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医者になろうと思っていた私が、NPOの仕事を全力で楽しんでいる訳

 今回インタビューしたのは、インターンシップやアイデアプランコンテストなどを通して、若者の力を活かし地域の活性化、課題解決を加速させる“NPO法人とちぎユースサポーターズネットワーク”の代表理事の岩井俊宗さん。今のお仕事のやりがい・始めるきっかけや、学生時代の学び・悩んだことが今にどう活かされているのかなどを聞いてきました。※敬称略

<学生インタビュアーが学んだポイント>

①人生の転機となったネパールでの衝撃

②恩師の「キャリアを一本化しろ」という言葉

③諦めるのではなく、自分自身がモデルになるということ

栗原「今日はよろしくお願いします!ちなみに今11時ですが、ここまでも仕事してきたんですか?」

岩井「大体朝9時くらいには出勤して、30分メールのチェック、そのあとその日の予定をこなしていく感じかな。スタッフは7名いますが、一人ひとりがそれぞれ個人の関心に合った6〜8個のプロジェクトを持って活動しています」

栗原「一人ひとりそんなにたくさんのプロジェクトを持っているんですね!『関心に合った』というのはどういう意味ですか?」

岩井「自分たちは、地域で問題とか課題を抱えている現場に、なんとかしたいって若者達をつないで、その人や地域が変わっていくことを仕事としています。こういうクリエイティブな仕事ってひらめき力を高めていくのが大切なので、そのために個人のワクワクや関心の向く所を意識しているんです。年度初めに、何をしたいか、何に興味があるかを個々に面と向かって話す時間を必ず設けています。」

栗原「そうなんですね!ちなみに、岩井さんがワクワクするポイントってどこにあるんですか?」

岩井「人の可能性が広がるようなことにワクワクしますね。ユースに関わった若者が、出来なかったことが出来るようになって、それを自ら積極的にやるようになって、最終的にそれに社会的意義を感じてくれるようになったら最高ですね!」

栗原「なるほど!いつからそのようなことに関心を持って取り組むようになったんですか?きっかけはありましたか?」

岩井「大学1年生の頃から地域活性をテーマに仲間を集めて川のゴミ拾いなんかをしましたね。栃木県内の他大学の子に声をかけたり、みんなで考えて企画書を作ったり。すごくいい思い出です。でも、今やっているような仕事を目指し始めたきっかけは高校生のときの経験にあるのかな。」

栗原「他の取材記事で読んだのですが、高校生のときにネパールに行ったんですよね!?なんでまたネパールに行こうと思ったんですか?」

岩井「高校生の時に部活として日本赤十字JRCに関わっていて、リーダー育成のためのプログラムで全国から選ばれた数人がネパールに行けることになったんです。その時は特にネパールにこだわりはなかったんですが。(笑)そこで出会った大人達の仕事は『こんな仕事があるんだ!自分もしてみたい!』ってくらい衝撃が強かったですね。」

栗原「それが今のお仕事にすごく影響しているのかもしれないですね!」

岩井「そうですね。それまでは身近な友達が病気で苦しんでいる姿を見て、医者になりたいとずっと考えていたんですが、ネパールに行って一気に考え方が変わったんです。でも、「苦しい」「生きたい」と思っている人の可能性を広げるという点では、2つの仕事は共通しているかもしれないですね。」

栗原「高校生のときからしっかりとしたビジョンを持っているって素晴らしいですね。ネパールのこと、ご家族は反対しなかったんですか?」

岩井「その時はすごく応援してくれましたね。ネパールから帰ってきてすごく興奮して話をする自分に『そんなに興味あるなら、あっちでお世話になった方に手紙書いたら?』ってアドバイスをくれて。この手紙のやり取りで、まず大学を卒業したほうがいいとわかって、宇都宮大学で勉強することにしたんです。」

栗原「そうだったんですね、知りませんでした!大学4年間の学びで、今に活かされていると思うことってありますか?」

岩井「サークルやアルバイトなどいろんな人達と接する中で、コミュニケーションの仕方や自分と違う考えの受け入れ方、プロとしての意識とかたくさんの学びがありましたが、特に印象的なのは恩師の友松先生の言葉ですかね。」

栗原「友松先生!今も積極的に学生の活動に協力してくださっていますよね。それはどんな言葉だったんですか?」

岩井「まず“問題を見る時は、先入観や個人の感情を取っ払って、リアル・ファクトをちゃんととらえろ”ということ。そしてどんな経験をしても“キャリアを一本化して説明できるようにしろ”その2つが出来れば国際協力のプロとしてやっていけるというのが友松先生の教えでした。自分は先生の影響を受けて、今も常にこれをやるようにしています。“キャリアを一本化する”というのは、キャリアが変わってもいいけれど、その理由をちゃんと説明できるようにすること。過去の経験と今がどうつながっているのかも含めて。さっき話した、医者になりたかった想いと今の仕事の共通点を探すことも、まさにキャリアの一本化のいい例ですね。」

栗原「普段から自分の行動一つ一つにどんな意味があるのかを大切に考えてらっしゃるんですね。そんな岩井さんも学生時代にはたくさん悩みがあったと思いますが、どんなことで悩んでいらっしゃったんですか?」

岩井「悩みかー…実はあまり覚えていないんですよね。大きな決断をした時とか、きっと悩んでいたんだろうけど、その時その時にとった最前の選択が今に至ると思っているので。悩んでも何かしらの答えを出していたり、苦しかったときもそれだけじゃなくて学びがあったり吸収したりして今につなげているから辛かったことは忘れてよし、みたいな。そこで大事なことだけ残して、未来につなげないとっていう意識はありましたかね。」

栗原「そうなんですね。特に国際学部の学生だと、留学のことで悩む人も多いと思うのですが、岩井さんはどうでしたか?」

岩井「僕も海外の大学で勉強しようかとか院に行こうかとか考えたことはありました。国際協力を仕事にするならそういったハイクラスなキャリアも必要だったりする場合もあるので。でも、国際協力がそんな海外の大学に行った一部の人達しか参加できない業界じゃダメなんじゃないか、もっと、気持ち一つで世界の問題と関われるようなルートを作らなくてはと考えて。ただし、外でいくら騒いでいても絶対出来ないと思っていたから、まずは自分がそのモデルになろうと思ったんです。」

栗原「自分がまずモデルになろうという選択は素晴らしいことだと思いますが、とても勇気のいる事ですよね。常に前へ前へチャレンジしている岩井さんの姿にはすごくパワーを感じます。最後に、進路に悩む学生へアドバイスがあればお願いします」

岩井「大学3、4年になると『将来何しよう』って考え始めると思いますが、それよりも自分の生い立ちや過去の決断のタイミングをつないでいくといいと思います。その時、自分の気持ちとしてはどうだったのか、どうしてやりたかったのか分析していくと、自分の価値基準が見えてきます。“今”のワクワクだけで選んでしまってはそのうち飽きてしまうし、ワクワクのイメージだけではなく実際をしっかり見ることが大切です。過去の自分を振り返り、つむいでいく中で、自然と自信はついてくると思います。」


栗原「すてきなアドバイスありがとうございます。これからしっかり自分と向き合って将来について考えていきたいと思います。今日は本当にありがとうございました!」

<学生インタビュアー紹介!!>

名前:栗原万由香

所属:宇都宮大学国際学部3年

出身:栃木県宇都宮市

好きなこと:いーっぱい食べること、歌うこと、旅

インターンをする理由:色んな大人の方と会い、その方の仕事・経験や仕事に対する考えを聞くことでたくさんのことを得ていきたいという思いから今回のインターンをやってみようと思いました!


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