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(キリ)反日感情とキリスト教

 日本と韓国との関係が非常に悪くなっている。1965年の国交正常化以降、史上最悪と言われるほどこじれ、いまだ解決の糸口すら見出せない状況だ。

 韓国における反日感情とキリスト教は浅からぬ関係がある。
 1919年3月1日から始まった「三・一運動」という抗日運動は、韓国の歴史を語る際に必ずと言っていいほど出てくる出来事である。1910年の韓国併合以降、韓国は日本の統治下におかれることとなった。この日本の統治によって資本主義経済が根付き、近代化に向けて韓国は大きく発展したとする評価がある一方で、韓国内においては日本の植民地として虐げられた歴史として認識されていることが多い。
 こうした韓国併合による日本の実効支配に対して、抵抗した韓国民の抗日運動が「三・一運動」である。「宣言書」の策定やデモ行進などから始まった運動であるが、徐々に活動が激化。暴徒による日本人惨殺や放火などが起こるようになり、結果、日本軍の弾圧により最終的に死者7509名、負傷者1万5849名を出すこととなった。そしてその歴史は、現在でも日韓関係に暗い影を落としている。
 実は、この独立運動にはキリスト教が大きな役割を果たしていると言われている。実際、「三・一運動」の「独立宣言書」に名を連ねた33名の指導者のうち半数がキリスト教指導者であった。彼らは、「三・一運動」の扇動的な役割を担っており、を、韓国民の精神的な支柱となっていた。現在、韓国内で「三・一運動」は、3月1日を国家の祝日に指定したり記念式典が開催するなど、自分達の民族の誇りを守った抗日の象徴として理解をされているとともに、抗日の拠り所となったキリスト教もまた、韓国民にとっては誇りの1つとなった。

 こうした背景もあり、韓国はアジア圏有数のキリスト教国となった。アジア圏のキリスト教人口が全人口の9%ほどであるのに対し、韓国は全人口の約30%がキリスト教徒である。日本におけるキリスト教人口は全国民の1%未満であるのを鑑みると、その割合の多さに驚かされる。歴代の大統領もキリスト教徒が多く、現在の文在寅(ムン・ジェイン)大統領も、熱心なカトリック教徒として知られている。
 また、時の指導者のバックには必ずと言っていいほど韓国キリスト教派の存在がある言われており、抗日運動から根付いたキリスト教が今、国の在り方をも握っている。このように宗教レベルで反日感情が根付いていることを考えると、この日韓問題は非常に根深いものがある。

 とは言え、言わずもがな、キリスト教の精神は「隣人を愛する」ことである。現在、1番近くて最も遠い国になってなってしまった日本と韓国であるが、もう一度、原点に立ち返り、隣国を愛せるお互いになるように願ってやまない。

(text しづかまさのり)

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