マネジメントの正解はアメ❓ムチ❓

PM20時を過ぎた頃。

私は、渋谷にあるオフィスで部下G君の仕事を見守っていた。

G君は、大手クライアントへの大事なプレゼン資料を作るため、PCに食らいついていた。元々私が振った紹介案件ということもあり、事業部の責任者Kさんと共に3人で残っていた。

Kさんとは恵比寿横丁で飲む予定だったのだが、最後までG君を見守ってから飲みに行こうと決めていた。(勿論、飲みに行く理由は新規事業の戦略を練るため。笑)

PM22時半。

提案資料が完成した。

G君「ふううー!なんとか終わりましたー!」

どうにか間に合ってよかった。

時間ももう遅いので恵比寿横丁は諦め、せっかくなのでG君と3人で飲み行くことにした。

すると帰り道、笑顔で走ってくる男の姿。同じ会社の部下I君だった。

I君「いやー忘れ物しちゃいまして。会社の鍵借りていいっすか❓」

会社の鍵は一部の人間しか持っていないので、私はそっとプラダのキーケースからカードキーを渡した。

I君「すぐ戻るんで!ここで待っててくださいね!」

そっとうなずき、私たちは振り返ることなく前に進み始めた。

3分後、、「待っててって言ったじゃないですか〜!笑」

走って戻って来たI君だ。

せっかくなので、I君も誘い4人で飲むことにした。

私達は1杯ビール190円の安い居酒屋に入り、「生4つ!」と声高らかにオーダーした。

店員「生4つでーす!」仕事で乾いた身体全身に行きわたるように、ゴクリと勢いよく飲み始めた。

「プハー!やっぱビール最高っすね!!」

お酒も進み話題は、ぶっちゃけトークへ。

I君「田村さんって、顔は悪くないのに女性社員からモテないですよね笑」

グサりとくる内容だ。まあ飲んでる時ぐらいストレス発散して、仕事のパフォーマンスに繋がるなら俺も本望だ。

そう言い聞かせ、話を続けた。

「確かにそうだね。新規の事業を動かす時って一番慎重にならなきゃいけないのに、俺の場合スピード重視の猪突猛進で進むから、経理とかサポートメンバーにいつも迷惑かけてるからな…。昨日は仕事の姿勢が生温いなって人間を詰めちゃったし。そりゃあ支持率悪くなっちゃうよね。あはは。」

Kさん「でも田村さんのポジションで怒るのって組織として間違ってますよね❓本来なら中間層が指導してフォローに回る立場にならないと。それじゃただ怖い立場になっちゃいますよ。」

G君「そうですよね・・僕もその子は以前厳しく指導したんですが。」

「いいんですよ!嫌われる勇気ってね!笑」

と話はしたが、Kさんの言う通りだ。組織を大きくするならまずは側近に、もっと頼らねば。自分が指導したら確かに早いかもしれない。しかしそれは小規模の話であり、数十名の部下を持っているとまず見切れない。また自分と同じ思考で動く人間がいなければ、ただの独裁政治だ。助さん角さんあっての水戸黄門のように、まずは助さん角さんとなる人間との連携をもっと図らねば。

助さん角さんポジションの中間層からムチを与え、上層である水戸黄門は慈悲深いアメを与える。これぞ組織マネジメントだ。

最近、自分の業務に目を向け過ぎて、全然コミュニケーションが取れていないな。まずは助さん角さんと誘って、そこでがっつり熱い想いを話そう。うん。

反省していると

I君「でも田村さんって話しやすいですよね。」

Kさん「自分も田村さんのマネジメントはすごいなって思ってます。今まで会社にとって足りていなかったものを持ち合わせているし。」

「いやいや、自分は何もしてないですよ。ただ、周りが優秀なだけです。」

G君「僕はついて行きます。ゴクっ」

I君「そういえば副社長のTさんは営業力半端ないですよね。めちゃ憧れます。」

Kさん「あれは目標にしちゃダメなやつですよ笑。生まれ持ったカリスマ性なので凡人が真似しても無理ですよ。」

Gくん「確かに。あれは凄過ぎますよね。」

「でも重要なのは、他者との比較じゃなくて昨日の自分を常に超えているかってことでしょ。他者意識強すぎるとその人のライン到達したら成長止まっちゃうし、参考の道しるべとしてはいいけど重要なKPIは、常に自分と向き合い越えることだよね。それが本当の成長に繋がる。」

ラストオーダーが終わり、追い出されるかのように店員さんに「ありがとうございましたー!」と言われ店を後にした。

自分に常に勝つ。そう腹を括った男たちはアルコール摂取量の限界を超えるため、2軒目へと足を動かした。

今日も渋谷は眠らない街だった。


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