Workshop Aid(世界三大宗教のリレーコラム)

仏教・キリスト教・イスラム教が集い「宗教者にできること×ワークショップができること」を…

Workshop Aid(世界三大宗教のリレーコラム)

仏教・キリスト教・イスラム教が集い「宗教者にできること×ワークショップができること」をテーマに活動中!! お知らせや宗教ニュースなどを発信していきます!

最近の記事

鳥山明氏の遺産〜「ドラゴンボール」を通じて見る文化と宗教の架け橋

 3月初旬、漫画家 鳥山明氏が亡くなった。氏と言えば、「ドラゴンボール」や「Dr.スランプ」といった数々の名作漫画作品の他、「ドラゴンクエスト」のキャラクターデザインを手掛けるなど、マンガやアニメ、ゲームといった世界に誇る日本のポップカルチャーの土台を作った一人と言っても過言ではないだろう。「ドラゴンボール」や「ドラクエ」で育ってきた我々世代にとってヒーローや勇者像は、彼の描くものをイメージする人も多いのではないだろうか。  「ドラゴンボール」は、中国古典「西遊記」からイン

    • LGBTQ マレーシア動く!

      先日もムスリムから見たLGBTQについてのコラムを書いたばかりだが、マレーシアで大きなターニングポイントになる事例が起きたので紹介しておきたいと思う。 人口の大半をムスリムが占めるマレーシアで「同性愛」は違法とされており、最長20年の禁錮刑と定められている。2015年には当時の副首相であったアンワル・イブラヒムが同性愛行為の罪で禁錮5年の実刑判決を受けた。 2017年には政府主催で「同性愛防止の啓発動画コンテスト」を実施し、世界中で大きな波紋をよんだ。 このコンテストと同時

      • 夫婦のズレを生んでいる「閏年」は、暦のズレを正す為に制定されたという話〜閏年とキリスト教の関係性

         本日2/29は、私事ではあるが筆者の結婚記念日でもある。「特別感のある日に結婚しよう」という意図で2/29に入籍をしたのだが、4年に1度しか来ない閏年の記念日は、(主に筆者の)閏年以外の記念日への意識を低下させ、旦那に対する妻の不信感の要因にもなっていたりする。  それはさておき・・・、この閏年の制定には、キリスト教が大きく関わっていることは知っているだろうか。  現行の暦として世界各国で用いられている「グレゴリオ暦」は、ローマ法王グレゴリオ13世によって1582年に導入

        • 最後の黒石寺「蘇民祭」へ

          先日2月17日(土)、岩手県奥州市の天台宗・黒石寺(こくせきじ)で開催された「蘇民祭(そみんさい)」に参加した。この祭りには1,000年以上の歴史があるとされ、上半身裸で下帯姿の男衆が縁起物「蘇民袋」を奪い合う伝統行事。奇祭として注目を集め全国的に有名だが、関係者の高齢化や担い手不足を理由に、今年で最後となった。 午後7時すぎに黒石寺へ着くと、表の通りまで「ジャッソー、ジョヤサ」の掛け声が響き、境内はすでに異様な盛り上がりをみせていた。 アメフト選手かラグビー選手か、とい

        鳥山明氏の遺産〜「ドラゴンボール」を通じて見る文化と宗教の架け橋

          映画「ゴジラ−1.0」に見る、人間と自然の関係性に関する聖書的な解釈

           先日、話題の映画「ゴジラ−1.0」を映画館で鑑賞してきた。舞台は、第2次世界大戦直後の荒廃した日本。焼け野原となりながらも復興に向けて力強く取り組む人々の前に、突如、未知の巨大生物「ゴジラ」が現れ、日本に襲いかかるというストーリーだが、やはり目を引くのは山崎貴監督が手掛けるVFX。日本映画で初となる米国アカデミー賞の視覚効果賞にノミネートされたことでも注目をされている。個人的に山崎監督のVFXと言えば、映画「三丁目の夕日」のほんわかとした戦後の昭和の雰囲気が好きなのだが、同

          映画「ゴジラ−1.0」に見る、人間と自然の関係性に関する聖書的な解釈

          能登半島地震発生をうけて

          新年最初のコラムは意気揚々と今年の抱負を綴ろうと思っていたのだが、令和6年は国内外大変な幕開けとなり、呑気ではいられなくなってしまった。先ずもって、元日に発生した能登半島地震で被災された皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。そして亡くなられた方のご冥福を、心よりお祈り申し上げます。 筆者の寺では月に一度坐禅会を行っているのだが、先日参加してくれた女性も、ちょうど年末年始で帰省していたタイミングで能登半島地震に被災していた。 「はじめて避難警報を経験して。あれはビックリしま

          イスラム新潮流〜飲酒編〜

          昨年5月、新型コロナが5類に分類されてから街には賑わいが戻ってきた。 12月には数年ぶりとなる「忘年会」が数多く行われたようだ。 アルコールが飲めなくなった私にとっての必需品は「ノンアルコールビール」だ。日本では偶然にも私が入信した時期と同じくらいのタイミングで誕生したように記憶している。 そんなノンアルコールビールをジャカルタの街で発見した。 もちろん、これまでもジャカルタ在住の外国人や非ムスリム向けに一部の大型スーパーや輸入食品店ではビールが販売されていた。そして、

          2023年→2024年を覚えて。〜21年目のクリスチャンに向けて〜

          2023年ももうすぐ終わりを迎えようとしている。今年も様々な出来事があった。今年10月には、イスラム教原理主義組織ハマスによるイスラエルへの奇襲攻撃に端を発した紛争は、犠牲者が1万人を超え、今尚、収束の目処が立っていない。昨年2月のロシアによるウクライナ侵攻に続き、世界中で宗教や民族の分断や対立が顕著になった1年のようにも感じている。 さて、私事になるが2023年は、筆者が洗礼を受け、信仰を告白し、クリスチャンとなってからちょうど20年にあたる年でもあった。キリスト教徒にと

          2023年→2024年を覚えて。〜21年目のクリスチャンに向けて〜

          高麗博物館と映画「福田村事件」

          今年は大正12(1923)年 9月1日に発生した関東大震災から100年という節目の年であった。 大正12年当時、筆者の祖父は東京の日本橋に住していた。 地震が発生した時は14才。隅田川を避難する渡し船はすでに満員だったものの、それに飛び乗ったという。船頭に「女子供が優先だ、もうお前は大きいから降りろ」と言われたもののしがみつき、船は出発。残された方々は亡くなられたとの事。「あそこで船に乗らなければ命はなかった」 と、この話を何度もしてくれたのを覚えている。 故あって、毎年

          高麗博物館と映画「福田村事件」

          急増するクマによる人的被害について、聖書からその見解を考える。

           クマによる獣害のことを熊害と書いて(ゆうがい)と読むらしい。毎年、クマが冬眠をする前、11月〜12月頃になると農作物や飼育動物への熊害が多数報告されるが、今年度はクマが直接人間を襲う、人的被害の件数が統計開始以降、最多になったという報道がなされた。  聖書には、動物が人間に危害を加えた場合の対応に関するいくつかの具体的な記述がある。実際、古代イスラエルの法律や社会的規範は、こうした記述を元につくられており、古代のコミュニティで人間と動物の関係がどのように扱われていたかを示

          急増するクマによる人的被害について、聖書からその見解を考える。

          コーラン新解釈の潮流〜LGBT編〜

          「イスラムにおけるLGBTについて講演をお願いできせんか?」 そんな依頼が3ヶ月前に知人からあった。 正直なところセンシティブなテーマなので非常に悩んだものの、知人の頼みということで承諾し、数日前に何とか無事にシンポジウムを終えてきた。 シンポジウムは関係者のみが出席できるクローズドなものだったでの詳しく語ることはできないが、私が講演に向けて準備している中で知った非常に興味深かった事例はどうしても紹介したいと思う。 多くの人が抱くイメージの通り、イスラムではLGBTは

          コーラン新解釈の潮流〜LGBT編〜

          11/19(日)法華八講スタート!

          2023年11月19日(日)より、およそ2年かけて準備をしてきた「法華八講(ほっけはっこう)」がいよいよスタートします。 「法華八講」とは?「法華八講」は仏教の代表的な経典『法華経(妙法蓮華経)』全8巻の解説講義で、平安時代の『源氏物語』にもその描写が見られる古儀です。しかし現在では九州の宇佐神宮、大阪の四天王寺、日光の輪王寺など全国有数の限られた大寺社でわずかに行われるのみで、関東では一般公開される機会はほぼ失われているのが実状です。 今般、地球規模での気候変動や紛争な

          日本で培われた「ハロウィン文化」〜渋谷の厳戒態勢に思いを馳せながら

           本日10月31日は、ハロウィンである。元々は古代アイルランドのケルト人の収穫の祭りだったものが、キリスト教の「諸聖人の日(All Hallows' Day)」という11月1日の祝日に併せて、その前夜を祝う祭りとして現在に伝わっている。ケルト文化においてハロウィンは、日本のお盆と同じく、先祖の霊が家族に会いに現世に戻ってくる日と考えられており、子どもたちが仮装して近所を回ってお菓子をもらったり、大人達も家族や友人を招いてパーティをひらくなど、家庭間のごくごく小規模なイベントと

          日本で培われた「ハロウィン文化」〜渋谷の厳戒態勢に思いを馳せながら

          ドラマ「VIVANT」に見られるキリスト教的考察の楽しみ方

           話題のドラマ「VIVANT」が最終回を迎えた。  中央アジアでの撮影に加え、主役級の俳優による共演ということで、映画並みの制作費と労力をかけた作品として話題となった本作。NetflixやAmazonPrimeなどのネット配信に多くの視聴者が奪われ、TVはオワコンなどと揶揄される昨今、まさにTVの威信を賭けたドラマといっても過言では無いだろう。  筆者も、「半沢直樹」や「下町ロケット」などといった名作ドラマを手がけてきたヒットメーカー福澤克雄監督が、原作から演出まで全てを担当

          ドラマ「VIVANT」に見られるキリスト教的考察の楽しみ方

          歓楽街の光と闇と

          先日、新宿 歌舞伎町で映画を観た帰り、ふと噂の「トー横」を歩いてみた。 マスコミ報道の通り、家庭に事情を抱えるであろう多くの若者の姿がそこにはあった。 もちろんトー横には薬物や売春といった問題があるのは事実だろう。しかし、行き場のない人々のセーフティーネットとしての役割を果たしているという側面もあるのではないだろうか? ジャカルタにブロックMと呼ばれるエリアがある。 ムスリムが多数派のインドネシアでアルコールを提供している店が多いことから日本からの来客がある場合は私も利

          ハワイとキリスト教〜ハワイ・マウイ島における山火事を覚えて

          8月8日未明、米国ハワイのマウイ島で起こった山火事は、100人を超える犠牲者と2200棟以上の建物の損壊をもたらし、山火事による米国内の被害としては過去に類を見ない大災害となった。特に被害が集中したラハイナ地区はハワイ王国だった時代の首都としても知られ、多くの文化施設や宗教施設、史跡、などもこの火災で焼失。カメハメハ2世をはじめ、ハワイ王国の君主が埋葬されているマウイ島最古のキリスト教会「ワイオラ教会」も炎に包まれたという。 ハワイというと、キリスト教というより自然信仰や土

          ハワイとキリスト教〜ハワイ・マウイ島における山火事を覚えて