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(キリ)ノートルダム大聖堂火災に際し、想うことは。

 2019年4月15日に発生したノートルダム大聖堂の火災は、世界中の人々に衝撃をもって報じられた。日本の各種メディアでもトップニュースとして扱い、象徴的な尖塔が炎上する映像にクリスチャンのみならずショックを受けた人も多いのではないだろうか。

 ノートルダム大聖堂の歴史は古く、12世紀に建設がはじまり最終的に完成したのは14世紀まで遡る。かの有名なジャンヌダルクの裁判や、ナポレオンの戴冠式などが行われていたのだというのだから、キリスト教の建築物という以上に、その歴史的な意味合いや文化的な価値は世界的に見てもあまりに大きい。
 火災を受けて、日本を含む各国首脳が哀悼のコメントを出すとともに、早速、再建に向けた募金や寄付を世界各国の企業や個人が表明をしている。

 その一方で、一部のイスラム過激派の人々からは、今回の火災は「報復」であるとし、炎上するノートルダム大聖堂を賞賛するようなポスターを作成したり、SNS等を使って扇動をしたりしていることが明らかになった。

「Notre Dame FIRE: Sick ISIS fanatics praise devastating blaze and call it 'RETRIBUTION'」
https://www.express.co.uk/news/world/1114918/notre-dame-fire-isis-message-paris-cathedral-france-news (※英文サイト)

 こうした情報を受けて、「今回の火災はムスリムの仕業なのでは?」といった流言まで飛び出しており、「ムスリム犯人説」を巡ってインターネット上でも「炎上」する騒ぎとなっているようだ。今回の火災はあくまで事故であり「事件性は無い」と現地捜査でも判断しているわけだから、甚だ、多くの一般のムスリムにとってはいい迷惑である。

 とは言え、これだけ騒ぎになっているということは、こうした根も葉もない流言を真に受けてしまう人が大勢いるということである。なぜ真に受けてしまうのか、それは情報や対話が足らないからではないかと考える。
 我々、WORKSHOP AIDは、10年ほど前から宗教を超えた対話を通じて、相互の理解や関係づくりを目指して活動を続けている。現在はネットを通じた活動が主になったが、その精神は今も昔も変わらない。

 今回の火災は、確かに悲しい出来事ではあったが、火災が起こったからこそ、世界中がその歴史や文化を改めて想起し、もう一度、自分達の手で再建しようと一丸となった。それを、宗教の対立を煽るようなものに絶対にしてはいけない。 
 図らずも今日、4月21日はイエスキリストの復活を祝う「イースター」。ノートルダム大聖堂の一日も早い「復活」を心から祈りたい。

(text しづかまさのり)

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