19.正装

文豪とアルケミストのキャラで30日CPチャレンジ(連続で書くとは言ってない)
史実に基づかないし、文アルに寄せてるかも怪しい、完全個人解釈で好きに書いています。
またCPは日によって変わります。閲覧は自己責任。

本日は龍寛。
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「おい、龍。準備は……」
「寛……助けて……」

帝國図書館にて、政府の監査が入る事になった。しかし監査というのは形式のみで、実際には図書館にてお偉いさんのおもてなしをするのが主な用事だ。それでも、この対応によって国から出される予算が左右されるので無下にも出来ない。また名目が監査である以上、何名かの文士も顔を出す必要があった。
 不定期に行われる監査に、司書は毎回頭を痛めているが、背に腹は代えられない為、問題なく対応してくれそうな文士に対応をお願いしている。今回は芥川、菊池、他新思潮のメンバーで依頼が来ていた。
 会食等の対応もあるため、対応に当たる文士には失礼の無いよう正装で来るよう、服も用意され着てくるよう指示が出されているのだが。

「上手く着れない……」
「あー、もう仕方ないな。ちょっと大人しくしていろ」

芥川の正装は何故かベルトが多く、きちんと着るのに手間がかかる。しかし、当の本人は若干抜けてる事があり、ベルトを1本2本忘れる事がままあった。しかし今回はきっちり着るよう司書から口酸っぱく言われている為、着てはベルトが抜けてる事に気付き、追加してはまとまりがなく、全部脱いで着直せば上着の上からベルトが巻きついて居たりと、どうにも上手く正しい着方にならない。
 菊池が心配して声をかけたときは、どういうわけかベルトが絡まってどうにもならない状態になっていた。

「えへへ…ありがとう、寛」
「まったく、服くらいは自分で着れるようになってくれ」
「この服はめったに着ないからね。どうしても慣れないよ」

菊池が少々苦言を申しながらも、着るのを手伝ってくれ、髪も整えてくれる。芥川はその世話焼きに遠慮なく、心地よく甘えていた。
 ちら、と視線を菊池の方にやると、ぴっしりと首元までシャツのボタンが止められ、きっちりとネクタイが絞められている。ジャケットのボタンも止められ、隙がないしっかりフォーマルスーツを着こんでいた。

「寛は様になってるねぇ」
「あんま堅苦しい恰好は好きじゃないんだがな。様になってるのはアンタの方だろ、龍」

そう言って、菊池は芥川の髪を整え終え、軽く肩をポンと叩く。肩を叩かれたのが、支度が終わったという合図だと理解し、礼を告げて芥川も立ち上がった。
 ベルトが多いが、それは普段の芥川の服装から多いので、芥川らしさというので司書が特注したものだ。色合いも黒というより濃い青で、芥川の顔の良さが引き立つスーツだ。
 眼福と言わんばかりに、菊池は芥川を上から下までじっくりと眺めた。その菊池の視線に気付き、芥川はにっこり笑いながら声をかける。

「寛の好みになった?」

芥川がそういうと、菊池は少々目を見開いて驚いてみせたが、すぐににやっと笑い返す。

「最初からアンタは俺好みだよ」

菊池がそういうと、芥川は嬉しそうに微笑んだ。

「それは光栄だね。ずっと寛の好みで居続けられるよう、頑張るよ」
「……?頑張らなくてもずっと好みだけどな?」

他に渡すまいという芥川の言葉が菊池に届いたのか届かなかったのかは分からないが、芥川は満足行く答えが貰えて、嬉しさのあまり菊池の手を取った。

「どうした?龍……」
「行こう、寛。多分みんなを待たせちゃったし」
「まぁ着替えに時間かかったからなぁ……行くか」

つないだ手については特に気に留めず、菊池は芥川に引かれるまま、ついて行った。この後で行われる接待で、どう上手く切り抜けるかを考えながら。
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なんかね、ここの2人はお互いがお互い、好き合ってるのが当たり前的な空気感があるんじゃないかなと勝手に思っているわけですが……笑。
ただ文アルイメージで芥川先生を若干不器用にしてしまいましたが、実際どうなんですかね。あんま不器用なイメージはないのですが。


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