右棒針に移った目が基本形の右寄りの目になって収まってくれます。*注意:ある特殊なパターンで、『このパターンで"slip"は、"slip stitches knitwise with yarn in back"が基本ですから』と注意書きされているパターンがありました。 ね? 注意書きされていることでわかると思いますが、通常の"slip"は"purlwise"なんです。余談ですが、"slip"はとても面白いことを色々してくれるヒトで、またの機会でそのことを記事にします。

  • ssk (slip, slip, knit) … この場合の"slip"は両方共"knitwise"です。つまり、通常とは違う "slip"なんです。ですが、、以前にも書きましたが、私は今これをする時、2番目の "slip"を"purlwise"にしています。この方がきれいにできるかな?と今のところ思っています。

  • yo (yarn over) … これから編もうとする直近の糸を針にくるっと絡ませるだけで一目増し目ができる技法です。この基本型は、"purlwise"です。右針を糸の上側から糸に向かって降り下ろし、かかった糸と共に針をpurl方向に動かし、右針に移動させます。実は、パターンによっては、この逆方向を指示してくる yarn overもあるんです。なので、基本形は覚えておいた方がいいと思います。


統計を取ってないので、まだまだあると思いますが、"knit"と"purl"の2つの針の方向性を覚えていたら、迷うことはありません。そして、これらのベースになる事柄は、一番最初に書かせていただいた右前の目の方向が基本となっています。目の方向というのは、ここに活きてくるんです。(だから大事なんですよぉ。。)

表現不足の日本語パターン

すみません、また日本語パターンへの不満です。
日本語パターンは役不足、と認識されているデザイナーさんもおられます。ということで、絵や写真で詳しいことを見せてくださるのはいいのですが、大事なことがわからない。何度写真を見ても、この糸がどこに行くのか、どう針を動かすのかわからない。。

これが、英文パターンの文章力だったら、正確に表現することができると思います。複雑な技巧を英文パターンの独特な文章ではありますが、逐一読んでいくと、かなり正確にこちら側に伝わってきます。これは、すごいな、と思わざるをえない。

だから、英文パターンはGREAT!だとは言いません。ぱっと見てわからないから(笑)。じっくり読まないとわからないんですよね。。欠点ですね、これ。。

さて、今日もここまで読んでいただき、ありがとうございます。

*お断り:1月23日(火)に"Russian Knitting"のことを言及させていただきましたが、ビデオを最後までよく見たら、出来上がる編み地は、ねじり目になっていました。私が以前見たビデオで出てくる目は左寄りの目だったので、Russian Knittingは全てが私たちの目の逆になっている、と勘違いしていました。すみません。このことに関しては、もっとちゃんと調べてからでないと公開してはいけなかったので、その部分は削除させていただきました。読んでいただいた方には、間違った情報になったと思いますので、お詫び申し上げます。申し訳ありませんでした。

*続報: "Russian Knitting"を見せてくれるビデオを見つけました!ビデオの中頃からknitをしてくれますが、かかっている目は左前です。その話は、こちらでどうぞ。


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