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【世界一周・旅のカケラ #14】パーティー島の絶景ロッジにひとりきり

ジョンと2度目の別れをした後に向かった、パンガン島。

フルムーンパーテイーに参加するために、世界中から旅人たちが訪れる。

バンコクからスラータニーまでバスで下りると、ドンサック港までバス会社の送迎がある。いろいろと乗り継ぎはうまくいかなかったけれど、私含め外国人のバックパッカーばかりで、なかには感じのいい人も何人かいたので、おしゃべりで気が紛れた。

でもそのなかでもふと素に戻ると、昨夜わかれたてのジョンを思い出しては胸がぎゅーっとなる。それは発作的な深い悲しみ…。

周りを見回してもパーティーを心待ちにして、法的にどうなの、というあれやこれやに手を出しそうなヒッピーたちばかり。思いっきり偏見かもしれないけれど、実際にそうだったから見る目も養われているのかもしれない…。

その人たちの誰のなかにも、ジョンの面影を見つけることはできない。

彼もある意味筋金入りのヒッピーだったのかもしれないけれど、その風貌や醸し出す雰囲気はヒッピーよりも冒険家だった。

どれほど着崩しても損なわれない品があり、誰とでもすぐ打ち溶けるのに、行動を起こすときはいつもひとりで凛と気高かった。

私はそんなジョンが、本当に好きだったのだと思う。

でも出発を決めたのは私、気を取り直してパンガンの港からホテルへ移動する。

実はこの旅はカオサンのいつもの場所、安宿に併設の食堂で、ほぼ毎日飲み食いを共にしたイギリス人のKとの約束もあった(出だしに少しだけ登場↓)。

彼とはよく口論のようなことをしたのだけど、イギリス人の彼のジョークは私はよくわからず、特に彼のネガティブな面とは適度な距離を保っていた。

だから決して、彼への思いに異性としての何かがあるわけではない。

でも私は旅を一新したかったし、私をバンコクから引き抜いてくれるインパクトのあるできごとが必要だった。

それが私にとってフルムーンパーテイーであり、そこへたまたま先に到着していたすでに知った顔であるKは、このときはありがたい存在でもあったのだ。

パンガンに着いて、Kにもらっていたアドバイス通り私は、港に集結しているタクシーには乗らず(ほとんどが契約している⁉ ゲストハウスへ連れていかれるらしい)、一度広場まで出て乗り合いタクシーのハット・リン行きに乗った(50バーツ)。

こういう知恵は旅を続けるほどに蓄積され、新しい土地でもぼったくりに引っかからないセンサーが身につく。旅の知恵、というものだろう。

パンガン島はフルムーンパーテイー時期、どこもかしこも宿は値上がりし満室になる。

だから先に到着していたKにお願いして、私の宿も抑えてもらっていた。きっとネットで予約、なんてことができない時代だったんだろう、そんなアナログなお願いをするくらいに。

そしてその宿を見つけてチェックイン、部屋に案内してもらうとなんと私だけのロッジ!しかもオーシャンビュー、トイレ&シャワーつきとは!

「なるべくチープなところね!」とお願いしていたが、直前だったので少しだけ値は張った。それでも一泊400バーツ(当時の日本円で約1,200円)だから言うことない。

バランスを崩すと落ちそうになる、ロッジの淵ギリギリにあるハンモックは使わなかったけれど、テラスに座って読書をしたりサンセットを眺めたりした。

海から吹いてくる潮風や真っ青な景色は、心のなかの湿った部分をカラッと乾かしてくれるようだった。景色が慰めてくれる、とはこのこと…。

こんな浮かれた島の、リゾートロッジに私ひとりきり。

もちろんKは同じ地域に滞在しているけれど、決してジョンの代わりにはなり得ない。

それでも私の旅は動き出したし、これからの方がうんと長い。

シャワーを浴び、気持ちを切り替えてから、Kと会うためロッジを後にした。

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400バーツしたバンガローも室内は質素

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