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#45 童謡「ぞうさん」にこめられたまどみちおさんの思い

 小学1年生の音楽の教科書に今も載っている童謡の「ぞうさん」は誰でも知っている日本の歌です。この歌を作詞した故まどみちおさんは、インタビューの中で「ぞうさん」の歌詞について次のような思いを込めていると生前語っていました。

この世の中にあんなに鼻の長い生き物はいませんから、もし、情けない人間だったらきっと、おまえはへんだ と、からかわれたように感じるでしょう。ところが子ぞうは、ほめられたつもりで嬉しくなって〈そうよ かあさんも ながいのよ〉と答える。大好きなお母さんに似ている自分もすばらしいんだと、自然に感じている。つまりあの詩は、ゾウに生まれてうれしいゾウの歌なんです。

 この「ぞうさん」は、「自分が自分であってよかった」と思っています。自らの差異を肯定することは、生きていく上でとても大切です。
また、まどさんは、幸せの定義について明確に語っていました。

幸せとは、今の自分を肯定すること。まさに幸せいっぱいの子ぞうのように自分を肯定することです。

 他者との比較ではどこまで行っても人は満足や安心は得られません。
「人と違う自分・自分と違う人」
「ぞうさん」のように、「人と違う自分」を肯定できれば、「自分と違う人」も肯定できます。
まどさんは、こんなことも言っています。

目の色が違っても、みんな仲よくしよう、などとよく言われますけれども…
私はそうではなくて、目の色が違うから、肌の色が違うから、すばらしい。
違うから、仲良くしよう
というんです。

 全国の子どもたちが、自分のよさに気づき、また友達のよさに気づき、それぞれのよさを認め合いながら、伸びていってほしいと願ってやみません。

まど・みちお(1909 年〈明治42 年〉- 2014 年〈平成26 年〉)は、日本の詩人。25 歳のときに北原白秋にその才能を認められ、33 歳のときには太平洋戦争に召集された。詩作りは20 代から始め、以来生涯にわたって詩を作り続けた。創作意欲の源は、政治・行政・教育・経済・戦争などに対する不満である。「ぞうさん」や「一年生になったら」などの、そのおおらかでユーモラスな作品は童謡としても親しまれている。表現の前に存在があるという意味で「存在の詩人」とも称される。

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