20.一緒に踊る

文豪とアルケミストのキャラで30日CPチャレンジ(連続で書くとは言ってない)
史実に基づかないし、文アルに寄せてるかも怪しい、完全個人解釈で好きに書いています。
またCPは日によって変わります。閲覧は自己責任。

本日は秋藤。
----------------------------------------------------

1、2、3……1、2、3……

誰もいないホールで、徳田秋声は1人ステップの練習をしていた。
転生前好んでいたダンスだが、転生してからなかなか時間もとれず、大体他の事で忙殺された状態だった。
しかし、先日大きな侵蝕者を倒したことで、ようやく時間の余裕が生まれた。

割と皆趣味の時間は取れているのだが、徳田は初期に来た文豪という事もあり、何かと周囲の世話を焼き続けている。
現在も周囲の世話を焼きつつ、振り回されつつ過ごしては居るのだが、やはり1つ大きな山を越えたという事もあり、皆何となく余裕を感じるようにも思える。
司書の体調は気になる所だが、今の所急を要する事態に発展はしていない。数日司書室を開ける事になりそうなので、と話をして司書室を一時的にホールにしてもらっていた。未だにこの司書室の仕組みはよくわからない。
徳田は他の人の希望を優先して欲しいと言ったのだが、そうすると司書室が管理の手が届かない所で酒場やカジノ、麻雀が行われる場所になってしまうからと司書が困ったように言ったとき、徳田もまるで否定が出来ずに苦笑を浮かべるしかなかった。

ホール自体は永井や谷崎、フィッツジェラルドなども好んで交代で使っているのだが、たまたま午後の3時、誰もいない時間があったので、徳田は久しぶりにステップの練習をしてみていた。
久しぶり過ぎてステップの記憶もあいまいで、身体が覚えていると言うにも生前の身体ではないから自然と身体が動くという感覚もない。
それでも生前を思い出しつつこうして身体を動かすのは、存外悪くない。

「1人で踊り切った今、どんな気持ち?」
「うわぁっ?!」

誰もいないはずのホールで声がかかり、思わず飛びのいて振り返ると、いつの間にか島崎藤村が背後に立っていた。

「い、何時からそこにいたんだい、島崎……」
「溜息をついて、背筋を伸ばした所からかな」
「踊り始めからじゃないか……」

ホールに来てすぐ踊り始めたわけではない。直前までパーティを行っていたのであろうテーブル等を片付け終わってから、誰も居ないからとステップを踏んでみたのだ。
まさか島崎が見ていたとは思わず、羞恥からか顔に熱が溜まっていく。
島崎はそんな徳田の様子を見て、首を傾げたあと、手に持っていたメモを一旦しまう。

「恥ずかしがる事なんてないのに。本来2人で踊るダンスだったよね?1人で踊るのはどんな気分?」
「わざと聞いてるの?それ」
「そんな事はないけど」

きょとんとしてる島崎に、悪意は感じない。純粋に疑問に思って質問しているのは徳田にもわかっていた。
その質問内容がぶしつけで、相手の事を考慮してないと思われる点が感情を逆撫でされる気分がするのだが。
徳田は島崎の手を取ると、ぐいっと引っ張る。

「うわっ」
「2人で踊るダンスってわかってるなら、ちょっと練習に付き合ってくれるよね?久々にダンスの練習をしたいと思っていたんだ」

そう言われて、島崎はぽかんとしてみせたが、徐々にその表情に笑みが浮かぶ。

「いいよ。しばらく秋声を独占だね」
「独占って……はぁ、もう良いけどさ」

そう言って、徳田は先ほどと同じダンスのステップを踏む。島崎も、それに合わせたステップを踏んだ。
人が訪れる事はなく、2人きりでしばらくダンスを楽しんだのだ。
----------------------------------------------------
別に30日チャレンジ、忘れていたわけではないです。
本当仕事やらなにやらで創作意欲自体ががっつり削られた時期が……長かった……

秋藤ですが、藤秋でもありそうだな……と思いつつ。
元々アニメでもこの2人踊ってましたしね!今更感もありますが、2人きりで踊るとCP感増すんじゃないかな!!(願望)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?